目次
初めに
先日のこちらのブログでもご紹介しましたが、
消費税インボイス制度では、買い手側が仕入税額控除の適用を受ける要件として、
一定事項が記載された帳簿及び請求書等の保存
が必要です。
そこで、自社が支払い毎にどのような帳簿及び請求書等を保存しているのかをチェックしていると、気になることがいくつか出てくると思います。
その中の1つで多いのが
家賃の支払い
です。
家賃の支払いにかかる消費税の仕入れ税額控除
家賃の内容
家賃には、事務所や店舗・倉庫等の賃貸借契約等に基づくものがあります。
これらは、通常、賃貸借契約書を締結し、その内容に基づき、毎月振込あるいは口座引き落とし・口座振替等をします。
そして、その賃貸借契約書はあっても、賃料の支払い額が定額であり支払方法等については契約書に織り込まれているため、
毎月の請求書や領収書は発行されないケースが多いです。
このような場合に気になるのが、
適格請求書等の保存要件
です。
適格請求書の取り扱い
適格請求書については、次のように取り扱うこともできます。
・一定期間の取引分をまとめて交付する。
・一の書類だけで、適格請求書として必要な記載事項全てが記載されている必要はありません。
↓
複数の書類全体で適格請求書の記載事項を満たせば良い事になります。
そのため、賃貸借契約書等に適格請求書として必要な記載事項の一部が記載され、その他に
実際に取引を行った事実を客観的に示す書類とともに保存しておけば、
仕入税額控除の要件を満たすこととなります。
具体的には、次のような運用を考える必要があります。
【家賃の自動引き落とし・口座振替の場合】
・課税資産の譲渡等の年月日以外の適格請求書の所定の事項が記載された賃貸借契約書等の保存
・課税資産の譲渡等の年月日の事実を示すものが記載された通帳等の保存
【家賃の口座振込の場合】
・課税資産の譲渡等の年月日以外の適格請求書の所定の事項が記載された賃貸借契約書等の保存
・金融機関が発行した課税資産の譲渡等の年月日の事実を示すものが記載された振込金受取書等の保存
令和5年9月 30 日以前から賃貸借の契約をしている場合
消費税インボイス制度実施前から、事務所や店舗・倉庫等の賃貸借等の契約の契約をしている場合には、
契約書に、適格請求書の記載事項が織り込まれていないことも、もちろんあります。
そのような場合には、
登録番号等の記載が不足していた事項の通知を受けて、契約書とともに保存していれば差し支えない事となっています。
その他
1.今回ご案内の賃貸借契約のように、取引毎に請求書や領収書等が発行されない場合は、
貸主が契約期間の中途において、適格請求書発行事業者でなくなる場合があるかもしれませんが、
その際に通知がなければ、借主である自社はその情報を知る事が出来ません。
そこで、適宜、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で、貸主が適格請求書発行事業者として登録されているのかを確認しましょう。
2.上述の内容は通常想定されるものに基づいて記載していますが、実際には個別の賃貸借等毎に、
適格請求書等の保存要件等を満たしているのかを確認の上、不明点等は税理士等の専門家や所轄税務署に確認しましょう。
まとめ
事務所や店舗・倉庫等の賃貸借契約等のように、契約書はあっても、請求書や領収書の交付を受けずに毎月の家賃の支払いをする場合には、
課税資産の譲渡等の年月日以外の適格請求書の所定の事項が記載された賃貸借契約書等及び
課税資産の譲渡等の年月日の事実を示すものが記載された通帳や振込金受取書等を保存する事により、
仕入税額控除の要件を満たすこととなりますが、実際には個別の賃貸借等毎に、適格請求書等の保存要件等を満たしているのかを確認の上、
不明点等は税理士等の専門家や所轄税務署に確認しましょう。
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