経理や税金に関係する業務を担当している人は、月次決算や年次決算の締め日や、確定申告期限時期になってくると、忙しさが増してしまいます。
年次決算や確定申告になると、
前年と同じ仕組みで進めて大丈夫な業務であれば、それを踏襲して進める。
という事をしている場合があります。
決算の仕訳を考えても、減価償却や税金の計上仕訳等、金額は異なっても、毎年登場する仕訳があります。
これらは、税制等の変更が無ければ、数字は当期分に置き換えて、仕訳(借方・貸方)の勘定科目や摘要は前期と同様にそのまま用いる事もあります。
そして、税金についても、市販の申告書作成ソフトや独自のシステムを使って、必要な情報を入力して、今期に計上する税金を算出して、それを決算に反映させる事が多いと思います。
すると、自動的に計算してくれるため、税金の制度の変更があった場合には、なかなか気付かない事もあります。
そして、今年度の決算や申告処理をする際に、前年度の内容を振り返ってみると、
「あれっ。そういえば、新しい名前の税金が計算されている。」
としばらくして気付く事もあります。
目次
特別法人事業税
地方税の税金の一つとして、以前は制定されていなかったものの一つとして、特別法人事業税があります。
実は、この税金は、以前は地方法人特別税という名前で知られていましたが、次のような流れで現在に至っています。
地方法人特別税の廃止
令和元年9月30日までに開始する事業年度をもって、地方法人特別税が廃止されました。
この廃止により、新たな税金が創設されました。
特別法人事業税の創設
令和元年10月1日以後に開始する事業年度より、特別法人事業税が申告で適用されます。
そして、納税の対象は、法人事業税の申告義務のある法人です。
なお、地方法人特別税とは税率等が異なります。
特別法人事業税の計算式
基準法人所得割額又は基準法人収入割額×税率
※基準法人所得割額又は基準法人収入割額とは
標準税率により計算した法人事業税の所得割額(小売電気事業等・発電事業等に係る所得割額を除きます。)又は収入割額のことです。
そのため、
法人事業税で超過税率が適用されている場合は、標準税率で計算する事になるので、注意が必要です。
そして、
各自治体で設定されている標準税率を適用するため、自社の標準税率を事前にチェックしなければなりません。
特別法人事業税の税率
税率は、東京都主税局については、次の事業年毎度に区分して設定されています。
1、令和元年10月1日から令和2年3月31日までに開始する事業年度
(1)課税標準が基準法人所得割額の場合
①外形標準課税法人・特別法人以外の法人…37%
②外形標準課税法人…260%
③特別法人…34.5%
(2)課税標準が基準法人収入割額の場合
①小売電気事業等・発電事業等を行う法人以外の法人…30%
②小売電気事業等・発電事業等を行う法人…30%
2、令和2年4月1日以後に開始する事業年度
(1)課税標準が基準法人所得割額の場合
①外形標準課税法人・特別法人以外の法人…37%
②外形標準課税法人…260%
③特別法人…34.5%
(2)課税標準が基準法人収入割額の場合
①小売電気事業等・発電事業等を行う法人以外の法人…30%
②小売電気事業等・発電事業等を行う法人…40%
まとめ
令和元年9月30日までに開始する事業年度をもって、地方法人特別税が廃止され、令和元年10月1日以後に開始する事業年度より、特別法人事業税が創設されました。
納税額の計算については、事業年度や法人の種類等によって異なり、その他変更点もありますので、これから特別法人事業税の計算をする場合には、東京都主税局のホームページ等を確認して進めるようにしましょう。