令和3年度税制改正により、令和4年1月1日から電子帳簿保存法の改正が行われますが、その中で対応しなければならないものの一つに、
電子取引の取引情報については、電磁的記録によって保存しなければならない
という事が挙げられます。
イメージとしては、メールの添付ファイルで請求書のPDFファイルを受け取った場合には、そのPDFファイルを書面印刷して保存しているケースがありましたが、
令和4年1月1日からは、改ざん等防止のために、書面での保存は認められず、データで保存しなければなりません。
そして、データで保存すれば良いというだけではなく、その他にも対応しなければなりませんが、そのうちの改ざん防止のための措置についてご案内します。
電子帳簿保存法の参考となる条文
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則
第8条 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存
法第10条に規定する保存義務者は、電子取引を行った場合には、次項又は第3項に定めるところにより同条ただし書の書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを
保存する場合を除き、当該電子取引の取引情報(法第2条第6号に規定する取引情報をいう。)に係る電磁的記録を、
当該取引情報の受領が書面により行われたとした場合又は当該取引情報の送付が書面により行われその写しが作成されたとした場合に、
国税に関する法律の規定により、当該書面を保存すべきこととなる場所に、当該書面を保存すべきこととなる期間、次に掲げる措置のいずれかを行い、
第3条第1項第4号並びに同条第5項第7号において準用する同条第1項第3号(同号イに係る部分に限る。)及び第5号に掲げる要件に従って保存しなければならない。
一 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された後、当該取引情報の授受を行うこと。
二 当該取引情報の授受後遅滞なく、当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すとともに、
当該電磁的記録の保存を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと。
三 次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を行うこと。
イ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
ロ 当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。
四 当該電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、
当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと。
2 法第10条ただし書の規定により同条ただし書の書面の保存をする保存義務者は、当該書面を、前項に規定する場所に、同項に規定する期間、
整理して保存しなければならない。
この場合においては、当該書面は、整然とした形式及び明瞭な状態で出力しなければならない。
3 法第10条ただし書の規定により同条ただし書の電子計算機出力マイクロフィルムの保存をする保存義務者は、当該電子計算機出力マイクロフィルムを、
第1項に規定する場所に、同項に規定する期間、第4条第2項において準用する同条第1項第1号(同号ロに係る部分に限る。)から第4号までに掲げる要件に従って
保存しなければならない。
上述の条文の改ざん防止措置の一つとして、次の概要のいずれかの要件を満たす必要があります。
1、タイムスタンプが付与されたデータを受け取る。
2、受け取ったデータにタイムスタンプを付与する。
3、データの受取・保存を訂正削除履歴が残るシステムやそもそも訂正削除ができないシステムで行う。
4、不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を制定し、遵守する。
そして、この中で、国税庁ホームページでも、
システム費用等をかけずに導入できる”改ざん防止のための事務処理規程”については、国税庁でサンプルを公表しています。
とあります。
電子データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程
改ざん防止のための事務処理規程として、国税庁ホームページでは、法人と個人事業者の各々でのサンプルを提供しています。
この中で、電子取引データの取扱い等が記載されているので、こちらを活用する事も可能です。
上述の1から3の改ざん防止措置の概要と比較して、この事務処理規程遵守の運用の方が導入しやすいという面もありますので、この活用をするケースが多いと想定されます。
まとめ
令和4年1月1日から電子帳簿保存法の改正が行われ、その中で対応しなければならないものの一つに、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務がありますが、
改ざん防止措置のうち、システム費用等をかけずに導入できる「電子データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」の設置がありますので、
自社にとって、どの措置が適切なのかを検討した上で、この「電子データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を導入するのかを決めるようにしましょう。