目次
令和4年分から「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」は所轄税務署から送付されません
今までは、10月頃になると所轄税務署から A 4サイズの封筒が送付され同封物として「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」などが同封されていましたが、
令和4年分からは同封がされません。
国税庁からの案内で、
法定調書の提出範囲や作成方法については、国税庁ホームページ掲載の
「令和4年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」
をご覧ください。
とあります。
そのため、ペーパーとして確認をするのではなく、ホームページ上で確認をし、
必要に応じて適宜自社で印刷をするということになりました。
これは、その他にも毎年送付されている
年末調整のしかた
源泉徴収税額表
についても同様でこれらについては国税庁ホームページで確認をすることになっているので、注意が必要です。
「令和4年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」の構成
今回からは国税庁ホームページで確認することになりますが、手引きの構成は特に大きく変更はありません。
目次として次のとおりとなっています。
第1 法定調書の提出期限等について ·················· 1
第2 給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書) ············· 3
第3 退職所得の源泉徴収票・特別徴収票 ················ 19
第4 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 ·············· 23
第5 不動産の使用料等の支払調書 ··················· 25
第6 不動産等の譲受けの対価の支払調書 ················ 27
第7 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 ······· 29
第8 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の書き方 ········· 31
第9 法定調書の訂正・追加について ·················· 33
参考································· 35
手引きの効率的なチェック方法
1.源泉徴収票や支払調書法定調書合計表を毎年作成提出している方
(1)必ずおさえておきたい、前年との変更点
毎年作成提出している方は業務の流れや記載内容はある程度イメージできています。
一方で、税制改正等により作成提出方法に変更が出ている場合があります。
そのため、
毎年の基本的な流れを押さえながらその年の変更内容を織り込めば良い
という事になります。
そして、変更点については、
第1 法定調書の提出期限等について
に記載されています。
手引き2ページ目の内容をテキスト形式で抜粋しますが、今回の変更点は次の通りです。
3 令和4年分の法定調書の提出から適用される主な改正事項
(1) 給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)関係
① 民法改正により、成年者の年齢が 20 歳から 18 歳に引き下げられました。
受給者の方が賦課期日現在で満 18 歳未満に該当する場合は、
「未成年者」欄に○を記載してください。
具体的には、令和4年分給与所得の源泉徴収票の場合、受給者が平成 17 年1月3日以後に生まれた方が、
未成年者に該当します。
② 住宅借入金等特別控除について、「住宅借入金等特別控除区分(1回目、2回目)」欄は、
「特例特別特例取得」に該当する場合「(特特特)」と併記してください。
※ 詳しくは7ページ⑰ 住宅借入金等特別控除の額の内訳を参照してください。
③ 令和5年1月1日以降、各市区町村へ書面で提出する給与支払報告書の提出枚数が2枚から1枚になります。
(2) 退職所得の源泉徴収票・特別徴収票関係
令和4年1月1日から、役員等以外の者としての勤続年数が5年以下である者に対する退職手当等(短期退職手当等)について、
退職所得の金額の計算方法が改正されました。
具体的な短期退職手当等に関する源泉徴収税額の計算方法や、「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」の記載例は、国税庁ホームページをご覧ください。
こちらに記載の通り、給与所得の源泉徴収票関係については、
記載内容に変更があり、
また、
給与支払報告書の提出枚数が変更になりました。
そして、退職所得の源泉徴収票・特別徴収票関係については退職所得の金額の計算方法が改正されましたので、
具体的な計算方法や記載については、国税庁ホームページで確認をする必要があります。
2.上述の第2から第9までは、前年の作業を思い出すように内容を確認しますが、
上記1の改正事項と関係がある内容については、記載内容の変更事項等を正確に把握する必要があります。
3.e-Tax、光ディスク等又はクラウド等による提出義務基準に該当する場合には手引き最終39ページを確認しましょう。
法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであった当該法定調書の枚数が100枚以上である法定調書については、
e-Tax、光ディスク等又はクラウド等(以下「e-Tax等」といいます。)による提出が必要となりました。
詳細は手引き最終39ページの内容等で確認をしましょう。
※出典元:国税庁「令和4年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」39ページ
2.源泉徴収票や支払調書法定調書合計表を今回初めて作成提出する方
最初に、次の内容を確認することをお勧めします。
(1)書類作成が必要な経緯
決算や確定申告と異なる手続きであり、なぜ支払調書や源泉徴収票、合計表といった書類の作成が必要なのかを理解すると、
作成の負担やストレスが軽減できます。
(2)自社にとって作成が必要な書類のピックアップ
支払調書や源泉徴収票は多くの種類があります。
そのため、自社の場合には、どの書類の作成が必要なのかを先に認識しておけば、
あとは必要な書類を作成すれば良いです。
(3)書類の記載内容の確認
作成が必要な書類が分かったら、どの箇所にどのような内容を記載すれば良いのかを確認し、
事前に記載にあたって集約・集計しておいた方が良い項目はチェックしましょう。
(4)提出方法の確認
書面で提出するのか、又は、e-Taxで提出するのか等を事前に決めておいた方が手続きがスムーズに進みます。
そして、e-Taxで提出する場合には、e-taxの操作又は業務ソフト等の操作手順を確認しておきましょう。
(5)国税庁動画の活用
国税庁ではYouTube 動画チャンネルで有意義な内容を公開しており、
今回の令和4年分法定調書の作成と提出についても公開していますので、是非視聴してみてください。
その他
1.給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出にあたり、業務ソフトやアプリケーションを使っている会社も多いと思います。
そこで、
その年のアップデート等を事前に行い、変更点がきちんと反映されているのかを確認した上で作業を進めましょう。
2.会社によっては、上述以外にも、業務をする上での前年との変更点や留意点等があるので、
前年の業務を振り返りながら改善点・変更点等をリストアップし、
今年の業務を正確かつ効率的に進める必要があります。
まとめ
「令和4年分給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」は所轄税務署から送付されませんので、
手引の内容は国税庁ホームページで確認をし、今回の変更点等を把握した上で、国税庁 YouTube 動画チャンネルを活用し、
効率的に業務を進めるようにしましょう。
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