江東区の税理士     経営アドバイザー

佐藤充宏 江東区で税理士事務所・ファイナンスコンサルティング会社を経営しています。

経理部長になるには:その3「事業計画の仕組みを理解しましょう」

経理部長になるには:その3「事業計画の仕組みを理解しましょう」

経理業務をしていると、売上であれば、得意先へ請求をして入金予定日に口座へ漏れなく着金しているのか、仕入れや経費であれば、取引先から請求されたら、支払サイトに従って、期限内に正しい金額を相手先に支払うという事を日々の事業資金の出納業務として行います。

そして、この日々の出納業務を経営数値に織り込んで、貸借対照表や損益計算書・資金繰り表等を作成するのですが、これは、いわゆる

「実績値」

に基づいた経理処理をしているのですが、経理としては把握するべき数値は他にもあります。

その一つが

「予測値」

です。

これは、将来発生すると見込まれる取引を経営数値に織り込むというものです。

経理担当者としては、日々の取引を元に経営数値を算出するのを主業務としてする場合がありますが、一方で、経営戦略上、予測値を経理部署で管理・集計する事もあります。

事業計画は、会社の今後の事業の目標を見える化して更なる成長・発展を目指すために作成します

たまにメディアで事業計画に関する記事が掲載されている事がありますが、これはどういうものでしょうか。

事業計画の定義や考え方にはいくつかありますが、会社が今後成長していく上で必要な目標とその目標を達成するために必要なプロセスを指針として示したものです。

会社には従業員がいて、その従業員とこれからやるべき事をみんなで共有するには、その共有できる情報を視覚化する必要があります。

その視覚化した情報である事業計画を元に、その計画に従って行動する事により、会社の更なる成長・発展が出来るのです。

この事業計画がないと、会社の成長は行き当たりばったりなものになる可能性があります。

日々売上を増やそう、経費をおさえよう、新しい事業を始めようという事をただ漠然と進めていても、その進捗が思うように進まなかったり、いつの間にか立ち消えしている事さえあります。

これは、みんなが目指すべき目標を共有しないで、プロセスを振り返りせず、責任者もいないような状況で進めていくと陥りやすいです。

そのため、会社全体の今後の目標を設定し、その目標達成のために各担当部署がやらなければならない事を決めて、その内容を公表・公開する事により、事業計画を策定します。

事業計画を策定すると、いつ、誰(どの部署)が、どのように目標を達成するのかが明確になります

事業計画の良いところは、目標が明確になり、担当・責任の所在がはっきりする事にあります。

自分がやらなければならない事があれば、それをやり遂げるために行動し、責任者であれば、その目標達成の進捗を管理しなければなりません。

自分にその役割がない、又は、役割が曖昧な場合には、「他の人がやってくれるはずだ」「自分が担当になっていないから、関わらなくても良い」という風に考える事にもなってしまいます。

そこで、事業計画を策定すれば、例えば、営業や製造部門では目標としている売上達成にあたり、どれだけの製品を生産して、市場にどれくらいの量で販売しなければならないのか等を考え、実行に移す事にも繋がるのです。

経理部門は事業計画策定のサポートをする必要があります

事業計画は、経理部門が全てのプロセスに責任を持つというものではありません。

事業計画達成のために、各担当部署が方策を練り、その内容に合理性があり、数値に関しては達成可能性が見込まれるのかを、全部署から情報を集約して全体的に俯瞰して整合性をチェックしていくのが経理部門がやるべき事の一つになります。

実際には、会社の規模によってこの事業計画の策定方法に違いがあり、数人規模であれば、経営者が全ての事業計画を作成して他の従業員と共有する事もあれば、大規模な会社であれば、数か月かけて事業計画を策定する事さえあります。

そして、会社によって対応が異なりますが、経理部長は、その事業計画の中の主要な経営数値等に係る部分を集約し、経営陣への報告資料を作成したりします。

そのため、経理部長は他の部署と連絡を取りながら、事業計画を決める上での調整をしたり、サポートをしたりするので、タフな仕事になる事もあります。

まとめ

このように、会社の成長・発展のために必要な事業計画の策定にあたり、経理部長は大切な役割を担うことになるので、事業計画とはどのようなものか、そして、自社が進める事業計画を精度の高いものにするために、関係部署と連携をしながら、かつ、経理部門内でどのような対応をすべきかを経理担当者と共有して、実行していく必要があります。

そして、この事業計画の策定に携わると、自分自身の視野が広がり、そして、社内関係者との関係構築にも繋がる事にもなりますので、事業計画に経理部長として関わるは大切です。

Return Top