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所得税の青色申告をするメリット
毎年所得税の青色申告をしている個人の方は、一定要件の下で、青色申告をする事による特典を受ける事が出来ます。
こちらは、国税庁ホームページに掲載されている部分の現行法令での抜粋になりますが、
1、青色申告特別控除
イ 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則、(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び
損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高55万円(令和元年以前は最高65万円)を控除することとされています。
(注)令和2年分以後の青色申告特別控除について、この55万円の青色申告特別控除を受けることができる人が、電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告を行っている場合は、
65万円の青色申告特別控除が受けられます。
ロ 上記イ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得 を通じて最高10万円を控除することとされています。
2、青色事業専従者給与
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、
事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。
なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
3、貸倒引当金
事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、
年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認めるというものです。
ただし、金融業の場合は 3.3%になります(一括評価)。
なお、貸金のうち、貸倒れその他これに類する一定の事由による損失の見込額については、それぞれの事由に応じた限度額までを、貸倒引当金勘定に繰り入れることができますが(個別評価)、
その際必要経費に算入された金額の計算の基礎となった貸金は一括評価を行う帳簿価額の合計額から除かれます。
4、純損失の繰越しと繰戻し
事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します。
また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
といった、節税にも繋がるメリットがあります。
令和2年分の所得税確定申告から、青色申告特別控除の適用要件が変更になります
先程の青色申告特別控除をご覧になられた方の中に、
「先程の1イの所得税の青色申告特別控除は65万円が普通に受けられると思っていたけど、注意書きにあるような内容が変更となっているのを知らなかった」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、そのとおりで、令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除の適用要件が変更になるのです。
所得税確定申告の変更概要
今回の変更は、平成30年度の税制改正で公表されていますが、その他の内容も含めて、次のような内容が変更となりました。
1、青色申告特別控除額
(改正前)65万円
(改正後)55万円
2、基礎控除額
(改正前)38万円
(改正後)48万円
3、その他
引き続き65万円の青色申告特別控除の適用を受ける方法
青色申告特別控除額が65万円から55万円に変更になる旨お知らせしましたが、次のいずれかの要件を満たす事により、引き続き令和2年分以後は65万円の控除を受ける事が出来ます。
※現行の65万円の控除を受ける要件を満たしている事が必須です。
1、e-Tax を利用して申告書及び青色申告決算書を提出する。
2、電子帳簿保存法に対応する会計ソフトを用いて記帳し、かつ、「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書」(いわゆる「電子帳簿保存の承認申請書」)を税務署に提出する。
なお、上記1及び2については、法令上の要件を満たしている必要があるため、別途確認が必要です。
10万円の青色申告特別控除額について
上述の65万円の控除については、令和2年分より改正となりましたが、10万円の青色申告特別控除の適用を受ける上での要件には改正はなく、今までと同様です。
まとめ
令和2年分所得税の確定申告において、基礎控除額が38万円から48万円に変更となる事以外に、青色申告特別控除額について、今後は55万円の控除となる場合がありますが、e-Tax の利用又は電子帳簿保存を所定の方法により行なう事により、従来と同様65万円の控除を受けられる場合がありますので、自身がどのような取扱いになるのかを事前に確認してから、所得税の確定申告をするようにしましょう。