
目次
1.はじめに
「忙しすぎて、本来やるべきことに手が回らない」
多くの経営者が抱えるこの悩みの根本には、「時間の使い方」に関する課題があります。
会社のリソースの中でも貴重なのは「経営者の時間」です。
その時間が、ルーティン業務や非本質的な対応に奪われてしまっては、会社の成長は鈍化し、経営判断の精度も低下します。
そこで、今回は、「経営者の時間は高価な資産である」という視点から、業務改善方法をご紹介します。
2.経営者の「時間単価」を見える化する
まず、経営者の時間価値を数字で見てみましょう。
たとえば、年商1億円、年間労働時間を2,000時間(1日8時間 × 週5日 × 50週)とした場合:
年商1億円 ÷ 2,000時間 = 時給5万円
これはあくまで概算ですが、それほどの価値がある、ということです。
この「5万円の時給」を意識すると、どの業務を自分が行うべきか、何を手放すべきかが明確になってきます。
3. 非効率な業務はどこにあるか
多くの経営者が無意識に時間を奪われている業務には、例えば次のようなものがあります。
・社内の経費精算チェック
・営業資料の文言や体裁の細かい確認
・社員のスケジュール調整
・毎日確認しなくていい報告書の閲覧
・「とりあえず出ている」定例会議の参加
これらは重要な業務とは言い難く、他の人に任せたり、仕組みで解決できることがほとんどです。
4. 時間を奪う業務から脱却する3つのステップ
ステップ① やらないことを決める
まずは、
「本当に自分がやる必要があるのか?」
という視点で見直してみましょう。
経営者がすべてに目を通す必要はありません。
「確認しない」「出席しない」「対応しない」と決めることは、戦略的な判断です。
ToDoリストより「Not To Doリスト」を作ることで、本質的な業務への集中が可能になります。
ステップ② 任せる力を高める
「任せたら不安」「自分でやった方が早い」と思うことは多いですが、それは一時的な話にすぎません。
任せるには、相手に明確な目的を伝え、判断基準を共有することが大切です。
また、ミスや遠回りを許容する“余白”を持つことも、組織づくりには欠かせません。
「任せる=手放す」ではなく、「任せる=育てる」という視点に立つことが重要です。
ステップ③ 自動化・外注化を積極的に
経理、勤怠管理、請求業務、日程調整などは、すでに多くのツールで自動化が可能です。
また、デザイン・SNS・広報・法務などは、外部の専門家にアウトソースすることで、
クオリティも確保しながら、時間を創出できます。
5. 時間管理は「経営判断」の一つである
経営者の時間は、経費でも資産でもなく、「意思決定の起点」です。
その時間の使い方次第で、業績・組織文化・人材の質が決まり、結果として企業の方向性までも左右します。
言い換えれば、「何に時間を使っているか」が、そのまま「何を大切にしているか」を表しているのです。
6. まとめ
経営者の時間は、有限かつ高価な経営資源です。
だからこそ、やらないことを決め、任せ、仕組みを整え、
本質的な仕事に集中できる体制を築くことが求められます。
今、経営者であるご自身の1時間あたり単価を算出し、
その時間が未来への投資に繋がっているのか確認しましょう。