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個人住民税均等割の標準税率
個人住民税の均等割は道府県と市町村で法令上は標準税率が定められています。
道府県:1,000円
市町村:3,000円
これは、次の地方税法によって規定されています。
地方税法
第38条 個人の均等割の税率
個人の均等割の標準税率は、1,000円とする。
第310条 個人の均等割の税率
個人の均等割の標準税率は、3,000円とする。
この法令では標準税率という明記がありますので、基準となる税率を定めて各都道府県や区市町村で一定の範囲内で税率を設定することができるようになっています。
そこで、この標準税率と異なる税率を設定している例を、神奈川県横浜市を参考に挙げてみます。
神奈川県横浜市の個人住民税均等割の税率
神奈川県の均等割:1,800円
横浜市の均等割:4,400円
標準税率の差は次のようになっています
県民税:1,800円-1,000円=800円
市民税:4,400円-3,000円=1,400円
この差額については、次の内容となっています。
1.平成26年度から令和5年度までの臨時措置として、横浜市と神奈川県では、震災対策事業などの財源を確保するため、地方税法の臨時特例法の施行に伴い、
個人市民税・県民税の均等割を各々500円引き上げています。
2.平成21年度から令和5年度までの臨時措置として、横浜市では、緑を守り、つくり、育む取組を進める「横浜みどりアップ計画」の重要な財源の一部として、
個人市民税均等割の超過課税である横浜みどり税を年間900円均等割の税率に上乗せしています。
3.平成19年度から令和8年度までの臨時措置として、神奈川県では、水源環境の保全・再生のために、個人県民税に対する水源環境保全税を300円上乗せしています。
標準税率との差額の内訳のまとめとしては、次のようになります。
県民税 | 神奈川県の税率 | 標準税率 | 差額 | 差額の内訳 | |
震災対策事業等の財源を確保 | 水源環境保全税 | ||||
1,800 | 1,000 | 800 | 500 | 300 |
市民税 | 横浜市の税率 | 標準税率 | 差額 | 差額の内訳 | |
震災対策事業等の財源を確保 | 横浜みどり税 | ||||
4,400 | 3,000 | 1,400 | 500 | 900 |
なお、次のような点が別途定められています。
次のア又はイにあてはまる人は市民税の均等割が4,400円から1,500円に軽減されます。
ア 均等割を納付する義務のある同一生計配偶者又は扶養親族
イ アに掲げる人を2人以上有する納税者
※道府県から指定都市への税源移譲により、横浜市を含む指定都市では、個人市民税・道府県民税所得割の標準税率が、市民税8%、道府県民税2%となっています。
指定都市以外の市区町村の標準税率は、市民税6%、道府県民税4%となっており、市民税と道府県民税の税率の合計は10%で変わりません。
その他にも、神奈川県及び横浜市では個別に個人市民税均等割の適用がある場合があります。
その他
神奈川県横浜市以外にも多くの都道府県や区市町村で、標準税率と異なる税率を個人住民税で設定している場合があります。
これは、一定範囲内で都道府県や区市町村の裁量のもとで、地域の特色や事情等を踏まえ、生活環境の維持改善等のために必要なものですので、
個人住民税の税率から、行政がどのような取り組みをしているのかを見ることもできます。
まとめ
個人住民税の均等割について、各都道府県や区市町村で、標準税率と異なる税率を設定している場合があります。
これは、一定範囲内で都道府県や区市町村の裁量のもとで、地域の特色や事情等を踏まえ、生活環境の維持改善等のために必要なものですので、
個人住民税の税率から、行政がどのような取り組みをしているのかを見ることもできますので、ご興味のある方は都道府県や市町村のホームページ等で確認してみましょう。
【前回内容】
住民税特別徴収のギモン38:年金収入だけでも個人住民税が課税される場合があります
【次回内容】