江東区の税理士     経営アドバイザー

佐藤充宏 江東区で税理士事務所・ファイナンスコンサルティング会社を経営しています。

賞与支給時の社会保険料や所得税等の計算方法についてご説明します

賞与支給時の社会保険料や所得税等の計算方法についてご説明します

来月12月になると、賞与を支給する会社が多いです

ただ今、10月中旬で、あっという間に年末を迎える事になります。

すると、会社では、その年末にあたる12月に、冬季や年末の賞与の支給を検討している場合があります。

従業員全員の賞与対象期間中のパフォーマンスや業績等を加味して、賞与の支給額はいくらにすれば良いのかを決めますが、その賞与支給時には、経理・総務担当者は、賞与支給額を計算しなければなりません。

そこで、賞与支給額の計算あたっての注意点をお知らせします。

賞与支給額の計算は、毎月の給与支給額の計算とは異なります

毎月の給与計算では、通常は、次の項目について計算します。

支給するもの

・給与額

・諸手当

・通勤定期代

控除するもの
・所得税

・住民税

・雇用保険料

・社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)

・その他、会社として、積立金や社宅使用料として徴収すべきもの

これらの項目に基づいて計算します。

 

一方、毎月の支給ではない賞与の場合には、基本的には次のようになります。

支給するもの

・賞与

控除するもの

・所得税

・雇用保険料

・社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)

基本的に上記のとおりとなり、賞与は毎月の給与と異なり、定期代の支給や住民税等の控除はありません。

そして、所得税や雇用保険料・社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は、賞与支給時にも控除しなければなりません

これは、なぜかというと、所得税と雇用保険料・社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は、賞与の金額に対しても負担することとなっているからです。

所得税は、ご存知のとおり、給与や賞与といった収入(所得)に対して課税されるので、この賞与支給時には所得税が控除されます。

そして、雇用保険料・社会保険料も、給与や賞与の収入をベースに負担額が決まっているのです。

また、健康保険や厚生年金保険といった社会保険については、賞与を支給する際には、支給額や支給月等を記載した書類を所定の月までに年金事務所へ提出する事となっています。

一方、住民税は、その方の前年分の収入を元にその年に納めるべき住民税が決まり、さらに、毎月給与支給時に徴収する住民税が決まっていて、その毎月給与から控除する住民税は既に毎月の給与支給から控除されているので、賞与の時には控除する必要がないのです。

そのため、賞与の支給額が決まったら、その支給額から控除される税金や保険に応じて、別途計算したり、書類を提出しなければなりません。

賞与支給時の雇用保険料の計算方法についてご案内します

雇用保険料の場合には、毎月の給与と同様の料率を用いて計算します。

なお、平成31年度については、厚生労働省ホームページ記載のとおり、一般の事業(建設業・農林水産業等以外)は、従業員負担は0.3%です。

現在は、多くの会社で給与計算用のシステムを使用しているので、その料率等の設定をきちんとして、賞与支給時のデータ登録を正確にすれば、雇用保険料は自動的に算出される事になります。

賞与支給時の社会保険料の計算方法(東京都政府管掌の場合)についてご案内します

賞与に係る社会保険料額は、次のように計算します。

1、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てます(=「標準賞与額」と呼ばれます)。

2、標準賞与の額に保険料の料率を乗じた金額(円未満端数切捨て)になります。
(標準賞与の額には上限が決まっています)

現時点での保険料率は、協会けんぽのホームページにも掲載されていますが、次のとおりです。

(1)健康保険料
①40歳から64歳までの方:9.90%
②①以外の方:11.63%

(2)厚生年金保険料
18.3%

なお、上記率により算出した金額は、実際に社会保険料として支払う金額であり、会社と従業員でその金額を折半で負担する事になります。

また、上記は、政府管掌の社会保険のため、健康保険組合等で加入している場合には、計算方法が異なる場合がありますので、自社の社会保険の加入状況と社会保険料の計算方法を確認するようにしましょう。

賞与支給時の所得税の計算方法についてご案内します

賞与から控除する所得税の額は、国税庁ホームページに掲載されていますが、次の計算式によって算出します。

※今回は、扶養控除等申告書の提出があった方についてのものでご案内します。

(賞与ー雇用保険料ー社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料))×所定の率
※円未満端数切捨て

ここで、所定の率は、国税庁ホームページ抜粋の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(平成31年分)」内記載の表を用いて、次の手順により行います。

1、その方の前月中の賞与以外の給与等の金額から、その給与等の金額から控除される社会保険料等の金額を控除した金額を算出します。

2、扶養控除等申告書により申告された一定の扶養親族等の数と上記1により求めた金額に応じて甲欄の「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の該当する行を求めます。

