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在庫とは
在庫というと、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。
月末や決算期末の時に棚卸をして、どの商品や材料がどれだけ残っているのか。
一昨日仕入れた商品でまだ店舗に売れずに残っているもの。
製品の製造過程で投入した原価である材料費や人件費でこれから完成予定のもの。
等といったように、一人ひとりで思い描くイメージは違うかもしれません。
そして、今回取り上げるのは、その中でも、決算期末にいまだ販売されずに残っている在庫についてのお話をします。
在庫はどのように集計するのか
決算期末にいまだに売れずに残っているのを確認するには、その時点でどの商品が何個残っているのかを、棚卸というプロセスで抽出します。
店舗であれば、店内の陳列棚にある商品やバックヤードに未開封となっている商品がどれくらいの数があるのかをチェックします。
会社によって、棚卸の仕方が異なりますが、最終的には、残っている商品の在庫としての数量と金額がどれくらいあるのかを見るのです。
在庫は翌年度以降の売上原価になります
例えば、今期の期首の在庫が10,000円で、仕入が150,000円で、期末在庫が20,000円だったとします。
すると、当期の間にどれだけの商品が売れて、売上原価であるコストがどれくらいかかったのでしょうか。
計算方法は、
期首在庫 10,000円
プラス
当期仕入 150,000円
マイナス
期末在庫 20,000円
イコール
売上原価140,000円
というように導きます。
期首の在庫と当期仕入れた分が、今期中に会社が販売する事が出来る商品で、そのうち、売れずに残ったものが期末在庫なので、期末在庫以外のものが売上原価となり、期末在庫は翌年度の期首在庫として引き継がれるのです。
在庫の分析が大切です
在庫はその業態や会社の財務状況等によって、適正数量や金額が違います。
在庫が少なすぎれば、翌年度早々での販売予定数量をクリアできず、機会損失として、本来は売る事が出来たところ、在庫がなかったので、売る事が出来ないという事になってしまいます。
反対に、在庫が多すぎると、売れ残りが発生して、不良在庫として、いつまでも売れずに残ってしまいます。
そのため、棚卸をして在庫数量をチェックするという事は、その材料や商品の数が適正なのかを分析するために欠かせないのです。
いつの時点の在庫なのか
卸売りや小売りであれば、在庫を把握すると、その構成によって、いつからの在庫でどのような商品が残っているのかが分かります。
すると、その中で、5年前の商品が残っているものがあるかもしれません。
その5年前の商品をAとすると、Aをそのまま抱えているのか、それとも、何らかの方法で今販売するのか、あるいは、廃棄をするのか等を考えるはずです。
顧客やマーケットの求める商品は変化し続けるものもあれば、変わらないものもあります。
また、長い期間のサイクルをかけて、同じ又は類似の商品の需要がまた戻ってくるかもしれません。
Aが今在庫となっていた場合、Aをどのように取り扱うのかを決めなければ、会社の経営成績に大きな影響を及ぼすかもしれません。
在庫を持つ事に対してコストが発生します
在庫を持つという事は、その在庫が置かれているスペースがあります。
賃借物件である店舗内に在庫を置いておくのであれば、その置いておくスペースに対する賃料も発生しているのです。
もし、そのスペースを多く必要とするのであれば、その分賃料もかかります。
しかも、在庫の品質維持のために、空調機の設置やエアコンの運転といった、設備投資や光熱費が発生し、それ以外にも、定期的に在庫をチェックするスタッフの人件費を負担しなければなりません。
在庫を持つという事は、その商品自体だけではなく、その在庫を扱うコストも発生してしまうのです。
在庫の販売戦略
在庫を必要以上にかかえると、会社の負担になるので、それを軽減・解消するためには、先述のような在庫の管理区分をする必要があります。
将来的に販売見込みであるため、当面の間はそのまま保有する。
在庫商品の市場価値が下がったため、値引きや他の商品と一緒に抱き合わせで販売する。
全く売れる見込みがなく、在庫を抱える事によるコストが大きいため、今のうちに廃棄処分する。
需要がなくなった在庫に手を加えてリニューアルして、市場に販売できるようにする。
等といったように、在庫の状況に応じて、今後の販売戦略を見直す必要があります。
会社は、商品やサービスを顧客に販売して、その対価を得る事により商売が成立しているのです。
まとめ
在庫はいつの日か資金化する仕組みにしておかないと、事業の収益力を低下させ、あるいは、悪化させてしまいます。
在庫の分析方法は会社毎に異なりますが、在庫を今後販売して、売上獲得に繋げるのは、事業活動上大切なので、会社の在庫管理方法をきちんと決めるようにしましょう。