目次
はじめに
親とは同居せずに扶養しているケースはあります。
例えば、出身地である地方に親が住み、子は東京等で仕事をしていて、地方に住む親を扶養していることがあります。
このような場合、扶養控除の適用は受けられるのでしょうか。
扶養親族と控除対象扶養親族
法律上の条文から次のように規定されています。
所得税法
第2条 定義
~
三十四 扶養親族
居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)並びに児童福祉法(昭和22年法律第164号)
第27条第1項第3号(都道府県の採るべき措置)の規定により同法第6条の4(定義)に規定する
里親に委託された児童及び老人福祉法(昭和38年法律第133号)第11条第1項第3号(市町村の採るべき措置)の規定により
同号に規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもの
(第57条第1項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び
同条第3項に規定する事業専従者に該当するものを除く。)のうち、合計所得金額が48万円以下である者をいう。
三十四の二 控除対象扶養親族
扶養親族のうち、次に掲げる者の区分に応じそれぞれ次に定める者をいう。
イ 居住者 年齢16歳以上の者
ロ 非居住者 年齢16歳以上30歳未満の者及び年齢70歳以上の者並びに年齢30歳以上70歳未満の者であつて次に掲げる者のいずれかに該当するもの
(1) 留学により国内に住所及び居所を有しなくなつた者
(2) 障害者
(3) その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者
~
イメージとしては、
扶養親族に該当するのか。
↓
控除対象扶養親族に該当するのか。
という順に見ていきます。
ここで、扶養親族の要件の1つに、
納税者と生計を一にしている
というものがあります。
その表現から、同居していないと扶養親族になれないのかという話がありますが、
生計を一にしているというのは、
必ずしも同居が要件ではありません。
所得税法の基本通達では次のように規定されています。
所得税法基本通達
2-47 生計を一にするの意義
法に規定する「生計を一にする」とは、
必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、
次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、
これらの親族は生計を一にするものとする。
この内容から、地方に住み、別居している親を扶養控除の対象にするには、
常に生活費、療養費等の送金が行われている等の
「生計を一」
にしている必要があります。
なお、現時点での法律上は、源泉徴収義務者に対して、生計を一にしている事の証明書類等を提出する必要はないとされていますが、
扶養控除の計算を適正に行うためには、地方に住んでいる親への銀行振込や現金書留により送金している事実を証明できる
振込票や書留の写し等を保存し、源泉徴収義務者から提示を求められた場合には、
提示できるようにしておいた方が良いとされています。
※もちろん、その他の要件に該当し、給与所得者の扶養控除等申告書へ所定事項の記載が必要です
その他
1.地方に住んでいる親で控除対象扶養親族に該当する場合には、その親が老人扶養親族あるいは同居老人等に該当するのか等によって、
扶養控除額の上乗せがされる場合があるので確認をしておきましょう。
2.日本国外に親等の親族が住む場合には別途一定の要件があります。
3..上述の内容は、分かりやすくお伝えするために、概要でのご案内となっている部分もあるので、
個別の事例に応じた確認は、税理士等の専門家や所轄税務署に確認しましょう。
まとめ
地方に住んでいる親について、扶養控除の要件の一つの「生計を一にする」という点に関しては、
常に生活費・療養費等の送金が行われている等が証明できるように、
銀行振込や現金書留により送金している事実が確認できる振込票や書留の写し等を保存し、
提示を求められたら対応できるようにしておきましょう。
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