税理士 佐藤充宏
目次
申告書は“作ること”より“正しく仕上げること”が難しい
自社で法人税や地方税の申告書を作成する会社が増えています。
クラウド会計を使えば決算処理まで社内で完結でき、外注コストも抑えられる──確かに、この流れ自体は大きなメリットがあります。
しかし、その一方で次のような声を多く耳にします。
「別表が正しいか自信がない」
「会計データと申告書の数字が合わない理由が分からない」
「申告書作成ソフトに入力した数値が正しいか不安」
「納税額が想定より高く、その根拠が見えない」
ツールの進化によって“作成はできる”環境になりましたが、
“正しく提出できるか”はまったく別問題です。
本記事では、申告書を社内で作る場合に見落としがちなリスクと、提出前レビュー・チェックによって得られる大きな安心・費用対効果について、経営者・経理担当者様向けに整理して解説します。
申告書づくりの「時間・コスト・ストレス」は想像以上に大きい
申告書作成に慣れていない担当者ほど、次のプロセスに膨大な時間を取られます。
1. 別表の仕組みを理解する時間
法人税申告書は別表1・4・5を中心に、多くの“連動ルール”で成り立っています。
少しの入力違いで数字がつながらなくなり、原因調査だけで数時間かかるケースも珍しくありません。
2. 会計データとの整合性チェック
損益計算書・貸借対照表との金額不一致が発生した場合、
会計処理の遡り確認が必要となり、担当者のストレスは一気に高まります。
3. 申告書作成ソフトの操作習熟
毎年少しずつ仕様が変わるため、
「去年と同じ操作で作れない」ことで戸惑う担当者は非常に多いです。
4. 正しいのか判断する根拠がない
もっとも大きなストレスはここです。
“合っているかどうか、確信が持てない”
これは精神的負荷が非常に大きく、決算時期の負担を重くしています。
担当者が抱える負担は「見えないコスト」になっている
申告書作成を社内で行うと、表面上の外注費は抑えられますが、次の見えないコストが発生します。
- 担当者の作業時間（本来の業務が止まる）
- 精神的ストレス
- 作業遅延による社内全体の負荷
- 間違いによる修正対応コスト
- 将来の税務調査リスク
特に「数字が合わない」「別表の意味が分からない」ことで
担当者が1日〜2日を費やすケースはよくあります。
時給換算すると、会社としては決して小さくないコストになります。
その上で、最終的に
「これで本当に提出して大丈夫なのか？」
という不安が残る──
これが自社作成の最大の弱点です。
専門家による“提出前チェック”は費用対効果が極めて高い
ここで効果を発揮するのが、税理士による提出前レビュー・チェックサービスです。
1. 専門家が別表の整合性を短時間で見抜く
別表1・4・5を中心に、数字の連動関係や付表の漏れなどを短時間で確認できます。
担当者が数時間悩む内容でも、経験豊富な税理士であれば
“数分で原因が分かる” 場合もあります。
2. 会計データとの不一致も、原因を特定できる
会計処理や勘定科目の判断ミスなど、
実務でよく起きる「ズレ」の原因も見つけやすくなります。
3. 間違いによる税務リスクを大幅に減らす
誤った別表や過大申告・過少申告は、税務調査の指摘対象になりえるため、
提出前のチェックは会社にとって保険的な役割を果たします。
4. 担当者のストレスが劇的に減る
最終的な責任を一人で抱え込む必要がなくなり、
安心して業務に向き合えるようになります。
「外注するより自社で作った方が安い」は、本当に正しいか？
多くの会社がそう考えますが、実務を見ていると
むしろ逆の場合が多い傾向があります。
担当者が1〜2日悩む時間を人件費換算すると、
提出前チェックの費用は十分回収可能です。
加えて、間違いに気づけないまま提出することによる
- 納税額の誤り
- 調査時の指摘リスク
- 修正申告の手間と時間
これらを避けられると考えると、
提出前レビュー・チェックを依頼する方が圧倒的に費用対効果が高い と言えます。
税務のプロに確認してもらうことで、会社の税務の「未来」も変わる
提出前レビュー・チェックのメリットは「今年の申告書が正しくなる」だけではありません。
税理士がチェックする過程で、
- 会計処理のクセ
- 税務上の注意点
- 今後の節税・税務リスクのポイント
といった“会社の傾向”が見えてきます。
これは、
次年度以降の税務対応・経理体制の改善につながる大きな資産 になります。
つまり、提出前レビュー・ェックは単なる確認作業ではなく、
会社の税務をより正確にし、経営判断にも良い影響を及ぼす「投資」なのです。
まとめ：提出前レビュー・チェックは、担当者と会社の双方に大きなメリットがある
自社で申告書を作成すること自体は悪くありません。
しかし、
- 担当者の時間・ストレス
- 正確性の不安
- 税務調査リスク
- 会社としての人的コスト
を考えると、提出前の専門家チェックは価値の高いサービスです。
「これで合っているはず…」という不安のまま提出するのではなく、
税務の専門家による確認を受けることで、会社のリスクを最小化し、
担当者の負担を大幅に軽くすることができます。
正確で安心できる申告を実現するために、
提出前レビュー・チェックサービスをぜひご活用ください。
