少し前から、年に1回、全国健康保険協会から「医療費のお知らせ」という書類が発送されるようになりました。
この「医療費のお知らせ」には、ある一定の期間での医療費の内訳が記載されているものになります。
そして、この「医療費のお知らせ」は、自分や世帯がどれだけの医療費がかかったのかというのを知る事が出来るのではなく、所得税の確定申告にも活用できるとの事でした。
そこで、今回は、この「医療費のお知らせ」を所得税の確定申告にどのように活用するのか、そして、その際のポイント及び注意点についてご案内致します。
「医療費のお知らせ」の概要
ところで、「医療費のお知らせ」は、いつ、誰に、どのような内容で送付されているのか等といった、「医療費のお知らせ」の概要について、最初にご説明します。
いつ頃送付されるのか:
毎年1月中旬から下旬頃
誰に送付されるのか:
社会保険に加入している事業所に送付されます。そして、勤務している従業員とその家族の医療費の内容を記載したお知らせが個別に封入されていて、事業所がこの「医療費のお知らせ」を被保険者である各従業員に渡します。
※任意継続被保険者となっている人とその扶養親族の分については、その人のご自宅に郵送されます。
所得税の確定申告の際のポイント及び注意点
1、「医療費のお知らせ」は、「その年の1月1日から12月31日までの1年分が記載されているわけではでありません」
全国健康保険協会では、膨大な人数の事務処理をしています。
そして、所得税の確定申告に活用するための情報を提供するといっても、すぐにできないのです。
昨年の実績では、主に平成29年11月から平成30年9月の間に医療機関等で受診された分の情報が掲載されています。
そのため、「医療費のお知らせ」の情報のうち、自身が所得税の確定申告で医療費の集計をする期間分を抜き出す必要があります。
2、「医療費のお知らせ」を所得税の確定申告書類に添付すると、医療費控除の明細書の記入が省略できます
平成29年分の所得税確定申告から医療費控除に関して一部手続きが変更となり、医療費の領収書の提出の代わりに医療費控除の明細書の添付が必要となりました。
つまり、この医療費控除の明細書に所定の事項を記載しなければならないのですが、この「医療費のお知らせ」を所得税の確定申告書類に添付すると、医療費控除の明細書の「明細」の記入が省略できます。
なお、実際の医療費控除の明細書は、こちらのとおりですが、この明細書に記載のとおり、「1 医療費通知に関する事項」に「医療費のお知らせ」に記載されている該当期間分の情報等は記載する必要はあります。
そして、記載すると、「2 医療費(上記1以外)の明細」の記載が省略できるのです。
3、「医療費のお知らせ」に記載されていない医療費が発生している場合があります
「医療費のお知らせ」は、一定期間に医療機関で受診した分が記載されていますが、実は、全てが記載されるわけではありません。
例えば、特定の診療科を有する医療機関で受診した場合には記載されない場合があります。
そのため、「医療費のお知らせ」に記載されていない医療費があるのか等は別途チェックする必要があります。
4、「医療費のお知らせ」に記載されていない期間分等の医療費については、医療費控除の明細書「2 医療費(上記1以外)の明細」に記載します
昨年の例でいうと、平成30年1月から9月までは、この「医療費のお知らせ」を活用する事は出来ますが、平成30年10月から12月分については、そのようには出来ません。
そこで、平成30年10月から12月分については、医療費控除の明細書「2 医療費(上記1以外)の明細」に医療費の領収書等に基づいて集計した情報を記載して、
所得税の確定申告書類に医療費控除の明細書を添付します。
まとめ
このように、「医療費のお知らせ」は、自身や世帯の医療費情報を知る事が出来るだけでなく、所得税の確定申告にも活用できます。
そして、次のポイント及び注意点があります。
・「医療費のお知らせ」は、「その年の1月1日から12月31日までの1年分が記載されているわけではでありません」
・「医療費のお知らせ」を所得税の確定申告書類に添付すると、医療費控除の明細書の記入が省略できます
・「医療費のお知らせ」に記載されていない医療費が発生している場合があります
・「医療費のお知らせ」に記載されていない期間分の医療費の集計は、医療費控除の明細書「2 医療費(上記1以外)の明細」に記載します
その他にも、ご自身や世帯の状況によって注意すべき点はありますが、これらの点をチェックして、所得税の確定申告をストレスがなく、スムーズに進められるようにしましょう。