昨日は、連結決算と連結納税導入のポイントをご案内しましたが、本日は経理担当者育成のポイントにつきご案内します。
私自身、上級管理職での立場で複数の事業会社で勤務し、そして、今では、税理士事務所及び事業会社の経営者として業務をしているため、今までの経験から、経理担当者の方の育成に注力してきましたので、少しでもその事でお役に立てればと思い、投稿させて頂きます。
目次
1、担当業務の明確化
何事においてもそうですが、仕事をするには、「誰が」その業務をするのかが大事です。
一つの部署に複数の社員がいたとしても、誰に担当してもらうのかを明確にしておかないと、
「きっと他の人がやってくれるだろう」
「自分の名前が出ていないから気にしなくて良い」
という事にもなりかねません。
その点でいうと、組織運営上、経理責任者は既に任命されているケースが多いので、経理担当者を実際に決めておく必要があります。
そして、その経理担当者は、一人で全てやらなければならないというわけではありません。
会社の規模が大きければ、経理部署の規模も大きい場合がありますので、その際は、経理担当者を複数置いて、各々の方に役割分担を決めて業務をしてもらいましょう。
その際は、具体的に「誰に」「何を」やってもらうのかを決める事が一番大切です。
2、経理担当者の方の特性を活かしながら、将来の成長を実現できるようなサポート体制を整えましょう
経理担当者であれば、上司である経理責任者の指示を受けて業務をする事がメインになりますが、経理責任者と違い、業務に精通しておらず、また、経理周辺知識も乏しい場合があります。
誰でも最初は分からない事だらけです。
そして、日々の経験と学びを通じて成長していくので、最初の「分からない」段階をどのようにサポートして、成長してもらうまでの道のりを明示する必要があります。
経理責任者は、「仕事が忙しいから、部下の育成に時間をかけられない」という風にどうしても思ってしまうかもしれませんが、部下の成長が部署の業務の安定と効率化を図る事にも繋がるのです。
そのため、しっかりと、経理担当者の教育・育成サポートをするようにしましょう。
3、経理担当者には、「見える化」をしてコミュニケーションを図りましょう
コミュニケーションは本当に大切です。
しかし、単純に事ある毎に声をかければ良いという訳ではありません。
部下には、「何かあったら責任を持ってサポートするよ」という事を分かってもらいながら、出来る限り自己完結できる業務を増やしていって、仕事にやりがいを持ってもらい、充実感を味わってもらう必要があります。
そのため、お互いの間で信頼関係を築きながらコミュニケーションを取る事になりますが、コミュニケーションをとる場合には、「見える化」を心がけましょう。
口頭でのやり取りも大切ですが、
「あの時こう言ったよね」
「全てを覚えて理解する事が出来ませんでした」
「別の意味で理解してしまいました」
という事も往々にして起こり得ます。
そこで、「見える化」をしておけば、後で振り返る事が出来るだけでなく、同じ情報をお互いで認識しているという事にも繋がり、情報の共有化や業務の効率化が達成できます。
よく業務マニュアルを見かける事がありますが、これは、実際にやってもらう事を明らかにして、お互いの情報を統一化・共有化するという意味合いもあるのです。
そのため、「見える化」を活用するようにしましょう。
4、愛情と我慢を心がけて経理担当者の方と接しましょう
経理担当者の方は、やらなければならない事がたくさんあります。
・入出金管理を漏れのないようにする
・毎月の経営実績値を見込値と比較して、誤りの無いように集計・算出する
・予算編成をする際に、関係部署と連携する
・事業計画策定の参考数値を集計する
・経理システムに入力する際に、消費税の処理を誤りのないようにする
・税金の申告と納税を漏れのないようにする
・業務スケジュールを遵守する
もちろん、会社の規模や経理部署の方針によっても異なりますが、基本的にやるべき事がたくさんあります。
そのため、最初のうちはプレッシャーやストレスを感じる事があり、それがどうしても、周囲とのコミュニケーションで出てしまうかもしれません。
そのような時には、注意したり、叱責するという事があるかもしれませんが、そのような時には、自身を振り返ってみてはいかがでしょうか。
自分も昔は目の前の業務に集中するあまりに、視野が狭くなり、イライラしがちだったり、場合によっては、周囲に負担をかけていたこともあったかもしれません。
誰でも成長する上では目の前の壁に直面するものです。
そのような時に、上司が求めている100%の行動を取る事は難しいです。
そのため、ミスに繋がるような行動は予防するようにしながら、多少の事は愛情を持って見守るというのが大切です。
そして、我慢強く育てるようにしましょう。
経理担当者は会社にとっての素晴らしい人財です
今では、多くの業務をITで賄えるようになっています。
そのため、人が実際に手を動かして作業をする事が少なくなっていますが、それでも、実際に人がやらなければならない事があります。
これをやるには、そのスキルに見合った人財が必要です。
優秀な人財を育成する事が組織の成長に繋がり、そして、その人の幸せにも繋がるのです。
そして、その人の幸せは上司の幸せにも繋がります。
経理という仕事を通じて自己実現の領域を広げて、有意義な人生を送る事が出来るような経理責任者の方の支えが必要です。