ここ数年は働き方の多様性の動きが一層高まり、正社員として勤務している方やパート・アルバで勤務している方が副業・兼業という形で複数の会社で働くケースが増えてきています。
自己実現のため、収入増のため等色々な目的を持ちながら働くという事が社会的にも少しずつ認知されてきているのは素晴らしいです。
ところで、この2か所以上で働いて給与を支給する場合には、会社側の方では何か取り扱いを別途しなければならないのでしょうか。
所得税に関して別途取り扱いがあるのは、
源泉徴収する所得税(復興特別所得税を含みます)の計算が異なるという事です。
そこで、どのように計算するのかというと、
その人に支払う給与が
主たる給与になるか、従たる給与になるか、
という事を確認する必要があります。
ここで、主たる給与とは、
「給与所得者の扶養控除等申告書」
を提出している人に支払う給与をが該当します。
これに対して、従たる給与とは、
主たる給与の支払者以外の給与の支払者が支払う給与をいいます。
つまり、給与の支給にあたって、主たる給与と従たる給与に分けるという事です。
また、
主たる給与の支払者に申告した源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族を、年の中途で従たる給与の支払者に申告替えすることはできます。
しかし、
従たる給与の支払者に申告した源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族を
年の中途で主たる給与の支払者に申告替えすることはできないこととなっていますので、注意が必要です。
また、
いくら所得税を源泉徴収するのかという事についてですが、
主たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、
源泉徴収税額表の「甲欄」で求めます。
従たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、
源泉徴収税額表の「乙欄」で求めます。
このように、主たる給与と従たる給与では、同じ給与の金額とした場合でも、源泉徴収される金額が異なるのです。
ただし、「従たる給与についての扶養控除等申告書」という書類を提出している人については、
「乙欄」で求めた源泉徴収税額から一定の金額を差し引く事が出来ますが、こちらについては、別途確認が必要です。
また、この時期になりますと、年末調整の話題になりますが、
原則として従たる給与については年末調整できない事となっており、
給与を支給されているご本人が確定申告することにより所得税及び復興特別所得税の精算を行わなければなりませんので、ご留意ください。
この他も、社会保険料の取り扱い等も別途ご確認いただく必要がありますので、会社側・ご本人側も適正な給与計算や税金の申告等をご確認の上進めるようお願い致します。
なお、このご案内は、現行法律の内容を平易に分かりやすくお伝えしているため、概要等につき簡略的な説明となっている部分もありますので、
実際の個々のご確認並びに計算にあたりましては、弊所では一切責任を負う事が出来ませんので、詳細は、税理士等の専門家又は税務署等にご確認をお願い致します。