目次
はじめに
今回は源泉徴収の対象となる所得の範囲について、分かりやすく解説します。
源泉徴収の対象となる所得の範囲
その所得の支払を受け取る者の区分によって異なります。
まず、居住者と非居住者、そして内国法人と外国法人のそれぞれについ所得の種類と範囲が異なりますが、
今回は、居住者と内国法人をみていきます。
所得の支払を受け取る者が居住者の場合
※国内に住所を有する個人又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人の場合です。
1.利子等
公社債や預貯金の利子
合同運用信託や公社債投資信託等の収益の分配
勤労者財産形成貯蓄保険契約等に基づく差益など
2.配当等
法人から受ける剰余金や利益の配当、剰余金や金銭の分配
基金利息や投資信託の収益分配(利子等に該当しないものを除きます)等
3.給与等
俸給、給料、賃金、歳費、賞与その他これらの性質を有するもの
4.退職手当等
退職手当や一時恩給当
社会保険制度に基づく一時金など
5.公的年金等
国民年金法や厚生年金保険法に基づく年金
恩給や過去の勤務に基づく年金
確定給付企業年金法に基づく年金など
6.報酬・料金等
上述の「3. 給与等」や「4. 退職手当等」に該当しない報酬・料金です。
原稿料、デザイン料、講演料、放送謝金、技芸・スポーツ・知識等の教授・指導料等
弁護士、公認会計士、税理士等の報酬・料金
社会保険診療報酬支払基金から支払われる診療報酬
外交員、集金人、電力量計の検針人、プロ野球の選手、プロサッカーの選手等の報酬・料金
芸能、ラジオ放送及びテレビジョン放送の出演、演出等の報酬・料金並びに
芸能人の役務提供事業を行う者が支払を受けるその役務の提供に関する報酬・料金
バー・キャバレー等のホステス、バンケットホステス・コンパニオン等の報酬・料金
使用人を雇用するための支度金等の契約金
事業の広告宣伝のための賞金及び馬主が受ける競馬の賞金
7.保険業法に規定する生命保険会社、損害保険会社等と締結した保険契約等に基づく年金
8.定期積金の給付補塡金等
9.匿名組合契約等に基づく利益の分配
10.特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得等
11.懸賞金付預貯金等の懸賞金等
12.割引債の償還差益
13.割引債の償還金に係る差益金額
所得の支払を受け取る者が内国法人の場合
※国内に本店又は主たる事務所を有する法人の場合です。
1.利子等(居住者の所定の利子等と同じ)
2.配当等(居住者の場合と同じ)
3.定期積金の給付補塡金等
4.匿名組合契約等に基づく利益の分配
5.馬主が受ける競馬の賞金
6.懸賞金付預貯金等の懸賞金等
7.割引債の償還差益
8.割引債の償還金に係る差益金額(一部の内国法人に限定)
ポイント
源泉徴収の対象となる所得は、その支払いをする者ではなく、その所得の支払を受け取る者の区分により決まります。
そのため、支払者側として源泉徴収の要否を判断するには、
その支払いを受ける側が居住者と非居住者、そして内国法人と外国法人のいずれなのか
そして、
どのような所得区分に基づく支払いなのか
等を確認する必要があります。
その他
事業内容にもよりますが、支払先が所定の個人であれば、剰余金の配当や利益の配当、給与や退職金、士業への報酬、原稿料やデザイン料等、
が源泉徴収の対象となる場合が多くありますが、初めての取引の相手先の場合には、その支払い内容が源泉徴収の対象となるのかを確認する
業務フローを組んでいた方が、源泉徴収漏れを防ぐことにも繋がるので、税理士等の専門家に相談しながら対応してみましょう。
また、上述の内容は、現時点での法令に基づくもので、税制改正等により変更となる場合があり、また、要約してご紹介している内容もあるので、
実際には、個別の取引に応じて、税理士等の専門家に確認の上、源泉徴収事務を進めるようにしましょう。
まとめ
源泉徴収の対象となる所得の範囲は、受け取る人が居住者と非居住者、そして、内国法人と外国法人の
どの区分に該当するのかによって異なるので、支払先とその支払内容等を確認して、源泉徴収の要否を判断するようにしましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
納税資金の確保は、安定した経営と、事業の成長・発展のために不可欠です。
こちらの拙著「賢い事業資金の集め方・使い方・貯め方」では、事業資金の管理や税金に関する内容を分かりやすく執筆していますので、
是非ご覧下さい。
↓