江東区の税理士     経営アドバイザー

佐藤充宏 江東区で税理士事務所・ファイナンスコンサルティング会社を経営しています。

経理・税務担当者の方むけ:クレジットカードの年会費は、消費税の課税仕入れとなるのか。

経理・税務担当者の方むけ:クレジットカードの年会費は、消費税の課税仕入れとなるのか。

はじめに

クレジットカードを作ると、

年会費

を支払うことが多いです。

そして、経理上、年会費については、

諸会費

等という勘定科目で処理しますが、消費税については注意が必要です。

そこで、関連する法令をご紹介しながら、クレジットカードの年会費に関する消費税の取り扱いを説明していきます。

消費税の課税対象

消費税法

第2条 定義

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

八 資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供

(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け

又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。

 

消費税法

第4条 課税の対象

国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第3項において同じ。)

及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、

この法律により、消費税を課する。

 

会費・組合費等の取り扱い

消費税基本通達

5-5-3 会費、組合費等

同業者団体、組合等がその構成員から受ける会費、組合費等については、当該同業者団体、組合等が

その構成員に対して行う役務の提供等との間に明白な対価関係があるかどうかによって

資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、

その判定が困難なものについて、継続して、同業者団体、組合等が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、

かつ、その会費等を支払う事業者側がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。

(注)1 同業者団体、組合等がその団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用をその構成員に分担させ、

その団体の存立を図るというようないわゆる通常会費については、資産の譲渡等の対価に該当しないものとして取り扱って差し支えない。

2 名目が会費等とされている場合であっても、それが実質的に出版物の購読料、映画・演劇等の入場料、

職員研修の受講料又は施設の利用料等と認められるときは、その会費等は、資産の譲渡等の対価に該当する。

3 資産の譲渡等の対価に該当するかどうかの判定が困難な会費、組合費等について、

この通達を適用して資産の譲渡等の対価に該当しないものとする場合には、

同業者団体、組合等は、その旨をその構成員に通知するものとする。

 

消費税基本通達

11-2-4 会費、組合費等

事業者がその同業者団体、組合等に対して支払った会費又は組合費等(以下11-2-4において「会費等」という。)について、

当該同業者団体、組合等において、5-5-3《会費、組合費等》により、

団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用を賄い、

それによって団体の存立を図るものとして資産の譲渡等の対価に該当しないとしているときは、

当該会費等の支払は課税仕入れに該当しないのであるから留意する。

5-5-4《入会金》に掲げる同業者団体、組合等に支払う入会金についても、同様とする。

 

例えば、団体の業務運営に必要な通常会費の場合は、一般的に対価関係がないと考えられるので、

その構成員が支払う同業者団体や組合等に支払う通常会費は、課税仕入れとならないとされています。

それでは、クレジットカードの年会費の消費税の取り扱いについて見ていきます。

クレジットカード年会費の消費税の取り扱い

クレジットカードの年会費が消費税の課税仕入れに該当するかどうかは、

そのクレジットカード運営会社から受けるサービスと年会費との間に明らかな対価関係があるかどうか

によって判断します。

そして、クレジットカードの年会費については、

クレジットカード運営会社が、そのカード会員に対して提供している決済サービスや特典等に対する対価として、

カード会員が年会費を支払っている

考えられています。

つまり、クレジットカード会社から受けるサービスとの間に明らかな対価関係があるため、消費税の課税仕入れとして取り扱われるのです。

そのため、クレジットカード運営会社のホームページでは年会費について、

〇〇〇円(消費税込)

と書かれているのは、これらの事によります。

なお、年会費という名称となっていたとしても、実質的に上述の明らかな対価関係がない場合等は、

消費税の課税仕入れに該当しない場合もあるので、年会費の支払内容等を見て、その実質等を確認しましょう。

まとめ

クレジットカードの年会費については、クレジットカード会社がそのカード会員に対して提供している決済サービスや特典等に対する対価として

そのカード会員が年会費を支払っていると考えられています。

そのため、クレジットカード会社から受けるサービスとの間に明らかな対価関係がある場合には、消費税の課税仕入れとして取り扱われます。

なお、年会費の支払いと考えていたが、実質的に上述のような明らかな対価関係がない場合等は、

消費税の課税仕入れに該当しない場合もあるので、年会費の支払内容・実質等を確認しましょう。

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