江東区の税理士     経営アドバイザー

佐藤充宏 江東区で税理士事務所・ファイナンスコンサルティング会社を経営しています。

令和5年度税制改正の大綱で織り込まれた「これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置を講ずる」については、自社にとって、どのような計算で納税した方が有利かを事前に判断する必要があります。

令和5年度税制改正の大綱で織り込まれた「これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置を講ずる」については、自社にとって、どのような計算で納税した方が有利かを事前に判断する必要があります。

先日、令和5年度税制改正の大綱での「適格請求書等保存方式の円滑な実施に向けた所要の措置」に関する投稿をご案内しました。

その中で

1.これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置を講ずる

について記載しましたが、

所定の要件に該当すると、

納税額を売上税額の2割に軽減できる

とされています。

納税額の計算方法

イメージとしては、

消費税10%の課税対象となる年間売上が消費税込み8,800,000円であれば、

売上税額=売上に含まれている消費税額800,000円

納税額は売上税額の2割=800,000円×2割=160,000円

となります。

(計算イメージであり、実際の計算方法の要件・詳細は異なります)

そして、この規定は、

納付税額を当該課税標準額に対する消費税額の2割とすることができる

 

とあるので、上述のケースで言うと、160,000円にする事が出来るため、法律で認められたその他の計算をして160,000円未満の納税額になれば、

その金額で納税することができることになります。

一般的な課税方式(原則的な課税方式)で計算する場合

消費税10%の課税対象となる仕入や経費等で支払った金額の合計が消費税込み7,700,000円であるならば、いわゆる仕入れに係る消費税額は700,000円であり、

このケースで計算した納税額は、

100,000円=売上に含まれる消費税額800,000円―仕入や経費に含まれる消費税額700,000円

のため、先ほどの160,000円より納税額は少なくなるため、100,000円で納税した方が納税資金は少なくすみます。

(計算イメージであり、実際の計算方法の要件・詳細は異なります)

簡易課税方式で計算する場合

簡易課税制度の適用要件を満たした事業所については

売上げに係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができます。

これは、

仕入れに係る消費税額=売上げに係る消費税額×事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められたみなし仕入率

を売上げに係る消費税額から控除した金額が納税額となるものです。

(計算イメージであり、実際の計算方法の要件・詳細は異なります)

そして、このみなし仕入れ率は、事業区分に応じて定められており、現行法令では、次のとおりとなっています

事業区分 みなし仕入率
第1種事業(卸売業) 90%
第2種事業(小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業に限る)) 80%
第3種事業(農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業および水道業) 70%
第4種事業(第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業) 60%
第5種事業(運輸通信業、金融業および保険業、サービス業(飲食店業に該当するものを除く)) 50%
第6種事業(不動産業) 40%

※出典元:国税庁ホームページタックスアンサー「No.6505 簡易課税制度」より

例えば、卸売業を営む事業者で、上述の売上税額が800,000円であれば、

仕入れに係る消費税額(仕入や経費等で支払った金額に係る消費税額y)は

800,000円×90%=720,000円となり、

納税額は

80,000円=800,000円―720,000円

で、先ほどの160,000円より納税資金が少なく済むことになります。

その他

上述の取り扱いはあくまでも概要・イメージでのご案内であり、実際には、所定の期限までに届出が必要であったり、その他の法律要件を満たさなければ適用できません。

そのため、自社にとってどのような計算方式が有利であるかは事前にシミュレーションをした上で、適用の有無を判断しなければなりませんので、

詳細は所轄税務署や税理士等の専門家に確認しましょう。

まとめ

令和5年度税制改正の大綱

「これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置を講ずる」

という項目が織り込まれましたが、該当する事業者は、

従来の原則的な課税方式(一般課税)や簡易課税の方法等を採用した方が自社にとって納税資金が少なくなるのかを事前に判断する必要があるので、

詳細は所轄税務署や税理士等の専門家に確認しましょう。

 

 

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