毎年社会保険の加入事業者は、年度改定の3月分(4月納付分)だけでなく、その他のタイミングで社会保険料の納付額が変更となる場合があります。
そのタイミングのうちの一つが、
算定基礎届の提出による、9月分(10月納付分)からの社会保険料の変更です。
目次
算定基礎届の提出
7月1日現在の全被保険者の3カ月間(4月、5月、6月)の報酬月額を算定基礎届により届出をすることとなっています。
そして、この届出内容に基づき、毎年1回標準報酬月額を決定し直します。
これを
定時決定
と呼んでいます。
定時決定による社会保険料の見直し
定時決定をすると、その内容に基づき、9月から翌年8月までの各月の標準報酬月額が算定されます。
そして、標準報酬月額は社会保険料の算定基準となるものなので、算定基礎届の提出により、
社会保険料の徴収のベースとなる等級が変更となる人もいれば変わらない人もいます。
そこで、等級変更等により社会保険料の徴収額が変更となる場合には、その変更した金額に基づき
10月納付分から納付額が変更します。
令和4年で言うと10月31日月曜から変更となります。
算定基礎届提出による社会保険料変更にともなう会社対応
社会保険料が9月分(10月納付分)から変更になる場合には、会社側ではどのような対応が必要になるのかというと、
変更内容に基づき給与支給時に徴収する社会保険料額を変更する
というプロセスが必要です。
提出された算定基礎届に基づき、毎年9月前後に年金事務所から
標準報酬月額決定通知書
というものが送付されます。
こちらに記載された標準報酬月額に基づき、会社では次の対応が必要となってきます。
・ 決定通知書に基づき変更対象となる従業員は誰か。
・ 変更対象になった従業員の変更後の社会保険料額はいくらか。
・ 社会保険料の徴収変更のタイミングはいつか。
社会保険料の報酬が変更となった従業員については、その納付額も変更となるため、給与支給時の徴収額も変更しなければなりません。
また、会社の給与計算の締め日や給与支給タイミング等によって、徴収額を変更する時期も異なります。
そのため、自社が社会保険料の徴収をいつから変更するのかを事前に把握しておかなければなりません。
その他
政府管掌の社会保険については令和4年度は9月の改定が行われていませんが、年によっては改定が行われる場合もあります。
その場合には上述の標準報酬月額の等級が停止決定後も変わらないとしても社会保険料の徴収額が変更となるので、
毎年の社会保険料の改定時期等についてはもれなく把握する必要があります。
まとめ
毎年の算定基礎届の提出による定時決定に基づき、9月(10月納付分)から社会保険料の改訂が行われ、給与支給時の徴収額や納付額が変更となる場合があります。
そのため、総務経理担当者は、
・ 変更対象となる従業員は誰か。
・ 変更対象になった従業員の変更後の社会保険料額はいくらか。
・ 社会保険料の徴収変更のタイミングはいつか。
等を確認して、給与計算の誤りがないよう、そして、社会保険料納付額の把握誤りがないようにしましょう。