こちらのブログでも以前ご案内しましたが、新型コロナウイルスの影響により売上が減少し、資金繰りが厳しくなっている事業者むけの措置としていくつか税制上の措置がとられていますが、その中で今回は、
新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している中小企業者・小規模事業者に対しての固定資産税・都市計画税の減免
の現時点での詳細についてご案内します。
目次
固定資産税・都市計画税について
固定資産税は、毎年1月1日現在に土地や家屋、一定の設備である償却資産を所有している者に対して課税されます。
(償却資産に対する固定資産税については、償却資産税ともいわれる場合もあります)
この固定資産税については、一定の評価額(課税標準額)に対して税率を乗じて計算します。
また、都市計画税については、土地や家屋について、一定の評価額(課税標準額)に対して税率を乗じて計算されます。
税率については、東京都主税局のホームページでは、固定資産税については1.4%、都市計画税は、0.3%と公開されていますが、市町村によっては、この税率が変わる場合がありますが、
そして、固定資産税や都市計画税については、その所有している不動産によっては、金額が多額になり、平常時でも、納税負担が多いです。
新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している中小企業者・小規模事業者に対して固定資産税・都市計画税の減免について
この納税額が多額になる固定資産税や都市計画税について、新型コロナウイルスの影響により、資金繰りが厳しい事業者にあっては、納税を今まで通り済ますのが厳しくなっています。
そこで、
・新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している一定の中小企業者・小規模事業者に対して
・2021年度の固定資産税・都市計画税を減免する
という制度が実施されます。
中小企業者・小規模事業者の定義について
2021年度の固定資産税・都市計画税を減免するといっても、全ての事業者に対して適用されるわけではなく、今回の制度で定義されている中小企業者・小規模事業者について適用されます。
そこで、中小企業者・小規模事業者の定義については、次のようになっています。
中小企業者・小規模事業者とは
資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人。
資本又は出資を有しない法人又は個人は従業員1000人以下の法人。
ただし、大企業の子会社等(下記のいずれかの要件に該当する企業)は対象外となります。1、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円超の法人、資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人超の法人又は大法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人等)との間に当該大法人による完全支配関係がある法人等をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。)から2分の1以上の出資を受ける法人
2、2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人
なお、風俗営業法第2条第5項に定める性風俗関連特殊営業をしている事業者は対象外となっています。
固定資産税・都市計画税の減免割合について
上記の中小企業者・小規模事業者に該当し、一定の要件を満たす場合には、減免割合が次のように決まっています。
2020年2月から10月までの任意の連続する3月の期間の事業収入が、
①前年同期比▲30%~50%未満の場合には、→1/2軽減
②前年同期比▲50%以上の場合には→全額免除
となります。
また、ここでいう「事業収入」は、一般的な収益事業における売上高の事であり、次のような事業外収益は含まれません。
・給付金収入
・補助金収入
今回の固定資産税・都市計画税減免の対象となる資産について
固定資産税や都市計画税が課税されるもの全てについて減免されるという事ではなく、次のものに限られます。
(1)固定資産税の場合
・設備等の償却資産
・事業用家屋
(2)都市計画税の場合
事業用家屋
つまり、
土地は減免対象になっていない
という事です。
今回の固定資産税・都市計画税の減免を受けるには、「認定経営革新等支援機関等」の確認が必要です
今回の減免手続きにあたっては、対象事業者に該当するのか、対象となる資産があるのか、そして、事業収入の減少割合等を判定する等の一定のプロセスが必要で、このプロセスを進めるには申請者の負担も発生するため、この負担を軽減し、手続をスムーズに進めるために、専門家のサポート及び確認が必要となります。
そこで、この専門家として、認定経営革新等支援機関等が担当する事になりました。
認定経営革新等支援機関等とは
今回、専門家として認定経営革新等支援機関が該当する事になりましたが、この名称のうちに「経営」「支援」という言葉があるので、経営に関するサポートをしてくれる機関というのはイメージできますが、具体的にはどのような機関なのでしょうか。
近年、中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。
認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を、経営革新等支援機関として認定することにより、 中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。
税金や金融・財務に関する知識や経験を有した専門家が中小企業に対して専門性の高い分野での支援を行なうというものであり、今回の固定資産税・都市計画税の減免のサポート・確認をするには適任の機関になるのです。
弊所は認定経営革新等支援機関です
そして、弊所も、もちろん、この認定経営革新等支援機関等の登録を受けているため、今回の固定資産税・都市計画税の減免に関するサポート・確認業務をする事が出来ます。
今回の固定資産税・都市計画税の減免申請方法
現在公表されている申請概要をチェックすると、次のように減免申請方法が決まっています。
1、認定経営革新等支援機関等に確認業務を依頼
2、認定経営革新等支援機関等へ確認にあたって必要な申請書類を提出
3、認定経営革新等支援機関等から確認書を発行してもらう
4、2021年1月以降に申請期限(2021年1月末)までに固定資産税を納付する市町村上記3の確認書と一定の必要書類を一緒に減免を申請する。
※手続きの詳細については、状況により上記案内に追加変更等が発生する場合があるので、最新の情報をチェックするようにしましょう。
また、特殊な償却資産(二以上の市町村にまたがるものなど)については、総務大臣又は道府県知事に申請する必要がありますので、その対象資産の状況により個別に確認が必要となる場合があります。
申請書類の様式は後日中小企業庁ホームページにて公表されます
実際に申請手続きをする際の様式については、2020年5月28日時点では決まっておらず、これからの公表となりますので、その公表内容に従って、漏れや誤りのないように記入しましょう。
今回の減免は、「2020年度」の固定資産税・都市計画税は対象外です
また、ご注意頂きたいのが、今回の減免対象は、「2021年度」分であり、「2020年度」である令和2年度ではないという事です。
この2021年度分の固定資産税・都市計画税というのは、来年度の分となります。
2020年度固定資産税・都市計画税については、「納税猶予」の適用を受けられる場合があります
この納税猶予制度については、事業収入が一定割合減少した場合に、1年間の納税猶予を受けられるというものです。
概要については、こちらの総務省ホームページ等に掲載されています。
今回の固定資産税・都市計画税の減免については、Q&Aも公表されています
固定資産税・都市計画税の減免を受けるにしても、状況によっては、減免の適用を受けられるのかの判断に迷う事があります。
そこで、中小企業庁ホームページでは、Q&Aのページを設けて、分かり易く案内しています。
固定資産税・都市計画税の減免申請のご依頼はお気軽に弊所までご連絡下さい
今年ももうすぐ6月になります。
減免の申請期限から逆算すると、早めに認定経営革新等支援機関等へ確認業務依頼をしてから、実際に申請をするにしても、ある程度の日数を要しますので、これから新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している一定の中小企業者・小規模事業者で認定経営革新等支援機関等を捜している場合には、お気軽に弊所までご連絡下さい。