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グループ会社の決算を取りまとめるのは、大きな負荷がかかります
事業を広げていったり、新規事業に進出する際には、自社として活動するのではなく、別会社を設立してその会社ならではの事業活動をしてもらう方が、経営効率が上がり、事業の成長スピードも加速する場合があります。
最初のグループ会社を設立して成功事例が出てくると、さらに次の会社を設立したりして、気が付くと、かなりの数のグループ会社が出来ていたりします。
すると、最初のうちは、グループ全体の数字は自己流で進めても問題なかったのが、グループ会社が増えてくると、今までのようにはいかないものです。
そして、親会社自身の経営数値を算出するのにも影響が出て、意思決定をする上での決算確定額を算出するのも時間がかかり、そして、正確に算出できなくなってしまいます。
連結決算や連結納税を進めるにあたっての3つのポイントをご案内します
グループ会社の決算や税金の申告というと、思い浮かべるのが、連結決算や連結納税です。
各々の制度は異なり、連結決算や連結納税の導入には慎重な検討が必要ですが、これらの業務を進めるには、いくつかのポイントがあり、今回はその概要としてのポイントを3つご案内致します。
制度の内容を理解する
連結決算や連結納税の場合には、単体である1社の決算や納税に関する法律やルール以外に、連結決算特有の会計処理や連結納税特有の税務処理が定められています。
そして、連結決算と連結納税は別個の法律やルールによって定められているので、各々の制度がどのようなものであるのかを理解していなければなりません。
しかし、制度の内容を理解するといっても、内容によっては、難解・煩雑なものもあり、すぐ理解しようと思っても理解できないものも多くあります。
そのため、時間をかけて調べたり、場合によっては税理士や公認会計士などの専門家から教えてもらう必要もあります。
導入する目的を明確にする
連結決算や連結納税を導入するといっても、単純に各々の制度があるから導入しようという事ではなく、導入するに足る理由が必要です。
例えば、連結決算の場合は、親会社単体の数値を株主に報告するだけでは、株主の方ではどれだけの関係会社が親会社の決算数値に影響を与えているのかが分かりませんので、関係会社の数値を集計した上で、グループ会社全体の損益を算出する必要があります。
また、連結納税であれば、連結納税を導入する事によるメリットを事前に綿密に検証してからでないと、実際に連結納税を始めたら、かえって納税に関する負担が増えたり、グループ全体の業務効率が悪くなる事さえあります。
そのため、連結納税や連結決算を導入するには、その導入をする目的を明確にしなければなりません。
その上で、連結決算か連結納税のいずれかのみ導入するのか、あるいは、両方の制度を導入するのかを明確にして、実際に導入するのであれば、その導入が出来るような手続きをする必要があります。
導入後のプロセスをグループ会社と連携して策定する
連結決算や連結納税を導入する事が視野に入ってきたら、それらをどのようにすればグループ全体として進める事が出来るのを決める必要があります。
連結決算であれば、当初の親会社の決算報告だけでなく、グループ会社全体の決算報告をするのであれば、その決算報告日というものがあります。
そして、その決算報告日に間に合うようなスケジュールを組んで親会社が、そして、グループ会社がやらなければならない事をリストアップします。
なお、連結決算を導入すると、1社毎の決算作業に合わせてグループ全体の決算作業をする事になるので、その全体作業の時間を確保するために、1社毎の単独の決算業務を早めにしなければならなくなります。
いわゆる、「決算業務の早期化」という事になりますが、この早期化が可能なものなのかという事を考えなければなりません。
よくあるケースとしては、グループ会社では独自のシステムを活用して決算数値を集計していても、その集計スケジュールでは、連結決算のスケジュールには間に合わず、システム変更をしなければならない場合もあります。
また、場合によっては、取引先から入手する請求書を早めに発行してもらうように依頼しなければならないといった、外部との調整も必要になってきます。
その他にもやらなければならない事がたくさんあり、そして、もちろん、連結納税においても、特有の税務処理を行なうために期日までにグループ会社から入手する数値を決めたり、確定申告のスケジュールにいくつかのプロセスを織り込む必要があります。
連結決算や連結納税といった高度な業務は、事前のチェックと段取りが必要不可欠です
上記のようなポイントがありますが、これらは、あくまでも概要です。
実際には、社内各部署やグループ会社との調整をしたり、社内上層部の承認が必要になったりもします。
法律やルールを理解するだけではなく、やらなければならない事を「見える化」して、実行に移すのであれば、スケジュールどおりに達成しなければなりません。
自社の更なる成長・発展のために連結決算や連結納税の導入が必要であれば、やるべき事を一つずつクリアして進めましょう。