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佐藤充宏 江東区で税理士事務所・ファイナンスコンサルティング会社を経営しています。

新型コロナウイルス関連の税制上措置Ⅲ:欠損金の繰戻還付拡充に関するご案内です。

新型コロナウイルス関連の税制上措置Ⅲ:欠損金の繰戻還付拡充に関するご案内です。

令和2年4月30日に令和2年度補正予算が成立し、新型コロナウイルスの影響を受けている事業者へのサポートの詳細が決まり、その施策が実行される事になりました。

そして、経済産業省ホームページでも公表されていますが、税制に関してもサポートをする事となり、そのうちの一つとして、「欠損金の繰戻還付拡充」が実施されますので、今回は、この「欠損金の繰戻還付拡充」についてご案内します。

欠損金の繰戻し還付制度は以前からありました

法人は、多くの会社が青色申告による税制上の取り扱いを受けて申告手続きをしているはずです。

この青色申告というのは、「青色申告の承認申請書」を所轄税務署に提出すると、税務署長の承認を受けて、所定の時期から、青色申告の適用を受ける事が出来ます。

そして、青色申告の適用を法人が受けると、税制上のメリットを享受できます。

そのメリットの一つに、

「欠損金の繰戻し還付」

の制度があります。

これは、一定の要件を満たしている法人については、以前に支払った法人税を還付してくれるというものです。

欠損金の繰戻し還付制度の概要

欠損金の繰戻し還付制度について、もう少し細かくみていきます。

これは、

青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合において、

その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻して

「法人税額の還付を請求できる」という制度です。

ここでいう欠損金額とは、法律用語ですが、税制上計算した法人の赤字金額をイメージして頂ければ結構です。

法人税では、連結納税ではなく、自社1社のみの単体で申告をしている場合には、赤字が発生した場合には、どのような取り扱いになるのでしょうか。

その場合、青色申告をしている法人であれば、「青色欠損金の繰越控除」という制度を活用して、この欠損金額を一定期間繰り越して、黒字が今期に発生した際には、過去の赤字である欠損金額を今期の黒字額から控除するというものがあります。
※「青色欠損金の繰越控除」の概要・要件等はこちらに記載されています。

この場合には、税制上計算した黒字が今年度に発生した場合には、過去一定期間で発生した税制上の赤字と相殺して、今年度に納める税金を少なくする(場合によってはゼロ)というものです。

一方、今回の拡充の対象となっている欠損金の繰戻し還付というのは、今期に税制上の赤字が発生した場合には、

今期開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度で納税した法人税のうち一定額を

今期に所定の手続きをして法人税の還付をしてもらおうというものです。

つまり、既に払った法人税を繰り戻して還付をしてもらうという意味で、「欠損金の繰戻し還付」といわれているのです。

イメージし易いように、数値に置き換えますが、

令和1年度が黒字で200万円の所得(黒字)、法人税が30万円

で申告していて、

令和2年度は欠損金額(赤字)が160万円となっていた場合には、

令和1年度に支払っていた法人税30万円のうち、一定額を還付してくれます。

計算式は、概して

30万円×160万円/200万円=24万円

となり、24万円の法人税が戻ってくることになります。

(状況によって、還付金額の計算が異なる場合があります)

欠損金の繰戻し還付の適用要件

しかし、この欠損金の繰戻し還付制度は、全ての法人に適用できるというものではなく、青色申告法人の場合には、次のように要件等を全て満たさなければなりません。
(この他にも、災害損失が発生した法人等についても繰戻還付の適用を受けられる場合があります)

・ 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
・ 欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること。
・ 上記ロの確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。

これに加えて、一定の場合には、繰戻し還付の適用を受ける事が出来ませんが、「中小企業者等」として、各事業年度で欠損金額が発生した場合には、この適用が受けられるのです。

そこで、「中小企業者等」とは、どのような法人かというと、資本規模の大きな親会社が出資していない、従来の株式会社や有限会社・合同会社等であれば、次の法人をイメージする事になります。

普通法人のうち、

各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下で、

各事業年度終了の時において大法人との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人を除いた法人です。

なお、大法人とは、資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人その他一定の法人が該当します。

この他にも、中小法人等として法律上規定されているものがありますが、上記のような法人が該当します。

そのため、中小企業者等に該当して、その他の所定の要件を満たさなければ、欠損金の繰戻し還付の適用は受けられないのです。

 

新型コロナウイルス関連措置として、適用法人の範囲が拡充されました

そこで、今回は、新型コロナウイルスの影響により、中小企業者等以外の法人の一部についても、今回は欠損金の繰戻し還付を受けられるようになりました。

その範囲として、

資本金1億円超から10億円以下の法人である、いわゆる中堅企業についても欠損金の繰戻し還付の適用対象に加えます。
(一部適用外の法人もあります)

そして、この拡充が適用される期間については、

2020年(令和2年)2月1日から2022年(令和4年)1月31日までの間に終了する各事業年度に生じた欠損金について適用します。

まとめ

このように、欠損金の繰戻し還付は、赤字が当期に発生したとしても、一定の要件を満たせば、既に支払った法人税の還付を受ける事が出来る制度です。

そして、今回の新型コロナウイルスの影響を受けている法人が多数にのぼるため、この制度が適用できる法人の範囲を拡充させる運びとなりました。

なお、上記でもご案内していますが、この制度の適用を受ける事が出来る法人は限定されていて、かつ、法律上の適用要件は詳細に決まっていて、その他の税金の取扱いも確認しなければなりません。

そのため、今回の内容はあくまでも概要となり、今後も関連法令の改正等により、取扱いが変更等される場合がありますので、欠損金の繰戻し還付制度を自社が適用出来るのか、そして、適用を受けるにはどのような手続きをすれば良いのか、他の税金についてはどのようにしなければならないのか、何を留意しなければならないのか等については、税理士又は所轄の税務署にご確認をお願い致します。

記事執筆者

税理士 佐藤充宏
東京都江東区で税理士事務所及びファイナンスコンサルティング会社を経営している佐藤充宏と申します。

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