令和元年10月1日より、消費税(以下、地方消費税を含みます)の税率が8%から10%にアップします。
これにより、会社や店舗では、
「消費税の税率が上がったからといって、売値をその分だけ上げると、お客様が離れていってしまう・・・」
と不安に思う事があります。
商売では同じ商品やサービスの価値でも、消費税の税率がアップすると、取引価格に反映されてしまうので、消費税率アップ分だけ値上げするのは躊躇するというのも、もちろんの事です。
しかし、会社経営・店舗経営という点で、お金の面から考えると、売値や資金繰りを消費税との関連からみると、次のようになります。
例えば、小売店で、次のような取引があったとします。
(毎年消費税の確定申告をしていて、売上に含まれている消費税から仕入れや経費に含まれている消費税を控除した消費税を納税しているという前提にしています)
業者からの仕入代金:消費税抜き50,000円
※仕入代金にかかる消費税は、全額加算される事としています。
消費者への売上代金:消費税抜き80,000円
この例で、
消費税の税率が8%の場合で、かつ、売上代金に消費税を加算していた場合には、
お金の動きは、
売上代金86,400円マイナス仕入代金54,000円イコール32,400円
となります。
そして、32,400円に含まれる消費税2,400円を納税して、手元に30,000円が残ります。
これが、現時点でのものになり、消費税の税率が10%になって、これを仕入代金と売上代金各々に反映させたとすると、
お金の動きは、
売上代金88,000円マイナス仕入代金55,000円イコール33,000円
となり、33,000円に含まれる消費税3,000円を納税して、手元に30,000円が残ります。
これであれば、手元に残る資金は消費税率アップ前とは変わりません。
しかし、もし、消費税率がアップした2%分を売上代金に反映させずに、消費者へ販売していたらどうなるのでしょうか。
この場合は、
売上代金86,400円マイナス仕入代金55,000円イコール31,400円
となります。
そして、31,400円に含まれる消費税2,854円(単純計算として、31,400円÷1.1×0.1で、鴛海藩端数切捨てとします)を納税すると、手元に残るのは、28,546円(31,400円マイナス2,854円)です。
すると、消費税率アップ分2%を販売価格に反映させないと、1,454円(30,000円マイナス28,546円)が資金繰り上、「マイナス」になってしまうのです。
もし、全ての販売で消費税率アップ分2%を販売価格に反映させないと、資金繰りがさらにマイナスとなってしまうのです。
会社やお店にとって、お金は血液そのものです。
血液の循環が良いからこそ商いを続ける事が出来ますが、もし、血液の流れが悪くなったり、血液が流れなくなってしまったら、どうなってしまうでしょうか。
もちろん、実際に消費税の税率アップ分を販売価格に上乗せするのは、商売上簡単な事ではなく、本当に難しい場合もありますので、非常にデリケートな部分です。
しかし、
「消費税率アップ分2%は販売価格に上乗せしないで、その分販売数量を増やしたり、経費削減をして頑張ろう」
としても、それも本当に大変です。
最終的な判断は経営者・会社・お店等で決めなければなりませんが、安定した資金繰りを維持する事は、事業継続上、必要不可欠です。
消費税率アップまで、あと数ヶ月です。
念のため、消費税率アップ前後での資金計画を商品やサービス毎にチェックされてみてはいかがでしょうか。