税金の納税が遅れるケースはいくつかあります。
納期限が過ぎているのに気付いて納税する。
税務調査で追徴税額が発生する。 等
法律では、納期限というものが定められていて、一定要件に該当する場合には、国税では延滞税という税金が本税とは別に徴収される場合があります。
そこで、今回は、延滞税というものについてご案内します。
目次
延滞税が課税される場合
国税徴収法という法律では、次のように定められています。
国税通則法
第60条 延滞税
納税者は、次の各号のいずれかに該当するときは、延滞税を納付しなければならない。
一 期限内申告書を提出した場合において、当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき。
二 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し、又は更正若しくは第25条(決定)の規定による決定を受けた場合において、
第35条第2項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき国税があるとき。
三 納税の告知を受けた場合において、当該告知により納付すべき国税(第5号に規定する国税、不納付加算税、重加算税及び過怠税を除く。)をその法定納期限後に納付するとき。
四 予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき。
五 源泉徴収等による国税をその法定納期限までに完納しないとき。
2 延滞税の額は、前項各号に規定する国税の法定納期限(純損失の繰戻し等による還付金額が過大であつたことにより納付すべきこととなつた国税、
輸入の許可を受けて保税地域から引き取られる物品に対する消費税等(石油石炭税法第17条第3項(引取りに係る原油等についての石油石炭税の納付等)の
規定により納付すべき石油石炭税を除く。)その他政令で定める国税については、政令で定める日。次条第2項第1号において同じ。)の翌日から
その国税を完納する日までの期間の日数に応じ、その未納の税額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額とする。
ただし、納期限(延納又は物納の許可の取消しがあつた場合には、その取消しに係る書面が発せられた日。以下この項並びに第63条第1項、
第4項及び第5項(納税の猶予等の場合の延滞税の免除)において同じ。)までの期間又は納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、
その未納の税額に年7.3パーセントの割合を乗じて計算した額とする。
3 第1項の納税者は、延滞税をその額の計算の基礎となる国税にあわせて納付しなければならない。
4 延滞税は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とする。
イメージでは、次のようなケース等で延滞税が課税されます。
1. 申告等で確定した税額を法定納期限までに完納しないとき。
2. 期限後の申告書又は修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税額があるとき。
3. 更正又は決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるとき。
そして、上述の条文に掲載されているとおり、延滞税の算出方法が決まっています。
延滞税の算式で税率を乗じる元となる数値
延滞税は未納となっている本税を計算対象としており、加算税等に対しては課されません。
延滞税の税率
いつの時点で発生したか等によって、延滞税の税率が異なり、令和3年1月1日以後の分については、次のとおり国税庁ホームページで掲載されており、
法律で定められている納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて計算されます。
(1) 納期限(注2)の翌日から2月を経過する日まで
原則として年「7.3%」
ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合(注3)+1%」のいずれか低い割合となります。
なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間は、年2.4%
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年2.5%
(2) 納期限の翌日から2月を経過した日以後
原則として年「14.6%」
ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。
なお、具体的な割合は、次のとおりとなります。
令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間は、年8.7%
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年8.8%
(注2) 納期限は次のとおりです。
期限内に申告された場合には法定納期
期限後申告又は修正申告の場合には申告書を提出した日
更正・決定の場合には更正通知書を発した日から1月後の日(注3) 延滞税特例基準割合とは、各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として
各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。
このように、延滞税の税率は、次の2つの区分毎に決まっていて、令和3年と令和4年については次のとおりとなっています。
・納期限の翌日から2月を経過する日まで
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間:年2.5%
令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間:年2.4%
・納期限の翌日から2月を経過した日以後
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間:年8.8%
令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間:年8.7%
延滞税の端数処理
延滞税率を乗じる際の本税に10,000円未満の端数がある時はこれを切り捨てします。
↓
延滞税率を乗じた後の数値に100円未満の端数がある時は、その端数を切り捨てて納税します。
その他
法律では、延滞税の計算期間の特例というものが設けられており、偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等を除いて、所定の要件に該当する場合には、
一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例があります。
このケースとして、国税庁ホームページで次のように掲載されています。
(1) 期限内申告書が提出されていて、法定申告期限後1年を経過してから修正申告又は更正があったとき。
(2) 期限後申告書が提出されていて、その申告書提出後1年を経過してから修正申告又は更正があったとき。
(3) 確定申告書を提出した後に減額更正がされ、その後さらに修正申告又は更正があったとき
(平成29年1月1日以後に法定納期限が到来する国税について適用されます。)。
また、その他にも、延滞税の計算にあたっては、個別の状況により取り扱いが異なる場合がありますので、詳細は税理士等の専門家や所轄税務署に確認しましょう。
まとめ
税金を納期限までに納付できなかった場合には、本来の納税金額以外に追加で納税する税金があり、そのうちの一つに延滞税という税金があります。
この延滞税は、法律によって、課税される場合や、その割合(税率)や計算期間等が決まっていますので、延滞税の計算をする必要がある場合には、
国税庁ホームページを参照し、状況によっては税理士等の専門家に確認しましょう。