業態によっては、モノを扱って事業をしている場合があります。
卸売業や小売業だけではなく、資材や工具を扱う建設業等も該当します。
ところで、このようにモノを扱う事業ならではのコストの一つに、
在庫コスト
があります。
在庫まつわるコストというものがあるという事ですが、ところで、この在庫コストにはどのようなものがあるのかを今回はご案内します。
目次
1、調達コスト
モノを扱うという事は、モノを購入します。
購入するのであれば、この購入に係る調達コストが発生します。
材料や商品の購入金額
モノの運送料
運送の保険料
海外から輸入する場合には、関税や引き取りに係る消費税等
ちなみに、この調達コストには、販売側がこの材料や商品の供給に要した人件費や諸経費も上乗せされています。
モノの調達には、これらのコストがかかってくるのであり、購入者側は、これらのコストを負担してモノを購入します。
そして、この調達コストが在庫コストに反映されます。
例えば、他の調達がなく、単価1,800円の材料を1,000個購入して、期末在庫が100個であれば、在庫金額は単純計算でおこなうと、
1,800円×100個=180,000円
となります。
在庫コストは、調達コスト以外からも考えなければなりません
調達コストによって、在庫の金額は変わりますが、上記のように調達コストのうちの在庫数量から在庫コストを出すだけでは、全てのコストを反映させた事にはなりません。
それをこれから見ていきましょう。
2、賃料
在庫を持つという事は、その在庫に応じたスペースを確保しなければなりません。
在庫が収納されている段ボールの高さが1個あたり50センチで、そのスペースとして確保できる高さが3メートルであれば、最大6個(3メートル÷50センチ)しか積む事が出来ず、あとは、その横に何個並べる事が出来るのかを考える事になります。
そして、その在庫を保管するスペース分のコストが発生します。
賃借している建物で、在庫置き場のスペースが全体の1割であれば、その1割分の賃料が発生します。
この1割分の賃料は、あくまでも保管のためだけに係るものです。
3、人件費
また、この保管をするには、この賃料だけでなく、他のコストとして、
人件費
が発生します。
在庫を管理するには、その管理者が必ずいます。
材料を仕入れた時には、その増加分の数量を把握し、そこから販売された数量を記録して、残った数量が在庫としてカウントされます。
今ではAI等を活用して自動化できる領域になってきましたが、それでも、在庫管理に係る人件費は必ず発生します。
4、光熱費
調達したモノによっては、保管時の維持費用が発生します。
例えば、
生鮮食料品のように温度管理をしっかりとしなければならない
といった事もあります。
そのため、冷蔵庫や冷凍庫などを用意する場合には、その電気代などの光熱費がかかります。
5、IT関連費用
在庫を抱えるのであれば、その在庫を管理するためのデータを作成します。
そして、そのデータはたいていITを活用して、PCのシステムを用いますが、場合によっては、ロボットやドローンを使ったりする事もあります。
また、ベルトコンベアや自動集配装置を使って、在庫の管理場所へモノを自動で運んだりする場合もあります。
人を使うと人件費が発生します。
ITを活用すれば、その開発コストと維持コストを今後の収益から回収できるのであれば、ITにコストをかける事も方法としては必要となってきます。
6、品質維持費用
高価なモノは特にそうですが、大量発注して調達コストを抑えて在庫として持ちながら、利ザヤを大きくする手法がありますが、モノによっては、維持費用をかけなければなりません。
革製品
貴金属
織物 等
そもそも、在庫として持ち続けるよりは、一日でも早く販売したいという気持ちがありますが、経営戦略上はあえて高価な在庫を持つこともあります。
しかし、高価なモノであれば、その品質を維持できるような管理体制を取らなければなりません。
7、時の経過とともに発生するコスト
目に見える形ではありませんが、在庫を持つという事は、それだけその在庫に関わる様々なコストが継続して発生します。
それは、時間の経過とともに増える場合があったり、在庫管理に意識をする時間というのも、見えないコストに繋がります。
在庫を持つという事自体に、何らかのコストが発生するのです。
まとめ
このように、在庫コストには、次のようなものがかかります。
・調達コスト
・賃料
・人件費
・光熱費
・IT関連費用
・品質維持費用
・時の経過とともに発生するコスト
その他にも、在庫特有のコストが発生する場合もあります。
また、現代のように商品開発競争も激しい時代であれば、在庫を保有するには、一定のリスクもあります。
そのため、適量かつ適正コストでの在庫管理をするようにしましょう。