
目次
1. はじめに
「毎日忙しいのに、なぜか作業が終わらない」
「手が空かず、他の業務に着手できない」
そんな悩みを抱える中小企業・小規模事業者の経営者や経理担当者の方は少なくありません。
経理業務の効率化というと、会計ソフトの刷新やRPA導入といった“テクノロジーによる改革”が思い浮かぶかもしれません。
しかし、実際には日々の習慣や作業の進め方を見直すだけで、大きな改善につながるケースが非常に多いのです。
そこで、今回は、
「習慣の見直し」
をテーマに、経理業務の生産性を高める3つのステップをご紹介します。
特別なツールや予算を必要としない、すぐに取り組める内容ですので、ぜひ明日からでも実践してみてください。
2. 生産性を高める3ステップ
ステップ①:「集中できる時間帯」を味方につける
経理業務では、細かな数字の確認や書類チェックなど、集中力が求められる業務が多くあります。
そのため、集中できる時間帯に重要な作業をあてるだけで、作業スピードと正確性が大きく変わってきます。
✅ 実践ポイント
毎朝10分だけ「やることリスト」を作成し、優先度の高い業務から処理しましょう。
その後、以下の例のように、時間帯ごとの“集中作業”をルール化すると、業務のペースが整います。
時間帯 | 推奨する業務内容 |
---|---|
9:00〜11:00 | 仕訳処理・帳簿チェックなど集中力が必要な作業 |
11:00〜13:00 | 請求書確認・外部とのメール連絡 |
14:00〜16:00 | 振込対応 |
16:00〜17:30 | 確認作業・翌日の準備 |
ステップ②:紙・アナログ作業からの脱却
「紙での管理」は一見効率的に見えて、実際には多くの手間が発生しています。
以下のようなアナログ作業を“デジタル化”するだけで、確認・検索・保管のストレスが大きく減ります。
近年では、デジタル化対応は進んでいますが、それでもなかなか対応できない場合もありますので、
どのようにすればデジタル化が出来るのかを改めて検証し、実行しましょう。
従来の手間 | 改善後の方法(例) | 効果 |
---|---|---|
紙の領収書をファイリング | PDF保存+クラウド保管 | 探す時間を削減 |
メールで承認依頼 | チャット+テンプレート連携 | やり取りの回数減少 |
紙帳票を都度印刷 | スプレッドシートで共有 | 印刷コスト・時間削減 |
✅ 実践ポイント
GoogleドライブやDropboxの無料プランでも十分活用できます。
フォルダ名に「月」や「処理区分」を入れるだけで検索性が向上します。
ステップ③:「属人化の排除」と「ルール化の徹底」
「この業務はあの人にしかわからない」
「担当が休むと何も進まない」
──そんな状態では、どれだけ優秀な人材がいても非効率になってしまいます。
業務の属人化は、トラブルや業務継続性の低下につながるため、手順書やチェックリストの整備が欠かせません。
例えば、以下のように、ルールを文書化・共有することが重要です。
業務内容 | 対応策 | 備考 |
---|---|---|
月次締め処理 | チェックリスト作成 | 漏れの防止に有効 |
経費精算 | Excelテンプレートの統一 | 集計・入力工数を軽減 |
取引先への支払処理 | 手順書の作成 | 急な担当変更でも対応可能 |
✅ 実践ポイント
マニュアルは「完璧」である必要はありません。
「最低限この通りにすれば処理できる」というレベルで十分です。
3. まとめ
経理業務の効率化は、大がかりなシステム導入をしなくても、日々の業務習慣を見直すことから始められます。
今回ご紹介した次の3つのステップは、どれもコストをかけず、かつ効果が実感しやすい内容です。
-
集中できる時間帯の活用で作業精度を高める
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デジタル化によって手間を軽減し検索性を上げる
-
属人化を排除し、誰でも処理できる体制を整える
これらを一つずつ積み重ねることで生産性が向上し、
本来の業務に時間を使えるようになります。
まずは今日の業務の中で「非効率かもしれない」と感じる部分を、一つ見直して実践してみましょう。