従業員への給与支給時に個人住民税を特別徴収し、その納期限までにその徴収した個人住民税を納税しますが、
この個人住民税については、その徴収した月の翌月10日までに納税するというイメージがあります。
しかし、納税についてはその他のタイミングで行うことができる場合があります。
目次
個人住民税の納期限の原則
地方税法
第321条の5 給与所得に係る特別徴収税額の納入の義務等
2 前項の特別徴収義務者は、前条の規定によりその者が徴収すべき給与所得に係る特別徴収税額に係る個人の市町村民税の納税義務者が
当該特別徴収義務者から給与の支払を受けないこととなつた場合には、その事由が発生した日の属する月の翌月以降の月割額
(前項の規定により特別徴収義務者が給与の支払をする際毎月徴収すべき額をいう。以下この項、次項及び第321条の6第3項において同じ。)は、
これを徴収して納入する義務を負わない。
ただし、その事由が当該年度の初日の属する年の6月1日から12月31日までの間において発生し、かつ、総務省令で定めるところにより
その事由が発生した日の属する月の翌月以降の月割額を特別徴収の方法によつて徴収されたい旨の納税義務者からの申出があつた場合
及びその事由がその年の翌年の1月1日から4月30日までの間において発生した場合には、当該納税義務者に対して
その年の5月31日までの間に支払われるべき給与又は退職手当等で当該月割額の全額に相当する金額を超えるものがあるときに限り、
その者に支払われるべき給与又は退職手当等の支払をする際、当該月割額の全額
(同日までに当該給与又は退職手当等の全部又は一部の支払がされないこととなつたときにあつては、
同日までに支払われた当該給与又は退職手当等の額から徴収することができる額)を徴収し、
その徴収した月の翌月10日までに、これを当該市町村に納入しなければならない。
3 前項の場合においては、特別徴収義務者は、総務省令で定めるところにより、給与の支払を受けないこととなつた納税義務者の氏名、
その者に係る給与所得に係る特別徴収税額のうち既に徴収した月割額の合計額その他必要な事項を記載した届出書を
当該特別徴収に係る納入金を納入すべき市町村の長に提出しなければならない。
4 前条の規定により、他の市町村内において給与の支払をする者が特別徴収義務者として指定された場合には、当該特別徴収義務者は、
その納入すべき納入金を当該他の市町村内に所在する銀行その他の金融機関で当該市町村が指定して当該特別徴収義務者に通知したものに払い込むものとする。
この場合においては、当該特別徴収義務者が当該通知に係る金融機関に払い込んだ時に、当該市町村にその納入金の納入があつたものとみなす。
5 市町村の指定した特別徴収義務者が国の機関である場合における第326条第1項の規定の適用については、
当該特別徴収義務者が給与所得に係る特別徴収税額に係る納入金に相当する金額の資金を
日本銀行に交付して納入金の払込みをした時において当該市町村に納入金の納入があつたものとみなす。
上述の条文第1項に記載の通り、その徴収した月の翌月の10日までにこれをその市町村に納入する義務を負うとあるので、
給与支給時に特別徴収した月の翼月10日までに納税を行う必要があるということです。
こちらの内容が多くの方がイメージしている、個人住民税を毎月納税する必要があるということです。
個人住民税の納期限の特例
地方税法
第321条の5の2 給与所得に係る特別徴収税額の納期の特例
第321条の4の特別徴収義務者は、その事務所、事業所その他これらに準ずるもので給与の支払事務を取り扱うもの
(給与の支払を受ける者が常時10人未満であるものに限る。以下この項において「事務所等」という。)につき、
当該特別徴収に係る納入金を納入すべき市町村の長の承認を受けた場合には、6月から11月まで及び12月から翌年5月までの各期間
(当該各期間のうちその承認を受けた日の属する期間については、その日の属する月から当該期間の最終月までの期間)に
当該事務所等において支払つた給与について前条第1項の規定により徴収した給与所得に係る特別徴収税額を、同項の規定にかかわらず、
当該各期間に属する最終月の翌月10日までに当該市町村に納入することができる。
前条第2項ただし書の規定により徴収した給与所得に係る特別徴収税額についても、同様とする。
2 前項の承認の取消し、当該取消しがあつた場合の納期の特例その他給与所得に係る特別徴収税額の納期の特例に関し必要な事項は、政令で定める。
上記の条文の内容では、給与の支払を受ける者が常時10人未満である事務所等で、一定要件に該当する場合には、納期限を基本的に次のようにすることが出来ます。
6月から11月までの期間:12月10日まで
12月から翌年5月までの期間:6月10日まで
この内容がいわゆる特別徴収税額の納期の特例といわれるものです。
なお、この特例の適用を受けるにあたっては、次の条文等に記載の通り、所定の手続きが必要となります。
地方税法
第48条の9の10 給与所得に係る特別徴収税額の納期の特例
法第321条の5の2第1項の承認の申請をする者は、その承認を受けようとする事務所等(同項に規定する事務所等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の所在地、
当該事務所等において給与の支払を受ける者の数その他総務省令で定める事項を記載した申請書を同項の市町村長に提出しなければならない。
2 市町村長は、前項の申請書の提出があつた場合において、その申請書を提出した者につき次の各号のいずれかに該当する事実があるときは、
その申請を却下することができる。
一 その承認を受けようとする事務所等において給与の支払を受ける者が常時10人未満であると認められないこと。
二 次項の規定による取消し(その者について前号に該当する事実が生じたことのみを理由としてされたものを除く。)の通知を受けた日以後1年以内に
その申請書を提出したこと。
三 その者につき現に当該市町村に係る地方団体の徴収金の滞納があり、かつ、その滞納に係る地方団体の徴収金の徴収が著しく困難であること
その他その申請を認める場合には
法第321条の5第1項又は第2項ただし書の規定により徴収した給与所得に係る特別徴収税額の納入に支障が生ずるおそれがあると認められる相当の理由があること。
3 市町村長は、法第321条の5の2第1項の承認を受けた者について前項第1号又は第3号に該当する事実が生じたと認めるときは、その承認を取り消すことができる。
4 市町村長は、第1項の申請書の提出があつた場合において、その申請につき承認若しくは却下の処分をするとき、
又は前項の規定による承認の取消しの処分をする場合には、その申請をした者又は承認を受けていた者に対し、書面によりその旨を通知するものとする。
5 第1項の申請書の提出があつた場合において、その申請書の提出があつた日の属する月の翌月末日までにその申請につき承認又は却下の処分がなかつたときは、
同日においてその承認があつたものとみなす。
その他
1.特別徴収税額の納期の特例の申請手続きにあたっては、申請様式や納期特例の適用要件等が区市町村によって異なる場合があるので、
各市区町村毎のホームページ等で内容を事前に確認しましょう。
2.上述の特別徴収税額の納期の特例は、「給与所得」部分ですので、その他の所得の納期については、各法令の条文に基づいて定められていますのでそちらをご確認下さい。
まとめ
給与支給時に特別徴収する個人住民税の納期については納期の特例制度というものがあり、納税の負担が軽減できる場合がありますので、
納期特例適用を検討する場合には各市区町村のホームページ等でご確認をお願いします。
【前回内容】
住民税特別徴収のギモン30:個人住民税を各区市町村が都道府県分と合わせて課税・徴収している流れについて
【次回内容】