東京都等では、休業要請に応じた店舗や会社に対しては、協力金としての金額を支払う事にしています。
こうした行政の施策による給付金は必要不可欠です。
ところで、この協力金は、事業をしている中で受け取った収入ですが、モノやサービスを提供した事による「売上」という事ではありません。
しかし、会社の収入であれば、利益となり、課税されてしまうのでしょうか。
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本日5月10日付けの一部新聞でも報道されています
今回の協力金の中には、各地の自治体が休業要請に応じた店舗や会社などに協力金として支払うものがあります。
休業要請に応じる事により、資金繰りが厳しくなってしまう事業者をサポートするための制度なので、そのような趣旨で支給する持続化給付金については、非課税とするように要望が出ていました。
しかし、今回の休業要請の中でも、その対象外となっていたコンビニやスーパーでは、通常通りの営業をしています。
そこで、休業して協力金の交付を受けた事業者については、協力金を支給して非課税にするというのは、休業要請対象外の店舗や会社と比較して公平性を保てないというのが理由の一つとしてあり、
「今回の休業協力金については、課税対象となる」
という決定があったと報道されました。
持続化給付金の課税の取扱いについては、経済産業省ホームページに掲載されています
この協力金の1つである持続化給付金の税金の取扱いについては、先日より経済産業省ホームページにQA形式で次のように掲載されています。
Q15.持続化給付金は課税の対象となるのか。
持続化給付金は、極めて厳しい経営環境にある事業者の事業継続を支援するため、使途に制約のない資金を給付するものです。
これは、税務上、益金(個人事業者の場合は、総収入金額)に算入されるものですが、損金(個人事業者の場合は必要経費)の方が多ければ、課税所得は生じず、結果的に課税対象となりません。
結論として、
「課税します」
と掲載しています。
この厳しい状況下ですが、事業資金を出来るだけ残して、かつ、利益を確保したいと考えている事業者も多いはずです。
そこで、この持続化給付金に限らず、今回の協力金に関して留意した方が良い2つの点についてご案内します。
1、協力金に対して課税されるものと非課税とされるものをおさえる
協力金については、全て一律で課税するというものではなく、非課税となるものもあります。
そこで、次のように課税されるものと非課税とされるものに区分します。
課税される協力金
・持続化給付金
・雇用調整助成金
・持続化給付金 など
非課税となる協力金
・子育て世帯に対する臨時特別給付金
・一律10万円の現金給付 など
2、課税される協力金については、税引き後の資金繰りを確認する
課税される協力金は、税金の納税という形でそのお金の一部が出ていく場合があります。
例えば、今年度の厳しい状況下でも利益を確保して300万円の税引前利益を確保した場合、その利益の中に課税される協力金が200万円あれば、その最終利益300万円に税金が課税されます。
法人税をケースに考えてみると、税率は法律で決まっていて、資本金が1億円以下で一定の要件に該当する中小法人であれば、年間800万円以下の所得に対しては、現行法令では15%の法人税が課税されます。
そこで、300万円がそのまま課税されるのであれば、
300万円×15%=45万円
の法人税を納税するのです。
そして、このうち、協力金が200万円であれば、
200万円×15%=30万円
が法人税の納税額となり、この協力金についてだけ考えても、手元に残るのは、
200万円ー30万円=170万円
です。
しかも、法人税だけでなく、その他にも、地方法人税や事業税・都民税等の税金の納税もあります。
そのため、一定の協力金に対して課税されるのであれば、手元に残る税引き後の事業資金を考えなければなりません。
まとめ
今回の決定により、持続化給付金等の一定の協力金については、課税される事となりました。
そのため、今回給付申請をしている店舗や会社については、給付を受けた協力金が課税されるのか非課税となるのかを区分して、そして、課税される協力金があれば、税引き後の資金繰りを予測しましょう。