はじめに
手形取引は、明治時代頃の日本独自の商習慣として、手元資金が厳しい発注企業等の資金繰りの支えになっていました。
しかし、近年に入ってからは、受注企業等の資金化が遅れてしまうという点が目立ってくるようになりました。
また、海外でも、振り込みや電子決済等への移行が進んでいるため、
日本では令和8年(2026年)までに紙の手形の利用廃止を目標として設定しました。
そして、昨年のこちらのブログでもご紹介しましたが、
令和4年11月4日から金融機関間での手形交換業務の電子化が実施されています。
なお、現時点でも手形や小切手の現物を取り扱っている事業者の方は多いですが、
令和8年(2026年)までに、紙の手形・小切手の全廃をし、全面的な電子化を実施する予定となっています。
なお、金融機関によっては、既に手形や小切手の取扱いについては制限を開始し、
早めに電子化への移行に取り組んでいるところもありますが、現状はどのようになっているのでしょうか。
一部金融機関での手形・小切手の発行停止
三井住友銀行では、次のとおり、全面的な電子化に向けての取り組みに関する案内を公表しています。
・2023年10月2日(月)以降に当座勘定を開設される顧客について、手形・小切手の発行を停止します。
・2027年4月以降を期日とする手形・小切手の取立受付を停止します。
・2024年1月4日(木)より、2027年4月以降を期日とする手形等(2027年4月以降を振出日とする先日付小切手も含む)について、
期日管理を行う代金取立の受付を停止します。
上記は、三井住友銀行ホームページ「手形・小切手の全面的な電子化に向けた各種対応に関するお知らせ」より一部抜粋
また、三菱UFJ銀行では、次のような取り組みを公表しています。
・2024 年 1 月 4 日(木)以降に開設する当座勘定を対象に、手形・小切手の発行受付を停止します。
・2024 年 1 月 4 日(木)より、2027 年 4 月以降を期日とする手形等(2027 年 4 月以降を振出日とする先日付小切手も含む)について、
期日管理を行う代金取立の受付を停止します。
三菱UFJ銀行ホームページ「手形・小切手の全面的な電子化に向けた取り組みに関するお知らせ」より一部抜粋
また、その他の都市銀行や地方銀行等においても電子化への対応に着手し始めており、
一部金融機関では、手形帳や小切手帳の値上げをしているところもあります。
手形・小切手の廃止については、現物の紛失リスクや押印保管等の事務負担の軽減、印紙代の削減等に繋がる面があり、
電子化にあたっては、金融機関側と会社側の双方でもメリットがある部分もあるので、
今後も電子化に向けての動きが進むことと考えられています。
まとめ
令和8年(2026年)までに手形・小切手の電子化が予定されていますが、一部金融機関では、
新規口座開設の際の手形・小切手の発行停止や、所定日以降の手形・小切手の取立受付を停止する等の
公表をしています。
そのため、手形・小切手を取り扱っている事業者の方は、取引金融機関に確認の上、
自社の今後の対応等を早めに決めておきましょう。
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