
目次
はじめに
近年、クラウド会計や申告書作成ソフトの普及により、
確定申告書を自社で作成する会社 が確実に増えています。
その流れの中で、
「申告書は自社で作ったが、本当にこれで大丈夫か不安」
「提出前に、第三者の専門家に一度チェックしてほしい」
という理由から、申告書チェック・レビューサービス をご相談いただくケースも増えてきました。
弊所でも、
法人税・地方税の申告書を対象とした提出前チェックサービス をご提供していますが、
その際、よくいただくご質問があります。
「消費税申告書のチェックは、なぜ別料金なのですか?」
本記事では、
申告書チェックを検討されている会社様に、あらかじめ知っておいていただきたい
「消費税レビューが別料金になる理由」について、
実務の現場目線で正直にお話しします。

法人税・地方税の申告書レビューは、何をチェックしているのか
まず、弊所が基本サービスとして提供している
法人税・地方税の申告書チェック では、主に次の点を確認しています。
- 別表間の整合性(別表一・四・五など)
- 決算書・勘定科目内訳書との金額の一致
- 別表漏れや計算ミスの有無
- 税額が想定より大きくなっている原因の確認
- 会計データと申告書数値の不整合の確認
これらは、
完成している申告書類と決算書をもとにしたレビュー が中心です。
もちろん専門的な判断は必要ですが、
基本的には「提出用に作成された資料」が正確かつ適法であることを前提に、
構造・数字・整合性を確認する作業 となります。
消費税申告書は「完成した数字」だけでは判断できない
一方で、消費税申告書 は事情が大きく異なります。
消費税の正確性を確認するためには、
単に申告書に記載された数字を見るだけでは不十分です。
なぜなら、消費税の計算は、
- 各取引が「課税・非課税・不課税・免税・対象外」のどれに該当するか
- 税率は標準税率か軽減税率等か
- 原則課税か簡易課税かの適用判断
- 仕入税額控除の対象になるかどうか
- インボイス要件を満たしているか
- その他、消費税の適用にあたって留意すべき点があるか
といった ひとつひとつの取引単位での判断の積み重ね によって成り立っているからです。
消費税レビューでは「全取引」を証憑から確認する必要がある
消費税申告書のチェックを行う場合、
実務上は次のような作業が必要になります。
- 売上・仕入・経費等の全取引を洗い出す
- 請求書・領収書・契約書などの証憑を一つずつ確認
- 消費税区分の判断が適切かを検証
- 課税売上割合や控除計算に影響がないか確認
- 誤った区分が税額にどの程度影響するかを検討
つまり、
帳簿上の数字だけでなく、取引の中身そのものを見る作業 が不可欠です。
この作業量は、
会社の取引件数や業種によっては非常に膨大になります。
時間と責任の重さが、法人税・地方税レビュー・チェックとはまったく異なる
消費税は、
一つの判断ミスが 過少申告・過大申告 に直結しやすい税目の一つです。
特に、
- 非課税取引を誤って課税にしている
- 税率の適用誤り
- インボイス制度対応の判断ミス
- 消費税関連法令の適用誤り
などは、
後から税務調査で指摘されやすいポイントでもあります。
そのため、消費税のレビューは、
- 作業時間が長く
- 判断の責任も重く
- 様々なリスク管理も必要
となり、
法人税・地方税の申告書チェックとは 性質が大きく異なる業務 になります。

「同じ料金で全部見てほしい」が難しい理由
「法人税の申告書をチェックしてもらうついでに、
消費税も同じ料金で見てもらえないか」
そう考えるのは、自然なことだと思います。
しかし実務上は、
- 確認範囲
- 必要資料
- 作業時間
- 責任の重さ
のいずれを取っても、
消費税レビューは別業務として考えざるを得ない のが現実です。
仮に同一料金にすると、
結果として報酬は大幅に高くなってしまい、
「法人税・地方税のチェックだけを希望する会社様」にとって
費用対効果が合わなくなってしまいます。
あえて「別料金」としている理由
弊所では、あえて
- 基本サービス:法人税・地方税の申告書チェック
- オプション:消費税申告書レビュー(別途)
という形を取っています。
その理由は、
- 必要な会社様だけが選択できる
- 作業内容と報酬のバランスが明確
- 「知らないまま高額になる」ことを防げる
からです。
事前に内容と理由を知った上で、納得して依頼していただくこと
それが、結果的に会社様にとっても安心につながると考えています。

まずは「チェックが必要かどうか」の相談からで問題ありません
「消費税までチェックが必要か分からない」
「今回は法人税・地方税だけ見てもらえれば十分かもしれない」
そうした段階でのご相談でも、まったく問題ありません。
まずは申告書の内容を拝見し、
- どこまで確認すべきか
- 消費税レビューが必要かどうか
- 進め方や費用の目安
をご案内しています。

まとめ
- 法人税・地方税の申告書レビュー・チェックは、完成書類の整合性確認が中心
- 消費税申告書レビュー・チェックは、全取引の中身を証憑から確認する必要がある
- 消費税申告書レビュー・チェックは、作業量・責任の重さが大きく異なるため、別料金としている
- 消費税申告書レビュー・チェック、必要な会社様だけが選択できる形が、結果的に費用対効果が高い
申告書チェックをご検討される際は、
「なぜ別料金なのか」を理解した上でご依頼いただくこと が、
安心して進めるための第一歩になります。
少しでも不安がある場合は、
提出前の早い段階でご相談ください。
※本記事は、法人税・地方税申告書チェックサービスの考え方を説明するものです。
具体的な対応可否や報酬については、個別にご案内していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。




