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起業・開業する際には、事業資金を管理できる口座開設をするのが通常で、中小企業の多くは、普通預金口座を開設します
起業・開業すると、会社は資金繰りを考える事となります。
資本金の入金、売上代金の入金、経費の出金など。
毎日の事業活動を通じて、その各々の活動がお金に換算されて、入金があったり、出金があったりします。
その入出金を紙幣や硬貨で全てやり取りしていたらどうなるでしょうか。
おつりをやり取りする場合があったり、一つ一つの取引でどれだけ入出金があったのかをその都度記録しなければなりません。
そして、相手先の口座へ現金で振り込むにしても、今では、金融機関でのATMによる現金振込の場合には制約があり、振込が出来ない場合もあります。
そのような状態であれば、日々のお金の取り扱いをしているだけで、多くの時間が「浪費」されてしまいます。
そのために、預金口座を開設するのです。
そして、日々の入出金を口座に見える形で管理して、資金計画が円滑に進むようにしなければなりません。
預金口座を開設して、日々の入出金を口座に反映させれば、毎回の入出金の記録をわざわざ取らなくても、預金口座の入出金記録を見れば、いつ、どれくらいのお金が動いたのかが一目瞭然です。
経営者や経理担当者は、やるべきことが多くあります。
そのような中では、やらなくても良い事をやらずに済む方法を見つけ出す事も課題の一つなのです。
そのため、日々の現金管理をするにしても、出来る限り預金口座の入出金に切り替える事により、現金のやり取りをする手間や時間も減り、そして、預金口座の記録に基づいて経理処理をすれば、正確であり、集計時間も大幅に短縮できます。
このように、預金口座で入出金を管理すれば、いままでやっていた事をやらなくても良い事にシフトできるので、業務の効率化にも繋がり、現金を扱う煩わしさといったストレスも軽減できます。
預金口座は一つしか開設できないわけではありません
ところで、複数の事業を同時に進行させている場合や、必ず手元に置いておかなければならない資金があったりする場合には、一つの口座だけでは管理がしにくくなるものです。
あるプロジェクトでどれだけの予算を消化したのか。
3か月後にまとまった資金として支払うお金がきちんと使わずに残っているのか。
日々の入出金が多いと、なかなか個別に管理したいお金の動きが分からなくなります。
そんな時には、
「預金口座をもう一つ開設する」
という事をされてはいかがでしょうか。
たまに、
「普通預金口座はひとつしか開設できないと思っていました」
とのお話を聞く事がありますが、複数持つ事もできます。
金融機関によって基準が異なる場合はありますが、同じ金融機関の同一支店であっても、複数の普通預金口座を開設できます。
そして、手続きも簡単です。
同じ金融機関で二つ目の預金口座を開設するのであれば、最初の預金口座の開設と基本的に同じような手続きで開設できます。
金融機関側も、そのような顧客がたくさんいるので、普通に取り扱ってくれるはずです。
そして、複数の口座開設をすれば、あとは、事業資金の使い道に合わせて、口座に振り分ければ良いのです。
なお、この際の注意点ですが、各々の口座の入出金のルールを決めておくという事です。
事業資金の使途が明確になっている場合は大丈夫ですが、そうでない場合には、どちらの口座で入出金をするのかを決めておく必要があります。
それを決めておかないと、どちらの口座から入手金をするかの確認に時間がかかったり、もう一度、別の口座に入出金をしなければならない場合も出てしまいます。
このようなロスをなくすために、各々の口座の入出金ルールを決めておくようにしましょう。
複数の金融機関で口座を持つ事によるメリットもあります
また、預金口座を複数の金融機関で所有すれば、メリットも出てきます。
例えば、営業担当者と定期的にコミュニケーションが取れる異なる金融機関で2行各々に預金口座を開設したとします。
金融機関は、営業目標があり、その目標達成のために、営業担当者は、日々奔走しています。
そして、顧客に対して、金融機関の商品やサービスを一つでも多く利用してもらうように考えていますが、全ての金融機関が同じ足並みな訳ではありません。
商品やサービスも異なれば、営業担当者のコミュニケーションの取り方も異なります。
加えて、顧客が他の金融機関とどのような取引をしているのかも当然気にしています。
そのため、複数の金融機関と取引をするのであれば、それぞれの金融機関を比較する事も出来ます。
例えば、金融機関からの融資を受ける場合です。
金融機関の主力商品の一つが、「融資」です。
この融資を顧客が利用してもらえれば、金融機関にも実績が増えます。
もちろん、その借入の申し込みをした顧客の経営状態が良好で、融資をした金額が滞りなく回収できるのであればという前提はありますが、金融機関としては、出来る限り融資を実行して、顧客の役に立ちたいと考えています。
そして、同じ顧客に対して融資を実行したいという金融機関が複数あった場合には、各々の融資内容を顧客が比較する事も出来ます。
その上で、自社にとってどちらの融資が適切であり有利なのかを考える事が出来ます。
もちろん、メインバンク・サブバンク等の設定をしている会社であれば、融資の受け方も色々と異なってきますが、選択肢はあった方が良いです。
その他にも、複数の金融機関と取引をしていれば、各々から参考となる情報も入手する事が出来ます。
自社の界隈の動向や、業界のトピック的な話題など。
有用な情報が複数から入手する事が出来ます。
現代では、正確な情報を1秒でも早く入手する事は、事業の成長スピードを加速させる上でも欠かせません。
それには、信頼できる金融機関からの情報であれば、知っておいて損はありません。
情報を持っているかいないかで、優劣が決まる部分もありますので、その情報を提供してくれる金融機関とのパイプは複数あった方が良いです。
こちらのブログでの独自視点
金融機関には、いくつかのコーナーが設置されています。
融資相談窓口
口座開設や各種支払いに対応する窓口
ATM
その他の承り窓口
顧客の利用目的に応じて、適切な窓口やスペースに案内されて、その窓口で担当スタッフの方とやり取りをしたり、そのスペースで入出金に関する手続きをしたりすることになりますが、その窓口やスペースも、金融機関によって異なります。
規模の大きい金融機関では、投資信託や保険などの商品を取り扱う窓口が設置されていたり、比較的コンパクトな金融機関では、窓口を少なく設置している金融機関であれば、融資の相談があった場合には、別の応接スペースに通されて話をしたり、その窓口でその他の対応をする事もあります。
そのため、金融機関によって、窓口の対応が異なったり、待ち時間が異なったりします。
また、最近では、窓口業務を出来る限り削減して、効率的な業務をしているところもあります。
加えて、ATMでの取り扱い内容も金融機関によって異なります。
ATM取り扱い時間はでいえば、日中の朝8時から夜9時までの場合や、24時間営業、深夜1時までの取り扱いなど、金融機関によって、支店によって取り扱いが異なったり、「ペイジー」という、所定の公共料金や税金の支払いが出来るところとできないところもあります。
つまり、金融機関によって、顧客への提供サービスが大きく異なる事もありますので、一度は、開設したい金融機関があれば、足を運んで利用目的にあっているのをチェックするようにしましょう。
自社に合った預金口座数と取引先金融機関数を決めましょう
このように、預金口座の数は、事業資金の管理の仕方によって増加させる事もでき、また、取引先金融機関も自社の戦略によって増やす事が出来ます。
これからの会社の成長スピードに合った方法で金融機関との繋がり方を見ていくようにしましょう。