売上代金を顧客から入金してもらうときには、振込料を差し引いて入金になる場合があります。
例えば、110,000円の売上代金の入金時に振込料770円を引かれたのであれば、109,230円が入金になります。
売主負担振込料の2つの経理処理と消費税
そして、売主側の経理処理は、この振込料770円を次の2つのいずれかでする場合が多いです。
1、支払手数料として処理
経費として、支払手数料に計上し、この770円は課税仕入れとします。
2、売上値引として処理
売り手側が振込料相当額を値引きしたとして、売上値引きとして、消費税上は、売り上げに係る対価の返還等とします。
なお、上記いずれの処理をするにしても、会社によって一定要件を満たす必要がありますが、インボイス制度の実施にあたっては、
留意が必要な点があります。
消費税インボイス制度実施後の経理処理に応じて想定される取り扱い
1、支払手数料で課税仕入れとして処理するケース
現在の区分記載請求書等保存方式においては、消費税込3万円未満の取引については、請求書等の保存がなくても帳簿のみの保存で消費税の仕入税額控除が認められていますが、
↓
インボイス制度実施後における適格請求書等保存方式のもとでは、
原則として、現在の区分記載請求書等保存方式のような帳簿のみ保存での仕入税額控除はできない事になります。
そのため、この振込料を控除するには、この振込における適格請求書請求書等の保存をしなければなりません。
※この振込料が、本来は売り手が負担するものであり、買い手が立て替えて、振込時にこの立替分が精算されるという考えであれば、
買い手側から振込分の適格請求書とその立替金の精算に係る書類の交付が仕入税額控除には必要になると考えられます。
2、売上値引きで売り上げに係る対価の返還等として処理するケース
現行では、売上げに係る対価の返還等をした金額の明細等を記録した帳簿の保存が必要ですが、インボイス制度実施後においては、この帳簿の保存と合わせて、
適格返還請求書を売り手から買い手に交付が必要になります。
このように、上記いずれの処理をする場合でも、業務量が出てしまうことになり、その業務量を買い手側が負担するのか、売り手側が負担するのかを考える必要があります。
なお、現時点での国税庁の情報等に基づいているものですので、今後もし取り扱いが変更となる情報が公開された場合には、その情報に準拠していただく必要があります。
まとめ
消費税のインボイス制度においては、売上代金入金時の売主負担の振込料は、経理・消費税処理によって、追加で必要な書類等が出ることになり、
また、売主側又は買い手側のいずれかで、その書類作成に係る業務量が発生しますので、インボイス制度実施後はどのように対応しなければならないのかを
事前に考えましょう。