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佐藤充宏 江東区で税理士事務所・ファイナンスコンサルティング会社を経営しています。

消費税インボイス制度実施後に気になる事⑧:適格請求書発行事業者以外の者から課税仕入れは、仕入税額控除ができないのか。

消費税インボイス制度実施後に気になる事⑧:適格請求書発行事業者以外の者から課税仕入れは、仕入税額控除ができないのか。

はじめに

消費税インボイス制度においては、買い手が仕入税額控除の適用を受けるためには、

帳簿と売り手から交付を受けた適格請求書等の保存が必要とされています。

そして、適格請求書等を交付できるのは、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者に限られます。

(適格請求書発行事業者の登録を受けていない事業者であっても、

適格請求書に該当しない請求書等は発行できます)

そこで、課税事業者である買い手側が適格請求書発行事業者以外の者と取引をした場合、

その売り手である適格請求書発行事業者以外の者からは適格請求書等が交付されない事となりますが、

この場合、買い手側の方では仕入先控除はできなくなってしまうのでしょうか。

適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れに係る経過措置

概要

適格請求書発行事業者以外の者は、

消費者

免税事業者

適格請求書発行事業者の登録を受けていない課税事業者

と考えられます。

この適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、適格請求書等の交付を受けられないため、

仕入税額控除はできないこととなっています。

しかし、

経過措置

というものが設けられていて、

令和5年10月1日の消費税インボイス制度開始から一定期間については、

適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れでも、

仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる

という経過措置が設けられています。

経過措置の適用期間とその割合は次のとおりです。

1.令和5年10月1日から令和8年9月30日まで

仕入税額相当額の 80%

2.令和8年10月1日から令和11年9月30日まで

仕入税額相当額の 50%

帳簿及び請求書等の保存要件

この経過措置の適用を受けるためには、次の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件となります。

1 帳簿

区分記載請求書等保存方式の記載事項に加えて、

例えば、「80%控除対象」など、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要です。

具体的には、次の事項となります。

① 課税仕入れの相手方の氏名又は名称

② 課税仕入れを行った年月日

③ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、

資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである旨)及び経過措置の適用を受ける課税仕入れである(※)

④ 課税仕入れに係る支払対価の額

(※) ③の「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」の記載については、

個々の取引ごとに、

「80%控除対象」、「免税事業者からの仕入れ」等と記載する方法の他、

例えば、本経過措置の適用対象となる取引に、

「※」や「☆」といった記号・番号等を表示し、

かつ、これらの記号・番号等が「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を

別途「※(☆)は80%控除対象」などと表示する方法も認められます。

2 請求書等

区分記載請求書等と同様の記載事項が必要です

具体的には、次の事項となります。

① 書類の作成者の氏名又は名称

② 課税資産の譲渡等を行った年月日

③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容

(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)

④ 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額

⑤ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

(※) 適格請求書発行事業者以外の者から受領した請求書等の内容について、

③かっこ書きの「資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨」及び

④の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」の記載がない場合に限り、

受領者が自ら請求書等に追記して保存することが認められます。

なお、提供された請求書等に係る電磁的記録を整然とした形式

及び明瞭な状態で出力した書面に追記して保存している場合も同様に認められます。

まとめ

消費税インボイス制度においては、

買い手である課税事業者が、売り手である適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れでも、

仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる

という経過措置が設けられています。

なお、この経過措置の適用を受ける場合には、所定の事項を記載した帳簿及び請求書等の保存が必要です。

 

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