江東区の税理士     経営アドバイザー

佐藤充宏 江東区で税理士事務所・ファイナンスコンサルティング会社を経営しています。

経理・税務担当者の方むけ:クレジットカード会社が発行する請求明細書等の保存で仕入税額控除の適用を受けることができるのか。

経理・税務担当者の方むけ:クレジットカード会社が発行する請求明細書等の保存で仕入税額控除の適用を受けることができるのか。

はじめに

飲食や消耗品等の利用の際にクレジットカードで会計をことがあります。

そして、クレジットカード会社の締め日に応じて、一定期間ごとにクレジットカード会社が請求明細書等を作成・交付

しますが、

この請求明細書等を保存すれば、消費税法上の仕入税額控除の適用を受けることができるのでしょうか。

消費税法上の条文

消費税法では、次の内容の通り仕入税額控除にかかる請求書等を規定しています。

消費税法

第30条 仕入れに係る消費税額の控除

9 第7項に規定する請求書等とは、次に掲げる書類及び電磁的記録

(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律第2条第3号(定義)

に規定する電磁的記録をいう。第2号において同じ。)をいう。

一 事業者に対し課税資産の譲渡等(第7条第1項、第8条第1項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。

次号及び第3号において同じ。)を行う他の事業者(適格請求書発行事業者に限る。次号及び第3号において同じ。)が、

当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する適格請求書又は適格簡易請求書

二 事業者に対し課税資産の譲渡等を行う他の事業者が、第57条の4第5項の規定により

当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付すべき適格請求書又は適格簡易請求書に代えて提供する電磁的記録

三 事業者がその行つた課税仕入れ(他の事業者が行う課税資産の譲渡等に該当するものに限るものとし、

当該課税資産の譲渡等のうち、第57条の4第1項ただし書又は第57条の6第1項本文の規定の適用を受けるものを除く。)

につき作成する仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類で課税仕入れの相手方の氏名

又は名称その他の政令で定める事項が記載されているもの

(当該書類に記載されている事項につき、当該課税仕入れの相手方の確認を受けたものに限る。)

四 事業者がその行つた課税仕入れ(卸売市場においてせり売又は入札の方法により行われるものその他の媒介

又は取次ぎに係る業務を行う者を介して行われる課税仕入れとして政令で定めるものに限る。)につき

当該媒介又は取次ぎに係る業務を行う者から交付を受ける請求書、納品書

その他これらに類する書類で政令で定める事項が記載されているもの

五 課税貨物を保税地域から引き取る事業者が保税地域の所在地を所轄する税関長から交付を受ける

当該課税貨物の輸入の許可(関税法第67条(輸出又は輸入の許可)に規定する輸入の許可をいう。)

があつたことを証する書類その他の政令で定める書類で次に掲げる事項が記載されているもの

イ 保税地域の所在地を所轄する税関長

ロ 課税貨物を保税地域から引き取ることができることとなつた年月日

(課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取ることができることとなつた年月日

及び特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日)

ハ 課税貨物の内容

ニ 課税貨物に係る消費税の課税標準である金額並びに引取りに係る消費税額及び地方消費税額

ホ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

クレジットカード会社が交付した請求明細書等を保存することで、仕入税額控除の適用を受けることはできません

例えば、クレジットカードの利用者が飲食をしてクレジットカードで会計をした場合、

その利用者に対して、消費税法上の課税資産の譲渡等を行った飲食店は

レシートや領収書等を発行します。

そして、クレジットカード会社は、一定期間ごとにその飲食代等を含めた各利用毎の請求明細書等を

利用者に対して作成・交付します。

しかし、この請求明細書等は、実際に課税資産の譲渡等を行った飲食店が交付したものではなく、また、

その飲食店の店名や登録番号等が記載された書類でもありません。

そのため、クレジットカード会社が作成・交付した請求明細書等を保存することで、

仕入税額控除の適用を受けることはできません。

このケースで仕入税額控除の適用を受けるためには、クレジットカード加盟店であるその飲食店が

作成・交付した適格請求書等を保存する必要があります。

高速道路の利用について、ETCシステムにより料金を支払いETCクレジットカードで精算を行った場合

高速道路の利用が多頻度にわたるなどの事情により、全ての高速道路の利用に係る利用証明書の保存が困難な場合等には、

別途の取り扱いとされていますので、こちらのブログでご確認ください。

消費税インボイス制度実施後に気になる事⑨:高速道路でのETCシステム利用に伴うクレジットカード利用明細での仕入税額控除はできるのか。

その他

上述は概要でのご案内のため、個別事例毎の取り扱いについては、税理士等の専門家や所轄税務署にご確認下さい。

まとめ

クレジットカード利用後に、クレジットカード会社が一定期間毎に作成・交付した請求明細書等を保存する事では、

消費税の仕入税額控除の適用を受けることはできず、

クレジットカード加盟店である課税資産の譲渡等を行った他の事業者が発行した適格請求書等を保存する必要があります。

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