3、上記2により求めた行と「賞与の金額に乗ずべき率」欄との交わるところに記載されている率が、上記算式の所定の率になります。

参考数値を挙げて賞与計算方法を説明します

次の数値例を用いて、実際の賞与支給計算明細をご案内します。

12月に賞与を支給する場合
雇用保険料率は、一般事業に該当するものとして、従業員負担分0.3%を料率とします。
支給対象者情報
扶養親族等の数:ゼロ人
年齢:35歳

11月(前月)支給の給与内訳
1、給与:300,000円
2、雇用保険料:900円
3、健康保険料:14,850円
4、厚生年金保険料:27,450円
5、所得税:6,750円
6、住民税:~
社会保険料等控除後の給与等の金額:1-2-3-4=256,800円

12月賞与支給内訳
1、総額:500,000円
2、雇用保険料:1,500円(500,000円×0.3%)
3、健康保険料:24,750円(500,000円×9.90%×0.5)
4、厚生年金保険料:45,750円(500,000円×18.3%×0.5)
5、所得税:
賞与の金額に乗ずべき率・・・6.126%
所得税・・・26,219円((500,000円ー1,500円ー24,750円ー45,750円)×6.126%)
差引支給額:1-2-3-4-5=401,781円

上記のとおりとなります。

なお、実際には、その他の条件等により、上記保険料や所得税の金額が異なる場合がありますので、今回は、計算方法のイメージを掴んで頂ければと思います。
(具体的な詳細は、個別にご確認が必要な場合があります)

12月まで間もないので、賞与支給をする場合には、事前に計算方法等をご確認の上、賞与支給をスムーズに行なえるようにしましょう。

賞与支給後も必要な対応があります

賞与の支給が終わると、ひと段落ですが、その後にも、次のような、やらなければならない事はあります。

1、所得税の納税

賞与の支給時に、源泉徴収をした所得税がありますが、この所得税は、会社が一時的に預かったもので、所定の期限までに納税しなければなりません。

多くの場合は、給与支給時に源泉徴収した所得税と一緒に納税していますので、納付時にこの賞与支給時の源泉徴収所得税を漏れなく納付しましょう。

2、社会保険料の納付

先程ご説明したとおり、賞与支給時には、健康保険や厚生年金を徴収し、合わせて、年金事務所へ書類提出をしなければなりません。

そして、年金事務所は、その提出された書類に基づき、賞与分の社会保険料額を計算し、会社から支払ってもらいます。

社会保険料の支払を毎月の口座引き落としにしているのであれば、年金事務所から、毎月の給与以外に賞与分の社会保険料が合算された引落額に関する通知書が送付されてきます。

そのため、賞与の支給をした場合には、他の月と比較して社会保険料の引落額が増える事となりますので、賞与支給時に従業員から預かった社会保険料と会社負担分の社会保険料の金額を確保しておきましょう。

このブログならではの賞与計算時の3つのポイント

賞与計算は、夏・冬の年2回の場合もあれば、合わせて、決算時の支給もある年3回の場合もあったり、その他にも、臨時で支給する場合もあります。

そのような時に、賞与計算をする際のポイントは、

・賞与支給までの正確なスケジュールを把握する

・保険料や税金の計算が、料率改正や税制改正等で変更があるのかをチェックする

・賞与計算システムが最新版にアップデートされているのかをチェックする

という事です。

最初に、賞与支給のスケジュールですが、このスケジュールを把握していると、いつの段階で誰にいくらの賞与を支給するのかが分かり、そして、支給日から逆算して、賞与計算完了日を導き、会社のタスクとして、いつまでに何をしなければならないのかが分かります。

次に、保険料は、法改正で保険料率が変わったり、所得税の計算時の税率が変更となることもあります。

その時点毎の計算方法が適正なのかを確認しないと計算ミスが発生することにも繋がります。

そのため、保険料率や税率の改正がないのかを事前にチェックするようにしましょう。

そして、最後に、賞与計算システムは、給与計算システムと連動しているケースがほとんどです。

そのため、従業員情報や保険料の料率や税率の計算テーブルがシステムに組み込まれていることになります。

このシステムでの登録内容が正確であれば、あとは、賞与情報を入力すれば、システムが誤りなく計算してくれるはずです。

入力後の数値チェックは欠かせませんが、システムを活用できるところはできるだけ活用して、総務・経理担当者の負担を減らして、滞りなく、正確な支給を出来るようにする事がポイントです。

賞与支給に関する業務マニュアルを作成しましょう

これらのように、賞与支給は、他の月と異なり、やるべき事が多くあります。

そのため、次回の賞与支給をスムーズにするためにも、事前にマニュアルを作成しましょう。

事前の準備が業務効率を上げる事となり、そして、新たな時間を創り出す事が出来ます。

記事執筆者

税理士 佐藤充宏
東京都江東区で税理士事務所及びファイナンスコンサルティング会社を経営している佐藤充宏と申します。

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