ふるさと納税制度が始まってから、今では多くの人が利用しています。
各地域の返礼品をホームページでチェックして、自分が寄附したいと思う地域に寄附をして、その返礼品を受け取って、寄附した金額に応じて所得税や住民税の控除を受けるというイメージです。
返戻品ももらえて、税金の一定額が控除できるので、返戻品の楽しみと節税に繋がるので、日本国内の地域でも、より寄附をしてもらえるように様々な返戻品がこれからも増えてくると嬉しいです。
ところで、このふるさと納税は、個人が寄附をした場合の制度になりますが、実は、企業が寄附をする場合にも、ふるさと納税があるのをご存知でしょうか。
目次
企業版ふるさと納税制度の概要
企業がふるさと納税をするといっても、個人版のふるさと納税とは、制度が違います。
どのような概要かというと、
1、寄附した企業への経済的な見返りは禁止です。
2、寄附した金額は事業費の範囲内とすることが必要です。
3、地方交付税の不交付団体である東京都、不交付団体でその全域が地方拠点強化税制における地方活力向上地域以外の地域に存する市区町村は対象外となっているので、注意が必要です。
また、今後の状況によっては、対象外の地域が変更となる場合がありますので、対象地域となっているのかを確認しましょう。
4、本社が所在する地方公共団体への寄附は対象外です。
上記のように、個人版とは大きく異なります。
また、事業費である必要があり、地域によっても制限があります。
寄附した場合の税金の軽減効果
企業版ふるさと納税は、個人版のふるさと納税と比較して、制度が施行されてからまだ年数が短いので、より普及して、企業が寄附しやすいように次のような納税に関する施策をしています。
損金算入による軽減効果に税額控除による軽減効果を上乗せしています。
なお、寄附額の下限は10万円と低めに設定いるので、10万円以上での寄附をする必要があります。
そして、この制度は、令和2年度に税制改正(適用期限:令和7年3月31日)が実施され、次のように利便性がより高まるようになっています。
1、税金の軽減効果が寄附金額の最大約9割(現行約6割)となるので、企業の負担が軽減されます。
具体的には、
①法人住民税について
寄附額の4割を税額控除します。
※法人住民税のうちの法人税割額の20%が上限となります。
②法人税について
法人住民税で4割に達していない場合、その残額を税額控除します。
※寄附額の1割が限度で、法人税額の5%が上限です。
③法人事業税について
寄附額の2割を税額控除します。
※法人事業税額の20%が上限です。
これらを図で表すと、次のとおりです。
企業版ふるさと納税の寄附金額が2,000万円の場合(各税額控除限度額内とします)には、
損金算入による税金(国税と地方税)の軽減(※) | 法人住民税と法人税 | 法人事業税 | 企業が負担 |
約3割 | 4割 | 2割 | 約1割 |
約600万円 | 800万円 | 400万円 | 約200万円 |
(※) 企業が地方公共団体に寄附した場合には、その全額が損金(経費)となり、通常、企業が負担する税金が現行法令では約3割(法人実効税率)とされているため、
損金(経費)となった金額の約3割分の税金が軽減されます。
2、企業が寄附したいタイミングでの寄附が出来るようになります
※地域再生計画の認定後、受入となる寄附金額の目安の範囲内であれば、事業費確定前の寄附の受領が可能になります。
3、地方公共団体側での申請に係る負担が大幅に軽減されます。
企業側が最も注目する点は、上記1の税金の軽減効果が寄附金額の最大約9割となる事だと思いますが、数値例のとおり、2,000万円の企業版ふるさと納税であれば、約200万円の企業側負担になるという事です。
企業版ふるさと納税を活用する際のポイント
企業側からしてみれば、負担額は減るといっても、手元資金は減少する事になります。
そのため、その手元資金を減少してでも活用したいと考えるようなメリットがないと、企業側での導入も難しいです。
そこで、内閣府地方創生推進事務局の企業版ふるさと納税に関するホームページで、次のような点が企業側のメリットとなると記載しています。
1、社会貢献
SDGsの達成などの企業としてのPR効果
2、地方公共団体との新たなパートナーシップ
3、地域資源などを生かした新事業展開
寄附した企業への経済的な見返りは禁止となっていますが、内閣府地方創生推進事務局が提案している上記のメリットを検討しながら、自社での実施を検討する事になると思います。
なお、この制度は、地方公共団体側でも、企業側が寄附したいと思わせるような地方創生プロジェクトを打ち出せば、より一層の普及に繋がっていくと思われます。
まとめ
企業版ふるさと納税は、個人版と制度は異なりますが、企業側にとってもメリットがあります。
しかし、活用するにあたっては条件もあるので、企業側がメリットを実感できるようなものにするために、地方公共団体側でも、企業が魅力を感じるような地方創生プロジェクトを打ち出して、より使い勝手の良い制度にする必要があります。