令和3年度の税制改正により、電子帳簿保存法が見直しになり、令和4年1月1日に施行される事になりました。
ところで、最近では、自社で会計ソフトを使って経理データを入力したり、申告書作成ソフトを活用して申告データを入力している会社が増えてきています。
そこで、このような会社で、国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等は認められるのかについて、ご案内します。
目次
結論
ディスプレイやシステムの概要書等を備え付けること等の一定の要件を満たしている場合には、紙による保存等に代えて、
電磁的記録等による保存等を行うことが認められています。
ディスプレイやシステムの概要書等を備え付けること等の一定の要件を満たしていない場合
電磁的記録等による保存等は認められませんので、紙で出力をして保存等を行う必要があります。
優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置について
国税関係帳簿について、電子帳簿保存法第8条第4項に規定している過少申告加算税の軽減措置の適用を受ける場合には、税務署長への届出に加えて、
特例国税関係帳簿の全てを会計ソフト等で作成している必要があります。
そして、その作成に使用する会計ソフト等には、例えば電磁的記録の訂正・削除の履歴を確認できる機能等の優良な電子帳簿の要件を満たすための機能が必要となります。
これに対して、使用している会計ソフト等にこれらの機能が備わっていない場合は、過少申告加算税の軽減措置の適用を受けることはできません。
※1)会計ソフト等におけるこれらの要件に関する事項についてはメーカー等の操作説明書等で確認します。
※2)会計ソフト等に、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(以下「JIIMA」といいます)による優良な電子帳簿に係る要件適合性の確認を受けたものについては、
パッケージ等にJIIMA認証の認証マークが印字されています。
電子帳簿保存法第8条第4項の条文について
参考までに、上述の電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)には、次のように規定されています。
第8条 他の国税に関する法律の規定の適用
4 次に掲げる国税関係帳簿であって財務省令で定めるものに係る電磁的記録の備付け及び保存又は当該電磁的記録の備付け及び
当該電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存が、国税の納税義務の適正な履行に資するものとして財務省令で定める要件を満たしている場合における
当該電磁的記録又は当該電子計算機出力マイクロフィルム
(政令で定める日以後引き続き当該要件を満たしてこれらの備付け及び保存が行われているものに限る。以下この項において同じ。)
に記録された事項に関し国税通則法第19条第3項(修正申告)に規定する修正申告書(次項において「修正申告書」という。)の提出又は同法第24条(更正)若しくは
第26条(再更正)の規定による更正(次項において「更正」という。)(以下この項において「修正申告等」という。)があった場合において、
同法第65条(過少申告加算税)の規定の適用があるときは、同条の過少申告加算税の額は、同条の規定にかかわらず、
同条の規定により計算した金額から当該過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額
(その税額の計算の基礎となるべき事実で当該修正申告等の基因となる当該電磁的記録又は当該電子計算機出力マイクロフィルムに記録された事項に係るもの以外のもの(以下この項において「電磁的記録等に記録された事項に係るもの以外の事実」という。)があるときは、当該電磁的記録等に記録された事項に係るもの以外の事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)
に100分の5の割合を乗じて計算した金額を控除した金額とする。
ただし、その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものがあるときは、この限りでない。
一 第4条第1項の規定により国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えている保存義務者の当該国税関係帳簿
二 第5条第1項又は第3項の規定により国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び当該電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存をもって
当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えている保存義務者の当該国税関係帳簿
最終改正日:令和03年03月31日
まとめ
令和3年税制改正による電子帳簿保存法の改正により、市販の会計ソフト等を活用して経理処理や申告書類の作成等をしていて、
ディスプレイやシステムの概要書等を備え付けること等の一定の要件を満たしている場合には、紙による保存等に代えて、
国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等を行うことが認められました。
なお、実際には、個別にソフトの使用状況やその他、個別に確認しなければならない場合がありますので、
自社が国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等を行うことが出来るのか等は、税理士等の専門家に確認をしましょう。