
目次
はじめに
社内経理から、きちんと月次試算表の報告を受けている。
仕訳も記帳も整っていて、数字のズレもない。
そうした管理体制が整っている会社は、実際に多くなってきました。
しかし──
社長として、こんな疑問を抱いたことはありませんか?
「利益は出てる。でも来月の資金繰りは大丈夫?」
「金融機関から“資金繰り表を出して”と言われたけど、出してない…」
「経理の報告は合ってるのに、“未来の数値予測”が見えてこない」
このような不安を感じたとき、必要になるのが「資金繰り表」です。
■ 数字は揃っているのに「説明」ができない理由
多くの中小企業では、
「帳簿はしっかりしているけど、数字をどう読めばいいか分からない」
という状態にあります。
その結果、
・利益が出ているのに、口座残高はなぜか減っている
・借入返済と税金の支払いが重なって資金が心許ない
・金融機関に何をどう説明すればよいかわからない
──という、目の前の“資金の実感”と“経理の報告”が噛み合わない状況が生まれてしまいます。
このギャップを埋めるのが、月次試算表ではなく「資金繰り表」なのです。
■ 「来月以降」のお金の動きを見える化するのが資金繰り表
資金繰り表は、未来の資金の流れを数字で“見える化”するものです。
例えば、以下のように作成します。
【資金繰り表の例(3か月分)】
項目 | 8月 | 9月 | 10月 |
---|---|---|---|
期首現金残高 | 2,000千円 | 2,100千円 | 2,300千円 |
売上入金 | 4,000千円 | 4,200千円 | 4,000千円 |
その他収入 | 300千円 | 300千円 | 300千円 |
合計収入 | 4,300千円 | 4,500千円 | 4,300千円 |
仕入支払 | 1,800千円 | 2,000千円 | 2,000千円 |
給与支払 | 1,200千円 | 1,200千円 | 1,200千円 |
借入返済 | 500千円 | 500千円 | 500千円 |
税金・社会保険等 | 400千円 | 300千円 | ー |
その他支出(賞与・設備投資等) | 300千円 | 300千円 | 300千円 |
合計支出 | 4,200千円 | 4,300千円 | 4,000千円 |
差引収支 | +100千円 | +200千円 | +300千円 |
月末現金残高 | 2,100千円 | 2,300千円 | 2,600千円 |
これを見ることで、社長が把握できることは次の通りです。
・月ごとの資金の残高推移
・固定費と変動費の出入りバランス
・税金支払い時期による負担の山
・設備投資やボーナス支給時期に向けた準備
資金繰り表は、数字による“未来の見える化”です。
■ 金融機関対応にも活かせる「説明できる経営」
金融機関との面談で、「試算表を見せているのに話が通じない」と感じたことはありませんか?
金融機関が本当に見たいことの一つが、「事業資金の流れがどうなっているのか」です。
資金繰り表があることで:
・今後の資金需要を明確に説明できる
・融資を申し込む理由に“数字の裏付け”がある
・追加借入や借換提案に対して説得力がある
となり、信頼の土台ができます。
「数字を出せばいい」ではなく、「説明できる数字」が求められているのです。
■ 経理の正確さと、“経営判断”のサポートは別物
社内の経理担当者が優秀であっても、それだけでは経営判断を下すには不十分な場合があります。
経理の仕事は、「正確に記録し、報告する」ことが中心です。
一方で社長が必要とするのは、「その数字をどう使って判断するか」という視点です。
・人を採用すべきか、来期まで待つべきか
・新しい機械の導入は、キャッシュ的にいつが最適か
・資金が足りない場合、借入か支出見直しか
こうした意思決定に必要な情報は、月次の数字だけでは得られません。
■ まとめ:「数字の正確さ」から「判断の自信」へ
会計の数字が正確であることは、事業を継続するための最低限の要件です。
しかし、経営に必要なのは、「判断の自信」です。
・来月の支払いが見通せる安心
・金融機関への説明に裏付けがある信頼
・判断がブレない経営の軸
これらを得るために、資金繰り表は有効なツールです。
経理の報告はしっかりしているけど、判断に不安がある──
そんなときこそ、「未来数値を見える化する仕組み」として資金繰り表を活用してみてください。
弊所では、資金繰り表の導入支援から、経営判断の相談まで、数字の“使い方”にフォーカスした支援も行っています。
お気軽にご相談ください。
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佐藤経営税務会計事務所
代表税理士 佐藤充宏
東京都江東区亀戸2-39-8米田ビル201号室
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