最近では、従業員が副業として2か所以上の会社で勤務しているケースがあります。
ところで、従業員の住民税を会社が毎月の給与から特別徴収という形で差し引くという手続きはわかっていても、
その従業員が事情により2か所以上の会社で勤務している場合等は、
その従業員の住民税をどちらが徴収すれば良いのか判断に迷うところがあります。
各々の勤務先の会社での給与支払報告書の提出の際の記載内容や、場合によっては従業員が行う住民税や所得税の申告状況によって異なりますが、
東京都主税局では次のような Q & A を公開しています。
2か所以上の事業所に勤務している従業員は、どちらかに特別徴収されますか?
原則として、主たる給与の支払を受けている勤務先で特別徴収を行います。
また、愛媛県の全市町の特別徴収に関するQ&Aホームページでは、次のように掲載されています。
(Q34) 2か所以上の事業所に勤務している従業員は、どちらから特別徴収されるのでしょうか?
(A34)原則として、前年の給与収入額が大きい方の事業所が特別徴収義務者として指定されますが、給与支払報告書の内容や前年度の状況等を確認した上で、
市町がいずれかの事業所を特別徴収義務者に指定します。 <地方税法第 321 条の4④>
なお、参考までに、地方税法第 321 条の4に関する現行法令での条文は次のとおりです。
第321条の4 給与所得に係る特別徴収義務者の指定等
市町村は、前条の規定により特別徴収の方法によつて個人の市町村民税を徴収しようとする場合には、当該年度の初日において同条の納税義務者に対して給与の支払をする者
(他の市町村内において給与の支払をする者を含む。)のうち所得税法第183条の規定により給与の支払をする際所得税を徴収して納付する義務がある者を
当該市町村の条例により特別徴収義務者として指定し、これに徴収させなければならない。この場合においては、当該市町村の長は、前条第1項本文の規定により
特別徴収の方法によつて徴収すべき給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額又はこれに同条第2項本文の規定により特別徴収の方法によつて徴収することとなる
給与所得以外の所得に係る所得割額(同条第4項に規定する場合には、同項の規定により読み替えて適用される同条第2項本文の規定により
特別徴収の方法によつて徴収することとなる給与所得及び公的年金等に係る所得以外の所得に係る所得割額)を合算した額(以下この条から第321条の7までにおいて
「給与所得に係る特別徴収税額」という。)を特別徴収の方法によつて徴収する旨(第7項から第9項までにおいて「通知事項」という。)を
当該特別徴収義務者及びこれを経由して当該納税義務者に通知しなければならない。
2 市町村長が前項後段の規定により特別徴収義務者及び特別徴収義務者を経由して納税義務者に対してする通知は、
当該年度の初日の属する年の5月31日までにしなければならない。
3 第317条の6第1項の規定により提出すべき給与支払報告書が同項の提出期限までに提出されなかつたことその他やむを得ない理由があることにより、
市町村長が前項に規定する期日までに第1項後段の規定による通知をすることができなかつた場合には、当該期日後において当該通知をすることを妨げない。
ただし、次条第1項の規定により当該通知のあつた日の属する月の翌月から翌年5月までの間において給与所得に係る特別徴収税額を徴収することが
不適当であると認められる場合は、この限りでない。
4 第1項の場合において、同一の納税義務者に対して給与の支払をする者が2以上あるときは、市町村は、当該市町村の条例によりこれらの支払をする者の
全部又は一部を特別徴収義務者として指定しなければならない。この場合において、特別徴収義務者として2以上の者を指定したときは、
給与所得に係る特別徴収税額をこれらの者が当該年度中にそれぞれ支払うべき給与の額に按分して、これを徴収させることができる。
5 納税義務者である給与所得者に対し給与の支払をする者に当該年度の初日の翌日から翌年の4月30日までの間において異動を生じた場合において、
当該給与所得者が当該給与所得者に対して新たに給与の支払をする者となつた者(所得税法第183条の規定により給与の支払をする際
所得税を徴収して納付する義務がある者に限る。以下この項において同じ。)を通じて、当該異動により従前の給与の支払をする者から
給与の支払を受けなくなつた日の属する月の翌月の10日(その支払を受けなくなつた日が翌年の4月中である場合には、同月30日)までに、
前条第1項本文の規定により特別徴収の方法によつて徴収されるべき前年中の給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額
(既に特別徴収の方法によつて徴収された金額があるときは、当該金額を控除した金額)を特別徴収の方法によつて徴収されたい旨の申出をしたときは、
市町村は、当該給与所得者に対して新たに給与の支払をする者となつた者を当該市町村の条例により特別徴収義務者として指定し、これに徴収させるものとする。
ただし、当該申出が翌年の4月中にあつた場合において、当該給与所得者に対して新たに給与の支払をする者となつた者を特別徴収義務者として指定し、
これに徴収させることが困難であると市町村長が認めるときは、この限りでない。
6 第1項後段の規定は、前項本文の場合について準用する。
7 市町村長は、第1項又は第5項の規定により指定した特別徴収義務者の同意がある場合には、第1項後段(前項において準用する場合を含む。次項において同じ。)
の規定による当該特別徴収義務者に対する通知に代えて、通知事項を、総務省令で定めるところにより、地方税関係手続用電子情報処理組織を使用し、かつ、
機構を経由して行う方法により当該特別徴収義務者に提供することができる。
8 前項の規定により行われた通知事項の提供については、第1項後段の規定による通知があつたものとみなして、次条第1項及び第321条の6第1項の規定を適用する。
9 第7項の規定により行われた通知事項の提供は、第762条第1号の機構の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた上で、
同項に規定する市町村長が総務省令で定める方法により通知した当該記録に関する事項が同項に規定する特別徴収義務者に到達した時に
当該特別徴収義務者に到達したものとみなす。
また、法律や行政の取扱い例は上述のとおりですが、市区町村によって、あるいは、会社側・従業員側での手続き等によって
実際には異なる場合がありますので、詳細は、市区町村や税理士等の専門家に確認するようにしましょう。
【前回内容】
住民税特別徴収のギモン5:特別徴収住民税を毎月でなく年に2回の納税が出来る場合
【次回内容】