江東区の税理士     経営アドバイザー

佐藤充宏 江東区で税理士事務所・ファイナンスコンサルティング会社を経営しています。

自動車保険料は消費税が課税されませんが、消費税増税により自動車保険料が値上げとなる事につきご説明します

自動車保険料は消費税が課税されませんが、消費税増税により自動車保険料が値上げとなる事につきご説明します

今年の10月1日から、消費税の税率が8%から10%に増税となりました。

キャシュレス決済によるポイント還元制度や軽減税率制度により、消費税の負担を抑えるような配慮がされていますが、実際には、どうしても消費税増税の負担感が出てきています。

そこで、消費税が増税されると、どのような業界に影響が出て、そして、それが、価格にどのような影響を与えるのかを見ていきたいと思います。

消費税が課税される取引とされない取引があります

ところで、消費税については、すべての取引に対して課税されるのでしょうか。

実際には、消費税が課税されるものとされないものがあります。

消費税の課税の対象となる一定の取引に対して課税され、そして、その他の取引には消費税が課税されません。

また、消費税が課税されない取引のうちの一つが「非課税」とされる取引です。

これは、社会政策的な見地等から非課税とされていて、この取引についての消費税の処理は非課税となります。

消費税が非課税となる取引には保険料の支払いがあります

消費税の非課税取引については、「限定列挙」とされていて、その限定された取引に該当すれば、非課税となります。

この非課税取引が規定されている条文のうちには、次の箇所があります。

消費税法別表第一(第六条関係)

三 利子を対価とする貸付金その他の政令で定める資産の貸付け、信用の保証としての役務の提供、所得税法第二条第一項第十一号(定義)に規定する合同運用信託、同項第十五号に規定する公社債投資信託又は同項第十五号の二に規定する公社債等運用投資信託に係る信託報酬を対価とする役務の提供及び保険料を対価とする役務の提供(当該保険料が当該役務の提供に係る事務に要する費用の額とその他の部分とに区分して支払われることとされている契約で政令で定めるものに係る保険料(当該費用の額に相当する部分の金額に限る。)を対価とする役務の提供を除く。)その他これらに類するものとして政令で定めるもの

さらに、この中で次の文言があります。

「~保険料を対価とする役務の提供~」

法律上の要件に該当するという前提はありますが、保険料の支払いについては、消費税は課税されません。

例えば、生命保険料の支払いや医療保険料・損害保険料の支払いなどがありますが、これらの支払いをみると、基本的に消費税が課税されていないことが分かります。

そして、その保険料の中に、自動車保険料の支払いがあります。

自動車保険は、自動車を購入した時には、自賠責保険や任意保険に加入します。

自賠責保険は、強制加入として義務付けられている車両保険で、任意保険は、その言葉どおり任意に加入して、補償に備えるものになります。

これらの保険商品には色々あり、もちろん、任意保険については、様々なプランから、自動車保険商品があり、年齢や事故実績、対人・対物・自損など、状況に応じて、保険会社各社が独自の保険商品を提供しています。

今は、若者のクルマ離れとして、自動車を購入する人が減っていると言われていますが、それでも、依然として、人々の生活にとって、自動車は欠かすことが出来ないものとして位置づけられています。

自動車保険料はどのように決まっているのか

自動車保険は、損害保険各社の主力商品です。

自動車保険は、一旦加入すると、その保険を継続して適用する事も多いです。

そのため契約を勝ち取れば、その保険期間中はもちろん、保険期間更新時にも継続して、その損害保険会社の自動車保険を加入してくれる場合があります。

しかし、一方では、自動車保険の成約競争が激化しています。

テレビ番組のコマーシャルや、インターネット広告でも、自動車保険の宣伝を見ない日はないくらいです。

おおげさではないくらいに、自動車保険は保険市場という大きなマーケットの看板商品なのです。

その中で、自動車保険の保険料はどのようなポイントから決まっているのでしょうか。

例えば、任意保険の保険料は、補償内容以外に、さまざまなリスクやコストを分析・加味したうえで、各損害保険会社が独自に設定しています。

補償内容が厚ければ、当然自動車保険料は上がり、リスクが高ければ、自動車保険料は上がります。

損害保険会社のホームページを見ると、補償内容や事故発生リスクなどを見ながら、保険料が算定されるのがありますが、その他にも保険料が決まるポイントがあります。

それが、損害保険会社の運営コストです。

自動車保険というと、補償内容などに目が行きがちですが、損害保険会社が保険商品を提供するということは、その会社の営業マンやバックオフィスといった従業員に対する給与といった人件費や会社の賃料や維持費などが莫大な金額として発生しているのです。

そして、そのコストが自動車保険料の内訳にも占めているのです。

損害保険会社は、自動車を使用している時に保険対象の事故が発生した場合には、そのリスクを背負い、そして、保険対象の事故が発生しなくても、その自動車保険という商品を提供するためにかかった、そして、制度を維持するための莫大なコストを負担しているのです。

そのため、インターネット損害保険会社が、人件費や営業コストを削減して自動車保険を販売することが出来ることによって、自動車保険料を安く販売する事が出来るようになり、これに対抗するために、従来から確固たる地位を築いてきた大手損害保険会社も、補償内容やサービス内容を充実させることにより、保険商品を顧客満足度の高いものとして提供し、この競争が激化しているのです。

消費税増税により、損害保険会社の運営コストが増加する事になりました

ところが、今年の10月1日から、消費税が増税となり、各業界で販売価格が上がり、自動車保険という商品を提供している損害保険会社も例外ではなくなりました。

消費税は自動車保険には課税されないと先程案内しましたので、自動車保険料は値上げにならないと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

自動車保険の事故事由が発生して負担する修理代には、消費税がかかります

例えば、保険契約を締結しているドライバーが事故を起こした場合には、どうなるのでしょうか。

自動車を修理しなければならず、修理工場に手配して、修理が完了して修理代金を支払うとすると、どのようになるでしょうか。

損害保険会社が補償内容に応じてその修理代金を支払いますが、その修理代金は、保険料の支払いではありませんので、消費税は課税されるのです。

そして、消費税が増税されたことにより、修理代金はその分値上げされることになり、その値上げ分のコストを損害保険会社が負担する事になります。

損害保険会社の維持コストも消費税増税の影響を受けます

損害保険会社が自社ビルではなく、賃貸で入居している場合には、その事務所家賃には、消費税がかかります。

また、細かい点になると、光熱費や通信費・消耗品代などにも消費税がかかり、これらの経費も、消費税増税分の負担が増すことになります。

損害保険会社の様々なコストが増大するため、自動車保険料が上がります

これらのように、自動車の修理代や会社の維持コストなどが消費税増税の影響を受けるために、自動車保険料を見直さなければなりません。

しかし、自動車保険料を値上げすれば、契約者が他の競合他社に写ってしまうことにもなりかねません。

そのため、値上げする場合には、商品内容を見直して顧客満足度が下がらないようにしたり、場合によっては、保険商品のいくつかを値段を据え置きに近い設定にする場合もあります。

消費税が非課税とされている市場での商品も消費税増税により値上げを受ける事があります

自動車保険を扱う市場は、競合各社の競争が激しく、消費税増税の影響を受けているとお知らせしましたが、その他の市場も消費税増税の影響を受けています。

そのため、モノやサービスの値段の決まり方や、販売商品の見直しや新商品の登場には、消費税増税が関係してくる場合もありますので、ご興味のある市場の販売価格がどのようになっているのかを調べてみてはいかがでしょうか。

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