消費税インボイス制度において、適格請求書発行事業者は、一定要件のもとで適格請求書等を交付する義務があります。
しかし、事業の性質等から、適格請求書を交付することが困難な場合も想定されるため一部の取引については適格請求書の交付義務が免除されます。
目次
適格請求書の交付義務が免除される取引
1. 3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
2. 出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
3. 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売
(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
4. 3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
5. 郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
注意点
1.上述「1.3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送」について
1回の取引の税込価額が3万円未満かどうかで判定します。
そのため、1商品(切符1枚)ごとの金額や、月まとめ等の金額で判定しません。
例えば、
新幹線の運賃が15,000 円であり、3人分の旅客運送が行われる場合は、3人分の 合計45,000 円で判定します。
2.上述「4. 3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等」
交付義務免除の対象となる自動販売機及び自動サービス機とは、
この機械装置のみで、代金の受領と資産の譲渡等が完結するものが該当します。
そのため、次のようなものが該当します。
・自動販売機による飲食料品の販売
・コインロッカーやコインランドリーのサービス
・金融機関のATMによる手数料を対価とする入出金サービスや振込サービス 等
なお、次の場合には、自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等に該当しません。
・コンビニ・スーパー等の小売店内に設置されたセルフレジを通じた販売
・コインパーキングや自動券売機のように代金の受領と券類の発行
※コインパーキングの場合は、不特定かつ多数の者に対する駐車場業に該当するので、
適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することができます。
・ネットバンキング 等
まとめ
消費税インボイス制度において、適格請求書発行事業者は、一定要件のもとで適格請求書等を交付する義務がありますが、
事業の性質等から、適格請求書を交付することが困難な場合も想定されるため、一部の取引については適格請求書の交付義務が免除されます。
そのため、自社が行っている取引の中で、適格請求書の交付義務が免除される取引が含まれているのか、確認をしましょう。
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