経理部署に配属されると、経理に関する仕事をします。
そして、経理で必要な知識というと最初に挙がるのが、
簿記
です。
しかし、簿記といっても、実際には広範囲の内容があり、資格試験でいうと初級レベルから上級レベルまでありますが、それを全てマスターしないと経理の仕事は出来ず、また、経理部長になる事は出来ないのでしょうか。
そこで、今回は、経理部長を目指す上で簿記の知識が必要なのかについてご案内します。
簿記3級の知識があった方が経理業務を円滑に進める事が出来ます
結論になりますが、簿記3級の知識は経理業務を担当する上では必要です。
ところで、簿記とは、その名前のとおり、簿と記に分かれ、
「帳簿」「記入」
という言葉が一つになったというイメージを持って下さい。
つまり、帳簿に記入するという事ですが、何を帳簿に記入するのかというと、一般的に、現時点や将来のお金の出し入れをや取引を帳簿に記入するというように考えましょう。
例えば、スーパーやコンビニであれば、
商品33,000円の商品を仕入れたとします。
すると、取引では、仕入が発生しています。
そして、商品を仕入れた場合には、仕入先へ代金33,000円を支払わなければなりません。
そのため、手元資金が33,000円減ります。
すると、商品を仕入れる事による会社の帳簿にはどのように記入されるのかというと、
仕入(モノ)が33,000円増える
お金が33,000円減る
という事で、同じ金額のモノが増えて、その分同じ金額のお金が減るのです。
つまり、お金と同等価値のモノに会社の持ち物が代わった事になります。
このように、会社が取引をしていくと、会社の資産や経費の内訳が代わり、これらの取引を帳簿に記入していくのが簿記になります。
そして、取引を帳簿に記入していくと、資産や負債・純資産といった貸借対照表に表示されるものと、売上や原価・費用等といった損益計算書に表示されるものに分かれます。
この貸借対照表や損益計算書を誤りなく作成する事にあたり必要となる知識が簿記なのです。
また、この他にも、経営上重要な書類として、キャッシュフロー計算書という、会社のお金の流れを表示した書類がありますが、こちらは簿記3級の内容ではありませんので、今後改めてご案内します。
なお、貸借対照表とは、一定時点の会社の財政状態を表示するもので、損益計算書とは一定期間における会社の経営成績を表示するものなので、これらのものを作成できれば、会社の財政状態や経営成績を理解出来る事になります。
もちろん、この貸借対照表や損益計算書を作成できたからといって経理のエキスパートになって、経理部長にすぐになれるという訳ではありませんが、経理部長になる上で必要な知識になります。
簿記3級の資格は取得した方が良いのか
ところで、簿記の知識があるという事を証明するには、簿記の「資格」を取得する事が近道だと考えられていますが、実際のところはどうかというと、100%資格が必要という訳ではありません。
しかし、経理担当職の中途採用時に求められる資格や新入社員が経理部署に配属される際に求められる資格として簿記が挙がるのは多いです。
これは、その人を受け入れる会社や部署の立場から、どれだけの簿記の知識があるのかを客観的に判断するには、資格があった方が分かり易いからです。
私も採用面接をしますが、職種によって客観的に経験やスキルを判断するには資格取得を一つの目安としています。
もちろん、それが絶対条件という訳ではなく、その他の視点から簿記の資格を取得しているに足る事が入社試験等から分かれば良い事もあります。
そして、簿記の資格というと、3級のレベルで、2級や1級のレベルは必要ないのかというと、3級を上回るレベルの知識があればなおさら良いですが、基本的なレベルを習得できる3級があれば、その後の学びと経験で3級以上で、かつ、業務をする上で必要な知識は身につきますので、2級や1級がないと絶対に通用しないとは考えなくても大丈夫です。
なお、特定の業種では、3級を上回る簿記の知識がないと業務をする事が困難な場合がありますが、一般企業で経理をするのであれば、まずは3級の勉強をして、自分にどれだけの知識が習得したのかが分かる目安として、簿記3級の検定試験を受けてみましょう。
まとめ
経理部長になるといっても、経理に関する事を100%完璧におさえていなければならないという訳ではありません。
簿記3級の知識があれば経理業務に携わる事が出来、その後の学びと経験で経理部長に相当する知識と実績を積めばよいのです。
誰もが最初から経理部長になるわけではありません。
一つ一つの積み重ねがこれからの礎となっていくのです。