令和1年(平成31年)分の所得税の確定申告が終わると、令和2年については、その確定申告の内容に基づき、住民税が計算され、5-6月頃に住民税の納税通知書が送付されてきます。
住民税は、前年度の所得等に基づいて納めるべき金額が決まるため、所得税の納税だけ済ませておけば大丈夫だと思ったころに住民税の納税のお知らせが来るので、ドキッとする事があるかもしれません。
しかし、最近は税金に関する情報もインターネットやSNSで入手できるので、今までのように住民税の納税を考えていないようなことはなくなってきましたが、実は住民税以上に納税に気を付けなければならいないケースが個人事業者の場合にはあるのです。
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個人事業税の納税通知書は、翌年8月頃から送付が開始されます
住民税は、たいてい5-6月頃に納税通知書が送付されるとお知らせしましたが、それよりも遅いタイミングで送付されるものがあります。
それが、
個人事業税の納税通知書
です。
この個人事業税というのは、住民税と同様に、前年中の所得等の申告に基づいて納税額が決まるものであり、所得税や住民税の申告をした個人事業者であれば、個人事業税の申告をする必要はありません。
しかも、新しい年になってからだいぶ経ってから納税通知書が送付されてくるので、納税の事をすっかり忘れる事もあるようです。
この個人事業税の納税通知書は、原則として
8月(第1期)と11月(第2期)の年2回に送付されてきます。
なお、修正申告や更正・決定、事業を廃止した場合等には、この8月と11月以外のタイミングで送付されてくることもあります。
そして、納期限は、基本的には次のようになっています。
送付月が8月の場合→8月末日
送付月が11月の場合→11月末日
また、送付月がずれるとそれに合わせて納期限も一定の基準でスライドする事になりますが、送付月によっては、納期が2回に分けられずに1回になる事等もあるので、実際には、送付されてくる納税通知書の内容を確認して納税手続きをしましょう。
納税義務者は、事務所や事業所を設けて法定業種の事業を行なっている個人の方です
個人事業税は、その言葉とおり、「個人」が納税します。
そして、法定業種を行なっている場合であり、この法定業種には、現在は70の業種があり、ほとんどの事業が該当する事になっています。
納税額の計算概要
個人事業税は、その個人の所得に基づいて計算されますが、その所得の算出方法は、所得税や住民税とは異なっています。
計算の概要ですが、
(事業所得又は(及び)不動産所得+所得税の事業専従者給与(控除)額ー個人事業税の事業専従者給与(控除額)+青色申告特別控除額-各種控除額)×税率
となります。
いくつかの項目の加減算をした金額の税率をかける事になりますが、次のような内容が個人事業税の計算トピックになります。
個人事業税には青色申告の特別控除は適用されません
所得税の青色申告をする場合には、青色申告者に対しては、種々の特典があり、そのうちの一つに所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除がありますが、この青色申告の特別控除は個人事業税では適用されないのです。
※令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額・基礎控除額が変わります。
個人事業税には、「事業主控除」という控除制度があります
個人事業税には青色申告の特別控除はありませんが、一方、個人事業税ならでは控除があります。
それが、事業主控除と呼ばれるものです。
これは、上記算式のとおり、年間290万円(営業期間が1年未満の場合は月割額)を所得から控除してくれるものになります。
税率は業種によって異なります
東京都の場合を例にとってみると、は、その業種によって異なります。
第1種から第3種まで区分され、
現時点では
第1種:5%
第2種:4%
第3種:5%又は3%
となっています。
個人事業税の納税方法
個人事業税は地方税としての一つであり、その管轄する行政によって納付方法が異なる場合がありますが、東京都の場合には、
金融機関
都税事務所
コンビニエンスストア
といった窓口で納税する場合と
インターネット決済であれば、
スマートフォン
クレジットカード
ペイジー
があり、
その他にも、口座振替も所定の手続きをすれば出来ます。
なお、納税方法によっては、領収書が出ない場合や手数料がかかったりする場合もありますので、事前に確認するようにしましょう。
年間の納税資金はきちんと把握しましょう
年間を通じて支払う税金には色々な種類があります。
個人事業者の方であれば、
所得税
消費税
住民税
事業税
固定資産税
自動車税 等
中には納税が不要な税金もあるかもしれませんが、納税資金は多額になる場合もあり、事業をしていく上で資金繰りに大きな影響を与える事もあります。
そのため、あらかじめ、毎年どれくらいの納税があるのか、そして、各々の税金の納期限がいつなのかを把握して、事業資金計画に織り込むようにして、資金繰りに支障をきたさないようにして、本業に集中できる体制を築きましょう。