令和3年度の税制改正により、電子帳簿保存法が改正になりました。
会社によっては、会計システムを業務システムと連携させて、日々の経理処理を行う場合がありますが、仕訳帳や総勘定元帳を電磁的記録等により保存する場合には、
会計システムのデータは保存すべき事は分かりますが、業務システムのデータはどのように取り扱ったら良いのかが迷うところですので、
今回はこのようなケースの際の取扱いについてご案内します。
目次
会計システムと連携させている業務システムデータの電磁的記録等の保存等について
仕訳帳や総勘定元帳を電磁的記録等により保存等する場合には、原則として、
会計システムと業務システムのデータを両方とも保存させる必要があります。
会計システムのデータだけを保存した場合
業務システムの集計データのみが保存されますが、
業務システムの個別の取引データ(例:販売等)は保存されません。
そのため、保存した仕訳帳及び総勘定元帳のデータは、全ての取引を記載した帳簿とならないので、業務システムのデータ保存も必要なのです。
優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用との関係
優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の規定の適用を受けようとする場合には、
仕訳帳や総勘定元帳を含む特例国税関係帳簿について全て優良な電子帳簿の要件を満たして保存等をしなければなりません。
しかし、業務システムの集計データのみの保存では、次のように、優良な電子帳簿の要件を満たす事が出来なくなる場合があります。
・全ての取引に係るデータの訂正又は削除の履歴が確保できない
・帳簿間の相互関連性が明確にならない
なお、業務システムのデータを合わせて保存する方法以外に、業務システムのデータ保存に代えて、販売等の個別取引が記載された売上帳(補助簿等)を
書面に出力して保存する方法も認められていますが、この場合は、優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を受けることはできません。
参考となる法令
法人税法施行規則 ※ 最終改正日:令和03年07月30日
第54条 取引に関する帳簿及び記載事項
青色申告法人は、全ての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(次条において「仕訳帳」という。)、
全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(次条において「総勘定元帳」という。)
その他必要な帳簿を備え、別表20に定めるところにより、取引に関する事項を記載しなければならない。
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 ※最終改正日:令和03年03月31日
第8条 他の国税に関する法律の規定の適用
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4 次に掲げる国税関係帳簿であって財務省令で定めるものに係る電磁的記録の備付け及び保存又は当該電磁的記録の備付け及び
当該電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存が、国税の納税義務の適正な履行に資するものとして財務省令で定める要件を満たしている場合における
当該電磁的記録又は当該電子計算機出力マイクロフィルム(政令で定める日以後引き続き当該要件を満たしてこれらの備付け及び保存が行われているものに限る。
以下この項において同じ。)に記録された事項に関し国税通則法第19条第3項(修正申告)に規定する修正申告書(次項において「修正申告書」という。)の提出
又は同法第24条(更正)若しくは第26条(再更正)の規定による更正(次項において「更正」という。)(以下この項において「修正申告等」という。)
があった場合において、同法第65条(過少申告加算税)の規定の適用があるときは、同条の過少申告加算税の額は、同条の規定にかかわらず、
同条の規定により計算した金額から当該過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額
(その税額の計算の基礎となるべき事実で当該修正申告等の基因となる当該電磁的記録又は当該電子計算機出力マイクロフィルムに記録された事項に係るもの以外のもの(以下この項において「電磁的記録等に記録された事項に係るもの以外の事実」という。)があるときは、当該電磁的記録等に記録された事項に係るもの以外の事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)
に100分の5の割合を乗じて計算した金額を控除した金額とする。
ただし、その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものがあるときは、この限りでない。
一 第4条第1項の規定により国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えている保存義務者の当該国税関係帳簿
二 第5条第1項又は第3項の規定により国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び
当該電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えている保存義務者の当該国税関係帳簿
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まとめ
仕訳帳や総勘定元帳を電磁的記録等により保存等する場合には、原則として、会計システムと業務システムの両方のデータ保存する必要があります。
そして、優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の規定の適用を受けようとする場合には、
この仕訳帳及び総勘定元帳を含む特例国税関係帳簿について全て優良な電子帳簿の要件を満たして保存等を行う必要があります。
出典参考資料:
国税庁
電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】
問 19 当社は各種の業務システム(販売等の個別取引データを保存)と会計システム(業務システムの集計データを保存)を連携させています。
「仕訳帳」及び「総勘定元帳」を電磁的記録等により保存等することとした場合、会計システムのデータのみ保存しておけばよいでしょうか。