拙著『賢い事業資金の集め方・使い方・貯め方』でも書いている通り、事業資金は会社の血液です。
止まる事がなく、循環を続けていく事により、事業が継続し成長していきます。
そのため、事業資金は絶えず必要量をストックしておく必要があります。
しかし、事業環境の急変や顧客の嗜好の移り変わりなどによって、売上が減少し、事業資金が当初計画より少なくなる場合があります。
また、会社の事業資金を手厚くするために、経営状態が良好な時点で早めに資金調達をする事もあります。
そのような時には、金融機関から借入という形で事業資金を調達するのがよくあります。
ところでこの借入をした後には、元金や金利の支払いがあります。
融資制度によっては、金利を減額・補助される事もありますが、多くの融資では、これらの支払が発生しますが、支払の際には事業資金が出ていき、そして、それを経理処理に反映させますが、経理処理では元金と利息の支払でその後の財務諸表の表示が異なります。
そこで、今回は、この経理処理について抑えておきたい事をご案内します。
借入時の経理処理と財務諸表
借入をすると、事業資金はその分増えますが、もちろん、将来支払わなければならない負債も増えます。
例えば、1,000万円の借入をすると、
(分かりやすく説明するために、借入時に利息や保証料、印紙代等の費用は発生しないという事にします)
預金という資産が1,000万円増加。
借入金という負債が1,000万円増加。
となります。
この動きは、財務諸表でいうと、貸借対照表に表示されます。
元金・利息の支払時の経理処理と財務諸表
借入をした後の返済額として、元金が200,000円、利息が15,000円の計215,000円とすると、
預金という資産が215,000円減少し9,785,000円
借入金という債務が200,000円減少し9,800,000円
利息という「費用」が15,000円増加
となります。
財務諸表で見ると、
貸借対照表では、
資産(預金)9,785,000円
負債(借入金)9,800,000円
となり、借入金の方が預金より利息分15,000円が多くなっています。
そして、
損益計算書では、
支払利息15,000円
が計上されます。
このような元金と利息の支払いが続くとどうなるのかというと、
負債(借入金)の残高が資産(預金)の残高より多くなる。
となります。
そのため、事業資金を増やさなければ、最終的に支払を完了させる事が出来なくなるという事です。
貸借対照表と損益計算書から、このようなキャッシュフローをチェックする事も出来るのです。
まとめ
通常、借入で事業資金を調達すると、その後に元金と利息の支払が発生しますが、その支払が貸借対照表や損益計算書にどのように表示されているのかを把握していると、資金繰りもイメージ出来ます。
財務諸表にはキャッシュフロー計算書もありますが、貸借対照表と損益計算書からもキャッシュフローはイメージできる部分がありますので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。