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現在、法人の確定申告書の提出期限と納税の期限は、事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内と決まっています
法人が確定申告として、法人税や消費税・地方税の確定申告書類を提出する場合には、その事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内と法律上は決まっています。
そのため、多くの法人は決算が締まると、確定申告書類の作成と合わせて、その事業年度分に納税する税金を計算し、申告期限までに確定申告をし、合わせて、納税も行います。
上場企業等は、事業年度終了の日から2ヶ月と数日経過した段階で株主総会を開催するので、確定申告期限に間に合いません
法律上は、確定申告期限と納税期限が2ヶ月以内となっていますが、上場企業等は、株主総会が2ヶ月と数日経過してから開催されるので、その場合には、期限に間に合いません。
もし2ヶ月以内に確定申告をしていなければ、無申告加算税といった税金が発生してしまいますが、実際には、どのような仕組みになっているのでしょうか
申告期限の延長手続きをすれば、確定申告期限を1ヶ月または2ヶ月延長出来ることになっています
毎年、株主総会で、その会社の決算内容の承認をする事により、決算確定し、その後に確定申告をする事になっています。
例えば、上場企業の事業年度末が3月に設定されているケースが多いので、それを例に挙げてみると、6月の下旬頃に株主総会が集中して開催されています。
そして、その株主総会で決算内容が承認されて確定すると、その会社は、その後に確定申告をします。
しかし、その場合だと、2ヶ月以内に確定申告をしていないことになってしまいます。
そこで、法律では、確定申告の申告期限の延長手続きを所定の方法で手続きの上完了した場合には、1ヶ月または2ヶ月延長出来るのです。
(災害等の特殊な事情が発生した場合には、更に延長される場合もあります)
つまり、3月決算の法人であれば、5月末ではなく、6月末または7月末に確定申告期限を延長出来るのです。
なお、1ヶ月または2ヶ月のいずれかを選択できるのかは、その法人の申告内容等によって変わってきます。
消費税は、確定申告の申告期限の延長はありません
ところが、先程、確定申告の期限が1ヶ月または2ヶ月延長できる旨お知らせしましたが、この延長が認められているのは、法人税や地方税に限られていて、消費税については、この延長が認められていないのです。
そのため、無申告加算税といった附帯税が課税されないように、3月決算の法人であれば、5月末日までに確定申告をしているのです。
なお、1月1日から12月31日までの期間に対する確定申告をする個人事業者については、従来から、消費税の確定申告の期限は3月末日となっており、申告期限まで3ヶ月あるために、法人の場合と比較すると、消費税の確定申告期限が実質的に1ヶ月長い事になります。
法人で消費税の申告を修正するケースが発生する場合があります
消費税については、2ヶ月以内に確定申告しなければならなくても、その後に株主総会等で決算内容の修正が発生してしてしまったら、どうなるのでしょうか。
その場合には、消費税の確定申告の内容を修正するために、修正申告や更正といった形で確定申告の内容を修正するのです。
消費税の確定申告の負担が多く発生してしまいます
法人税の確定申告は申告期限の延長を受けていれば一回で申告が完了するとしても、消費税は、更正が発生した場合を含めて2回申告する場合が出てきてしまい、負担が多くなってしまいます。
上場企業であれば、決算内容の数値に変更があった場合には、納税額が多額になる場合もあります。
納税額の検証等も担当部署ではしなければならず、この負担だけでもかなりのものになります。
今年から、今後は消費税の軽減税率対応等の事務負担が今後発生することになります
一方で、令和1年(2019年)10月1日から、消費税の税率が10%にアップし、合わせて、消費税の軽減税率制度が実施されました。
すると、日々の経理処理や決算・確定申告にあたり、消費税の事務負担が多く発生することになります。
10%の取引か軽減税率8%の取引かといったことを誤りの無いようにしなければなりません。
(その他にも、経過措置として、軽減税率でなく従来の8%に据え置かれるものもの等が出てきます)
これらの事が今後継続して発生するのであれば、会社の消費税に関する事務負担が多く発生する事が想定されます。
法人の消費税の確定申告の申告期限を延長する可能税が出てきています
この消費税の軽減税率等の対応による会社の負担が多く発生することが理由かどうかは、現時点では明らかにされていませんが、この度、法人の消費税の確定申告の申告期限を延長する
可能税が出てきているとの事です。
今後は、実際に税制改正の大綱に織り込まれ、法律として最終的に決まるまでは確定しませんが、もし本当に決定されれば、法人の消費税の申告にかかる負担は軽減されることになります。
これからの税制改正の動向に注目が集まっています。