新型コロナウイルス感染症の影響が少しずつ緩和し、事業活動も戻りつつあります。
その中で、今後の業績回復にあたり従業員の採用は、会社の重要課題のひとつです。
新規採用者が増えてくると、給与計算事務のボリュームも増しますが、個人住民税の取り扱いに関して注意しておきたい点があります。
目次
個人住民税の納期特例
特別徴収した税額は、原則として、支払った給与等から特別徴収した月の翌月10日までに納入することになっています。
これに対して、
納期の特例制度
があります。
これは、特別徴収義務者のうち、
給与等の支払いを受ける者が常時10人未満で一定要件を満たしている場合には、
特別徴収した住民税額を毎月ではなく、
年2回
に分けて納入することができる制度です。
そして、実際の納期特例の適用を受けている場合の納期限は次のとおりとなっています。
6月から11月分:12月10日
12月から翌年5月分:翌年6月10日
※納期限当日が土曜日、日曜日または祝日にあたるときは、その翌日が納期限です。
従業員数の要件があるため、一部の会社になりますが、納税の負担を軽減することができ、多くの会社で活用しています。
新規採用等で従業員数が増加した場合の納期特例要件の確認
納期特例の適用を受けている会社が、採用活動により新入社員等が増えた場合に注意点があります。
それは、納期特例の要件を満たしているのかという事です。
例えば、給与の支払を受ける者の人数が常時10人以上となる等の要件を満たさなくなった場合ですが、
この場合には、
納期特例の適用要件を満たさない
こととなります。
そして適用要件を満たさないということは納期の特例ができないのでその旨の手続きをしなければなりません。
特別徴収税額の納期の特例の要件を欠いた場合の届出書の提出
納期特例の適用を受けていた会社が、納期特例の適用要件を満たさないこととなった場合には、
特別徴収税額の納期の特例の要件を欠いた場合の届出書
を
速やかに
市区町村へ提出する必要があります。
なおこの届出書は各市区町村ごとに様式が異なっている場合があるので、提出する場合には市区町村ホームページ等に掲載されている届出書様式を使用します。
(市区町村によっては、手続き方法が異なる場合があるので、個別に確認が必要です)
参考までに江東区の届出書様式は次のとおりです。
特別徴収税額の納期の特例の要件を欠いた場合の届出書を提出した場合の今後の納期限
特別徴収税額の納期の特例の要件を欠いた場合の届出書を提出した場合には、その納期限は基本的に次のとおりです。
1.提出日の属する月分以前に特別徴収した税額
その提出日の翌月の10日
2.上記1の後に特別徴収した税額
通常の毎月の納期限
例えば、次のように納期限が設定されます。
特別徴収税額の納期の特例の要件を欠いた場合の届出書を提出した日が4月の場合の納期限
納期特例の納期限が、
6月から11月分:12月10日
12月から翌年5月分:翌年6月10日
となっているため、12月から翌年5月分の納期限をどのようにするかを考える必要があります。
そして、次の通りに考えます。
12~3月分 ⇒ 5月10日まで ←上述1
4月分 ⇒ 5月10日まで ←上述2
5月分以降 ⇒ 翌月10日まで ←上述2
その他
個別の状況等により、納期特例の適用要件の該当有無の判断や、納期特例が適用されなくなった場合の納期限等の取扱いにつき、上述と異なる場合があるので、
詳細は税理士等の専門家や市区町村担当課に確認しましょう。
まとめ
個人住民税の納期特例の適用を受けている会社で新規採用者が増加した場合等で、納期特例の要件を満たさなくなった場合は、
特別徴収税額の納期の特例の要件を欠いた場合の届出書の提出と今後の納期限の変更等が必要になるので、
従業員数が増加した場合等は、納期特例の要件を満たしているのかを確認しましょう。
【前回内容】
個人住民税の納付書(納入書)は一部自治体ではダウンロードできますが、入力内容・印刷方法・納入方法等の注意事項を事前に確認しましょう。
【次回内容】
総務経理担当者向け【住民税特別徴収のギモン71】:令和4年6月から11月分の特別徴収住民税で納期特例適用の納期限は12月12日月曜です
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