令和3年度の税制改正により、電子帳簿保存法が見直しになり、令和4年1月1日に施行される事になりました。
今では、経理関係のデータの多くをクラウドサービスやスマートフォンのアプリ提供事業者から入手する場合がありますので、
今回は、これらの取引が電子帳簿保存法でいうところの電子取引に該当するのかについてご案内します。
目次
取引先からクラウドサービスを利用して請求書等を受領した場合
電子取引に該当します。
請求書等の授受についてクラウドサービスを利用する場合は、通常は、
請求書等のデータをクラウドサービスにアップロードする。
↓
そのデータを取引当事者双方で共有する。
という流れです。
そして、「電子取引」とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいい、お互いでデータを共有するものも取引情報の授受にあたります。
そのため、電子取引に該当します。
電子取引に関する参考条文
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 ※最終改正日:令和03年03月31日
第2条 定義
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五 電子取引 取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。
以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。
電子帳簿保存法取扱通達 ※最終改正日:令和02年06月23日
2-3 電子取引の範囲
法第2条第6号《電子取引の意義》に規定する「電子取引」には、取引情報が電磁的記録の授受によって行われる取引は通信手段を問わず全て該当するのであるから、
例えば、次のような取引も、これに含まれることに留意する。
(1) いわゆるEDI取引
(2) インターネット等による取引
(3) 電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む。)
(4) インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引
スマートフォンアプリ決済でアプリ提供事業者から利用明細等を受領する場合
電磁的方式により利用明細等を受領する行為は、電子取引に該当します。
アプリ提供事業者から受領する利用明細に係る内容には、通常、次の情報が記載されています。
支払日時、
支払先、
支払金額 等
そして、これらは、上述の電子帳簿保存法第2条第5号に規定する取引情報に該当します。
そのため、取引情報の授受を電磁的方式より行う場合には、電子取引に該当しますので、この取引データを保存する必要があります。
まとめ
経理関係のデータの多くをクラウドサービスやスマートフォンのアプリ提供事業者から入手する場合がありますが、これらの取引は、一定要件に該当すれば、
電子帳簿保存法の電子取引に該当しますので、自社がどのような経理データをクラウドやスマホでやり取りしているのかを確認して、今後の対応を決めるようにしましょう。
出典参考資料:
国税庁
問6 当社は、取引先からクラウドサービスを利用して請求書等を受領しておりますが、クラウドサービスを利用して受領した場合には、電子取引に該当しますか。
問7 いわゆるスマホアプリによる決済を行いましたが、この際にアプリ提供事業者から利用明細等を受領する行為は、電子取引に該当しますか。