目次
電子帳簿保存法の概要
国税関係帳簿書類のうち電子計算機を使用して作成している国税関係帳簿書類については、一定の要件の下で、
電磁的記録等(電磁的記録又は電子計算機出力マイクロフィルム)による保存等(国税関係帳簿の場合には備付け及び保存をいいます。以下同です。)
が認められます。
また、取引の相手先から受け取った請求書等及び自己が作成したこれらの写し等の国税関係書類(決算関係書類を除きます。)について、
書面による保存に代えて、一定の要件の下で、
スキャン文書
による保存が認められます。
そして、源泉徴収以外の所得税及び法人税の保存義務者がいわゆるEDI取引やインターネットを通じた取引等の電子取引を行った場合には、
電子取引により授受した取引情報(注文書、領収書等に通常記載される事項)を
電磁的記録
により保存しなければなりません。
ところで、この内容のうちの気になるものの一つが、
電磁的記録
です。
そこで、今回は、この電磁的記録についてご案内します。
電磁的記録とは
「電磁的記録」とは、情報(データ)それ自体あるいは記録に用いられる媒体のことではありません。
つまり、一定の媒体上にて使用し得る(一定の順序によって読みだすことができる)情報が記録・保存された状態にあるものです。
例えば、情報が次のもの等に記録・保存された状態にあるものをいいます。
ハードディスク
コンパクトディスク
DVD
磁気テープ
クラウド(ストレージ)サービス
電磁的記録に関して記載されている条文のうちの参考となるものをご案内します
いわゆる電子帳簿保存法と呼ばれているのは、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」の事であり、
電磁的記録は、この中の本法第2条第3号に規定されています。
第2条 定義
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国税 国税通則法(昭和37年法律第66号)第2条第1号(定義)に規定する国税をいう。
二 国税関係帳簿書類 国税関係帳簿(国税に関する法律の規定により備付け及び保存をしなければならないこととされている帳簿
(輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和30年法律第37号)第16条第11項(保税工場等において保税作業をする場合等の内国消費税の特例)
に規定する帳簿を除く。)をいう。以下同じ。)又は国税関係書類(国税に関する法律の規定により保存をしなければならないこととされている書類をいう。
以下同じ。)をいう。
三 電磁的記録 電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式(第5号において「電磁的方式」という。)で
作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。
四 保存義務者 国税に関する法律の規定により国税関係帳簿書類の保存をしなければならないこととされている者をいう。
五 電子取引 取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。
以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。
六 電子計算機出力マイクロフィルム 電子計算機を用いて電磁的記録を出力することにより作成するマイクロフィルムをいう。
最終改正日:令和03年03月31日
また、この電磁的記録の範囲については、電子帳簿保存法取扱通達4-1に規定されています。
4-1 国税関係帳簿に係る電磁的記録の範囲
法第4条第1項《国税関係帳簿の電磁的記録による保存等》又は第5条第1項《国税関係帳簿の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存等》に規定する
「国税関係帳簿に係る電磁的記録」とは、規則第3条第1項各号の要件に従って備付け及び保存(以下「保存等」という。)が行われている当該国税関係帳簿を
出力することができる電磁的記録をいう。
したがって、そのような電磁的記録である限り、電子計算機処理において複数の電磁的記録が作成される場合にそのいずれの電磁的記録を保存等の対象とするかは、
保存義務者が任意に選択することができることに留意する。
(注) この場合の国税関係帳簿に係る電磁的記録の媒体についても保存義務者が任意に選択することができることに留意する。
最終改正日:令和02年06月23日
まとめ
電子帳簿保存法で規定されている電磁的記録とは、一定の媒体上にて使用し得る(一定の順序によって読みだすことができる)情報が記録・保存された状態にあるものであり、
具体的には、情報がハードディスク、コンパクトディスク、DVD、磁気テープ、クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存された状態にあるものです。