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令和2年分の年末調整より、電子化の実施が始まります
今まで通りの紙での運用は可能ですが、今年より、所定の方法により、保険料の控除証明書や扶養控除等申告書等をデータにてやり取りする事が出来るようになりました。
紙での運用だと、どうしても保管の問題や、作成書類の訂正があった時の対応があるので、電子化という言葉に魅力を感じるかもしれませんが、電子化をするとしても、気を付けなければならない事があります。
そこで、今回は、この年末調整の電子化の注意点を2つご案内します。
1、従業員への周知
会社として、年末調整の電子化が出来るのかどうかは、担当部署が検証して、GOかNO GOの判断をしますが、その後のプロセスにおいて注意点があります。
それが、従業員へ
電子化というものがどのようなものか、
電子化をする事により、どのように手続きをしなければならないのか、
を説明し、理解してもらわなければなりません。
実施する側とされる側では、どうしても温度差があります。
どんなに担当者が従業員に説明しても、担当業務でなければ、電子化のイメージがわかず、そして、今までと違ったやり方を理解するのにストレスを感じる事もあります。
これを100%解消する事は難しいので、どのように周知するのかを考えなければなりません。
2、給与計算・年末調整計算のソフトウエアメーカーによって、電子化の対応が違う場合があります
多くの企業が、市販の給与計算・年末調整計算のソフトウエアを使っています。
ところで、今回、国税庁が年調ソフトを提供していますが、これは、年末調整によって、1年分の年税額を確定される工程までが完結できるようにはなっていません。
あくまでも、勤務先に従業員が提出する申告書や控除証明書を電子データで作成できることが出来るというところまでです。
そのため、従来通り、この電子データを用いて、勤務先の担当者が、年末調整計算を給与計算・年末調整計算のソフトウエアで行なうのです。
そして、気を付けなければならない点が、
ソフトウエアメーカーによって、国税庁の年調ソフトで作成した電子データの反映の仕方に差が出ている場合があります。
例えば、
電子データはIDとパスワードを登録する事になり、IDについては、半角英数字で20文字以下という形式で決まっていますが、メーカーによっては、
このIDが英語の場合には、電子データを取り込めない場合があります。
また、別のメーカーによっては、年調ソフトで作成したこの電子データをそのまま取り込みが出来ないという事もあります。
これは、今回公開された年調ソフトの仕様に合った形で各メーカーがソフトウエアの改修を行おうとしても、その時間が確保できない等の理由があります。
メーカーとしては出来る限りの対応をして、今後は順次ユーザーの負担を軽減できるようになると思いますが、今年については、
現在使用している給与計算・年末調整計算のソフトウエアの仕様に応じた年末調整の電子化を混乱なく実施する
という事を考えなければなりません。
そのため、従業員が年調ソフトへ入力する際に、
IDの設定ルールを設けたり、
年調ソフトの書面印刷を活用する等を考える必要があります。
まとめ
年末調整の電子化は、運用が順調に進めば、計算処理が誤りなく、スムーズになりますが、実施初年度の令和2年は、従業員への周知をしっかりと行ない、そして、使用中の給与計算・年末調整計算のソフトウエアの仕様がどこまで対応しているのかを事前に確認をしなければなりません。
既に年末調整をしている場合もあると思いますが、これから年末調整をする場合には、これらの事を確認の上、実行するようにしましょう。