江東区の税理士     経営アドバイザー

佐藤充宏 江東区で税理士事務所・ファイナンスコンサルティング会社を経営しています。

【消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)の登録申請書受付開始が令和3年10月1日から開始されるにあたって知っておきたい事】その18:登録番号の記載がない適格請求書を受け取った場合の対処法についてご案内します

【消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)の登録申請書受付開始が令和3年10月1日から開始されるにあたって知っておきたい事】その18:登録番号の記載がない適格請求書を受け取った場合の対処法についてご案内します
いわゆる消費税のインボイス制度が実施されると、登録番号が記載された適格請求書をやり取りする事になります。
しかし、状況によっては、適格請求書の発行事業者側で、登録番号を記載していないものを発行してしまい、それを課税事業者側である買手側が
受け取ってしまう事があるかもしれませんが、そのような場合にはどのようにしたら良いのでしょうか。

登録番号の記載がない適格請求書について

一定の要件を満たした登録番号等を記載した適格請求書を発行しなければなりません。
そのため、登録番号の記載のない請求書等は、消費税法上での適格請求書としての要件を満たしていません。

買手側と売手側が取るべき対応

登録番号等の所定の記載事項が完備された適格請求書の保存が消費税の仕入税額控除の要件となります。
そのため、「登録番号」の記載がない適格請求書の交付を受けた場合には、仕入税額控除の要件を満たしていない事になります。
そこで、登録番号の記載がない適格請求書を受け取った場合の買手側が取るべき対応としては、基本的に、
登録番号が記載された適格請求書の再交付を売手側である取引先に依頼します。
この点について、国税庁にて公開しているQ&Aの問29と問73にて、次のように記載しています。
問29の答の一部
売手である適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書(電磁的記録により提供を行った場合も含みます。)の記載事項に
誤りがあったときは、買手である課税事業者に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければなりません(新消法57の4④⑤)。
問73の答の一部
【答】
買手である課税事業者は、交付を受けた適格請求書又は適格簡易請求書(電磁的記録により提供を受けた場合も含みます。)の記載事項に誤りがあったときは、
売手である適格請求書発行事業者に対して修正した適格請求書又は適格簡易請求書の交付を求め、その交付を受けることにより、
修正した適格請求書又は適格簡易請求書を保存する必要があります(自ら追記や修正を行うことはできません。)。

その他認められる対応

ところで、買手側が作成した一定の事項が記載された仕入明細書等の書類で売手側の確認を受けたものも仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当するため、
買手側でインボイスの記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手に確認を受けたうえで保存する方法も認められています。
この点についても、国税庁にて公開しているQ&Aの問29と問73にて、次のように記載していますが、一定の要件を満たす必要があります。
問29の答の一部
なお、買手である課税事業者が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、
仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当しますので(新消法30⑨二)、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、
売手である適格請求書発行事業者に確認を求めることも考えられます。
この場合は、売手である適格請求書発行事業者は、改めて修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなくても差し支えありません。
問73の答の一部
なお、買手である課税事業者が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、
仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当しますので(新消法 30⑨二)、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、
売手である適格請求書発行事業者の確認を受けた上で、その仕入明細書等を保存することもできます。

まとめ

消費税のいわゆるインボイス制度において、登録番号の記載のない適格請求書を受け取った場合には、適格請求書としての記載要件を充足していない事になりますので、
例外的な取扱いが一部ありますが、売手である適格請求書の発行者側に登録番号を記載した一定の要件を満たしている適格請求書を再交付してもらう必要があります。

Return Top